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(G)I-DLE|波乱の7年間を振り返る

2018年にデビューした(G)I-DLE(gidle、ジー・アイドゥル。通称アイドゥル)。

中堅事務所のCUBE(キューブ)エンターテインメントからデビューした(G)I-DLEの、これまでの道のりは生やさしいものではなかった。

今更だけど、(G)I-DLEの物語を簡単に、いや結構詳しく振り返る。(今だから分かる話もあるので)

(メンバーの顔と名前を知っている人は、
目次から「波乱の物語」に飛んでください!)


メンバー

ソヨン🇰🇷(98)

1998年8月26日生まれ。
デビュー当時19歳(現在25歳)。
韓国人メンバー。(G)I-DLEのリーダー

ほぼ全ての楽曲を作詞作曲している。

2022年の1stフルアルバムからは総括プロデューサーに就任。
(G)I-DLEの楽曲、振付、衣装、デザイン、スケジュールなどマネジメントに全責任を負う。

ラッパーとしての能力はトップクラスで、
「今のK-POP女性アイドルの中で一番ラップが上手いのは?」
という質問に対し、必ず名前が上がるメンバー。

子供の頃はバレエを熱心に習っていたが、
BIGBANGの『Lies』を聴いて、
私の道はこれだ
と思い、ヒップホップの道に進んだという。
元々ダンサー志望だったので、ダンスも上手い。

ボーカルも得意で、個性的な歌声だがピッチは常に正確で、聴きやすい。

この動画の冒頭では、2NE1の『ugly』をカバー(右の黄色い方)。
(しかも目の前で2NE1のダラが聴いている)
ラップを抜きにしても、ソヨンの歌唱力と表現力が一流であることが分かる。

ミヨン🇰🇷(97)

1997年1月31日生まれ。
デビュー当時21歳(現在27歳)。
韓国人メンバー。

(G)I-DLEのメインボーカル。

高音パートが得意で、さわやかな歌声が特徴。
かわいらしさを残しつつ、伸びやかに歌う。
元々YG練習生だったので、歌い方がYG歌唱法。

強みは「プリンセス」ぽい雰囲気。
(G)I-DLEのマドンニライン(お姉さん組)なので、
優しく面倒見の良いお姉さんらしさを発揮しつつ、
寝坊が多いなど天然な一面もある。

(G)I-DLEは全員、自分をしっかり持っていて、
自己主張が激しく我が強いイメージがあるが、
個人的な感想だと、ミヨンとソヨンは控えめな方である。

ミンニ🇹🇭(97)

1997年10月23日生。
デビュー当時20歳(現在26歳)。
タイ人メンバー。

ミヨンとともに(G)I-DLEのメインボーカル。

異国情緒漂うエキゾチックなビジュアルと、
スモーキーで幻想的な歌声が魅力。

ミヨンの歌声は健康的で爽やか、
ミンニの歌声はミステリアスでセクシー。
(各人の歌声の個性が強いのも(G)I-DLEの魅力!)

ミンニ(本人)いわく、
「(G)I-DLEで唯一まともなメンバー」

ミヨンとミンニは(G)I-DLEのマドンニラインだが、
ミンニは特に面倒見の良いお姉さん
末っ子のシュファも、ミンニを
「私の面倒を見てくれるメンバー」
と言っている。

タイのご実家はとんでもない富豪らしく、
最初は宿舎での暮らしに慣れなかったというが、
「今ではカップラーメンにも慣れた」という。

2019年から収録曲の作詞作曲に参加。

ウギ🇨🇳(99)

1999年9月23日生。
デビュー当時18歳(現在24歳)。
中国人メンバー。

可愛らしいベビーフェイスと、
太くて低いハスキーボイス
が武器。
おそらく(G)I-DLEのファンでなくても、
K-POPに詳しい人なら、ウギの声は聴けばすぐに分かると思う。
それくらい特徴的な歌声

特徴的な歌声は生まれつきではなく、
幼い頃に風邪を引いたことで今の声になったそう。
自分の声に悩んだこともあったというが、
今ではその声が、歌手としてのウギのみならず、
(G)I-DLEというグループの武器になっている。

