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アサの朝 (ch7) - サマーフライデー

 私が働く会社は五月末から九月頭までサマーフライデーという制度で、隔週金曜日が休みだ。隔週三連休になるのである。なんてありがたい。そんなわけで今日は朝寝坊しよう、と思っていたのだが、通常通り目が覚めた。

 夫が出勤せずに在宅勤務とのことで今日は車があるので、一週間ぶりのホットヨガに行くことにした。元々ヨガにあまり興味があるわけではなかったが、文字通り、筋金入り(本当に体に金属でも入っているかのように)で体が硬い。それなのに五年前から「大人バレエ」とやらを始めて、もはや先生にも申し訳ないくらいに未だに脚は上がらない。(母は本当に見る人に申し訳ないと大きな声で笑っていた)

 コロナが少し落ち着いたあたりから、柔軟性向上のためにホットヨガに通うことにした。毎日寝る前に少しするストレッチくらいでは、180度開脚なんて、人生を後3周くらいしなければ辿りつかない境地である。40度ほどに設定された部屋で、比較的ずっと動く系統のヨガのクラスだ。(ヨガにもいろいろの種類があるのだが、私はそこまで詳しくないので)この街は冬は氷点下になる日もあり、その頃はヨガスタジオに行くのが、寧ろ楽しみだった。ただもう今は、本格的な夏日和で朝八時からのクラスに行く際もすでに外は暑い。

 一時間、十分に体を動かし、滝のように汗をかいた。身体中のあらゆるものがしっかりと循環している感覚がとっても気持ちいい。帰宅後はすぐにシャワーを浴びる。洗濯機を回し、コーヒー牛乳を飲む。「あーなんていい朝なんだ」と呟いてゆずの散歩で外に出ると、むわっとする空気でまた汗をかいた。ホットヨガで書いた汗のように気持ちが安らぐ汗ではない。スプリンクラーで被った芝生の上の水滴が暑さで蒸発していくのを感じる。八月の日本への一時帰国の予行練習のような空気を身に纏う。それでも長くて白い尻尾をふりふりさせて前だけを見て歩くゆずを見ると、もうサマーだしな、と思い直すことにした。


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