大嫌いなあの子のSNS

私は嫌いな人のSNSをわざわざ見にいく癖がある。
楽しそうな投稿が頻繁にされていれば苛立つし、更新がストップしていたり後ろ向きな投稿がされていれば心が満たされる。
要は、嫌いな人物がきちんと不幸でいるか確認しにいっているのだ。自分で言うのも悲しいが性格が悪い。

大嫌いなあの子の結婚報告の写真。
隣で笑う旦那さんを裏切って、ニュアンス系イケメン風歳下男子と浮気していたことは私しか知らない。
周りを囲う友人たちのことも、散々悪口を言って見下していたことも私しか知らない。

その「幸せそうな写真」は、私の口堅さ故に成り立っているんだよ。

ペラペラで中身のない、それでもあの子にとっては唯一無二の「幸せ」は、私の娯楽だった。

10代の頃、学校にも親にも友人にも傷つきながらも自我を突き通しているあの子にとてつもなく憧れていた。
何者かになりたくて、自分の方が上じゃないと気が済まなくて、誰のことも大切にできない、そんなあの子のイチバンの親友であることが誇りだった。

　
いつからだろう、私があの子を追い抜いてしまったのは。
いつからだろう、私が先に大人になってしまったのは。
いつからだろう、あの子が何者にもなれないことに気づいてしまったのは。

私は今日あの子のSNSのフォローをはずした。

どうかあの子がこれからも末永く不幸せでありますように。
自分の不幸せに気づかずに心から笑っていられますように。