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弱さという魅力

ここ何年かで好きな人がぐっと増えた。
アーティストだったりライターだったり色々だけど、自分を癒してくれる存在が増えたことで日々助けられている。

好きになる人には共通していることがある。
それは「弱さ」を見せてくれるということだ。

たとえば星野源さん。私はあの逃げ恥ブームからハマった1人だ。最初は演技力の高さや可愛い笑顔に惹かれた。そして彼のエッセイを読み、ラジオや音楽を聴くようになった。そこで彼はテレビに出ている時のような明るい姿だけではなく、どうしようもなく暗い部分や辛い過去も見せてくれている。

源さんの学生時代は今からは想像できないくらい暗かった。彼のお母さん、ようこちゃんによると学校から帰ってくるたび、日に日に暗くなっていったそうだ。面白いと思ったときも、うまく笑えなくて歯をくいしばることが彼にとっての面白いという感情表現だった。お気に入りのテレビを見て、1人部屋で歯を食いしばっていたという。そんな人が今ではあんなに可愛い笑顔で日本中に癒しを届けているんだから、驚きである。

音楽でも彼は自分の弱さを表現している。

寂しいと叫ぶには僕はあまりにくだらない

これは私が大好きな源さんの「くせのうた」という曲の一節だ。自分の寂しさ、そして寂しいということさえためらわれるほどの自分への自信のなさ。初めて歌詞をしっかり聞いたとき、その歌詞に自分を重ねて泣きそうになった。

源さんは日本に元気やハッピーを届けてくれる人だ。明るい姿もそうだけど、暗い部分や弱い部分をみせてくれることで彼も自分と一緒の人間なんだ、私も頑張ろうと思える。そして色んな経験をしてきたからこそリスナーや読者にくれる言葉には説得力がある。馬鹿なことやくだらないことも真剣に楽しんで、人生が豊かだ。本当に素敵な人だなあと思うし、こんな人を好きな自分も好きになれる。そんな人だ。

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ライターの夏生さえりさんも、私の好きな人の1人だ。CMのシナリオを作ったり、スタバのWebサイトのコラムをつくったり、色んなところで活躍しているライターさんなのだけど、彼女の綴る言葉はいつも柔らかくて、心にそっと染み込んでくる。

さえりさんの言葉には読んでいる人も肯定してくれるような優しさを感じる。

そんな彼女も、書籍「今日は自分を甘やかす」において、引きこもった辛い過去について話してくれている。東京で頑張りすぎてどうしようもなくなった時に、山口の実家で療養することになったそうだ。

心の警告を無視し続けて、ある日ぷっつり糸が切れたようにがんばれなくなってしまったのです。
ここまでくればまた厄介なもので、「がんばれない自分はダメな人」「なんでみんなみたいにがんばれないの?」と自分をさらに追い詰めてしまいました。

暴力的なほどに泣いたりして、元気になるまでに1年かかったそうだ。

そんな経験をしたさえりさんがこの本で最後に伝えてくれていることが心に染み付いている。

がんばれない日があっていい。元気がなくてもいい。ゆっくりでいい。焦らなくていい。
「がんばる」よりも「がんばらない」でほがらかにしているときのほうが、自分も人も嬉しくて、みんなに優しい人でいられると思うのです。

私にも何度かがんばりたいのにがんばれないという時期を過ごしたことがある。その時期のことを「弱い自分に負けた」と、思い返すたびに苦しく思っていたのだけど、さえりさんの言葉でそんな自分を否定しなくていいんだと思えた。そして、ほがらかにいきることで自分にも人にも優しくしていこうと決めた。

どこで読んだのかは忘れてしまったけど、さえりさんは自分のことを決して強いわけではなく、弱い方だと思うと言っていた。落ち込む時は落ち込んで、小さな幸せを拾い集めて、また一歩ずつ歩き出す。落ち込む自分を責める必要はないんだなあと、さえりさんの言葉でほっとした。弱さを見せてくれるというのは、見せてもらった人の心を柔らかくしてくれる、そう感じた。

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弱さをみせられるというのは、強さだ。
弱い自分を無理に大きくみせるのでも隠すのでもなく、ただ受け入れている。こんな自分でも生きてます、今幸せです、と言ってくれることがどれだけ私を励ましてくれてるだろう。

私も、誰かを励ませる人になりたい。
弱い自分だからこそ分かる気持ちがあって、励ませる人がいる。そんなことを好きな人たちから教えてもらった。

素敵な人たち、いつもありがとうございます。
これからもずっと応援しています。

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