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頭の中で考えてることを綴りたい3 ~脳の可塑性~

記憶について、池谷裕二さんの『記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』(ブルーバックス)を読んだときに、「可塑性」という言葉が出てきた。

可塑性とは、なんだろう。気になって、Googleを頼り、コトバンクから意味を調べた。栄養・生化学辞典によると、「物体に力を加えて形を変えることすなわち歪みを作ったとき,力を取り除いても変形がそのままになる性質」と書かれている。

正直、ピンとこない。万物が生生流転であることは、言葉として知識として認識してはいる。ただ、辞典の言葉の意味通りに捉えると、「脳」に衝撃が加わってしまった場合、ずっとその形状のまま保持されてしまうということではないか。

ふと、書店に立ち寄った際に、塚原仲晃さんの『脳の可塑性と記憶』(岩波現代文庫)が目に入った。面白そうだと思い、読んでみる。

本書によると、柔軟性・融通性・フレキシビリティという性質について、一括して「可塑性」と捉えているらしい。

頭の柔らかい人・固い人という表現が使われることをイメージすると、こちらの方がしっくりくる。

そのまま読み進めていくと、正直一読では全然歯が立たない。時を置きつつ、気になった言葉を調べつつ、何度か分けて読む。すると、今更感が強いものの、脳は神経中枢(一番重要な神経が集まってくるところ)だということを、正しく認識しておくことがとても重要であると気づかされた。

脳という言葉を普段使っている時には、「いまだ解明されていない部分の多い、大事な体の一部分」という、ざっくりした物体的なものをイメージしていた。それ自体もきっと、解釈としては間違ってはいないのだろう。しかし、「ニューロン」「シナプス」という言葉をきちんと理解するためには、ちゃんと構造を理解しておくことが大切だと、ハッと気づかされた。

そんな気づきをしたことで嬉しくなりながらも、賢くない頭で何度も本書を読んでみる。「第6章 動物の記憶とヒトの記憶」の最終節に、「記憶をよくするために」という節がある。「脳のよくなる指導書に飛びつかず、脳を苦労して使う」という表現が目に入る。

最初はどこか、本書のタイトルから、「頭がよくなる方法や記憶力が増す方法がわかるかもしれない。堅そうなタイトルだし、信頼性のある有益な情報が見つかるかも。」などと、少しだけ邪な考えで読み進めていた。ただ、何度か時を置いて読んでみると、「脳を苦労して使う」のフレーズが感覚的にスッと理解できるようになってきた。

もちろん、ただ苦労するのは正直イヤである。できれば、楽をして情報を得たいし、賢くなりたい。しかし、難しい本書を休み休み調べながら読んでみるだけで、1回目のトライ時よりも2回目のトライ時の方が、累乗的に知っている内容が増えていく。その過程が、意外と面白いことに気づいた。

だらだらと書いてみたが、結局、本質的なところはまとめられない。私自身、4回目のトライで本書を読んでいるが、まだわからなくて一旦読み飛ばしている語彙も多い。ただ、そんな自分自身の考え方の移ろいも含めて、「興味を持って調べ、自分の頭の中で考えること」が、脳の可塑性を生かし、知らない世界を知る術を発見していくうえで、きっと一番大事な行動である。


塚原仲晃さんの『脳の可塑性と記憶』(岩波現代文庫)          https://www.amazon.co.jp/%E8%84%B3%E3%81%AE%E5%8F%AF%E5%A1%91%E6%80%A7%E3%81%A8%E8%A8%98%E6%86%B6-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%A1%9A%E5%8E%9F-%E4%BB%B2%E6%99%83/dp/4006002378
可塑性の意味をコトバンクで調べたhttps://kotobank.jp/word/%E5%8F%AF%E5%A1%91%E6%80%A7-44854

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