学力が高いことでも知られていて、
中国の名門高校「北京101高校」の出身。
トークスキルが高く、バラエティでも大活躍。

ユーモラス男気に溢れる性格は、
(G)I-DLEのコンセプトを体現するかのよう。
しかし人情に厚く涙もろい一面もある。

末っ子のシュファとともに、
(G)I-DLEのマンネライン(妹組)を形成。
二人は自由奔放でやりたい放題、
ときどきリーダーのソヨンと、
マドンニラインの二人を呆れさせる。

(G)I-DLEはグループ全体にやかましいイメージがあるが、やかましさの八割は、ウギとシュファの喧嘩と、ウギとミンニの喧嘩である。

2020年から収録曲の作詞作曲に参加。

シュファ🇹🇼(00)

2000年1月16日生まれ。
デビュー当時18歳(現在24歳)。
台湾人メンバー。

圧倒的な色白の美貌と、
とろんとしたかわいらしい歌声。
そして何が何でも自分を貫くという、
芯の強い成熟したマインドが武器。

デビュー直後は、自分のポリシーから、髪を染めることや濃いメイク、派手なネイルなどを拒否。
(2022年以降は髪を染めている。理由は後述)
グループの末っ子であるにもかかわらず、
アイドルとしては類を見ない意志の強さで知られていた。

2022年に中国で発生した、
女性に対する集団暴行事件について、
クズ野郎どもに慈悲はいらない
と発信。
それに対し、
「アイドルの発言としていかがなものか
という批判がなされると、
私はアイドルである前に一人の人間でありたい
と反論。
人として譲れない正義感と芯の強さを示した。

個人的に、
ボーカルの実力者揃いの(G)I-DLEの中で、
シュファは実力は他メンバーに劣る部分もあるが、
このマインドからしてグループに必要な存在だと思う。

KPOP界では歌が上手なアイドルは珍しくないが、
シュファほど自分をしっかり持っている人はなかなかいない。

また、2021年のスジン脱退後は、スジンの才能を受け継ぐかのように、ステージ上での表現力が開花したことで話題になった。

スジン🇰🇷(98)(2021年脱退)

1998年3月9日生まれ。
デビュー当時20歳(現在26歳
韓国人メンバー。

在籍当時はソヨンと並ぶ中心メンバーで、
ステージ上での表現力に定評があり、
(G)I-DLEで最も人気のあるメンバーだった。

最大の武器はセクシーで大人っぽいオーラ。
左目の下の泣きボクロがチャームポイントで、
所属事務所CUBEの先輩の名を借りて
「第二のヒョナ」
と呼ばれたこともあった。

女性に支持される色気を持つメンバーで、
「韓国レズビアンコミュニティで支持される女性」
のランキングで、宇宙少女のソラとともに殿堂入り。

デビュー初期は、リーダーのソヨンが求める基準に対し、メンバーたちのパフォーマンスが付いて行けていないと感じられるときもあったが、そんな中でもスジンはソヨンが求めるパフォーマンスを消化できるメンバーだった。
おそらくソヨンからの信頼も一番厚かったのではないだろうか。

(G)I-DLEで唯一(?)おとなしい性格で、
いつも静かにメンバーを見守っていた。
特にシュファと仲が良く、常に一緒にいる姿が「スシュ」と呼ばれて支持を集めた。

2021年に中学時代の校内暴力疑惑が浮上し、ネットで大炎上。
スジンは校内暴力について否定したものの、
結局は(G)I-DLEを脱退
おそらくネットの大炎上と、チームに影響を与えた事実に耐えられず、脱退を選択した。

2021年には数々の芸能人に対する暴露がなされたものの、スジンへのダメージは特に大きかった。
おそらく、元々の慎重で穏和なイメージが、
より大きな大衆の失望につながったと思われる。

波乱の物語[第0期(デビュー編)]

デビュー前のソヨン

CUBEの練習生だったソヨンは、
2016年に放送されたPRODUCE101(プデュ・シーズン1)に出演。

圧倒的な実力を見せつけたものの、
一部視聴者から容姿についてバッシングを受けた。

ソヨンは番組内で誹謗中傷に傷ついたと語り、
鏡を見るのがいやになった
と自分の容姿に自信を失ったと告白。

ソヨンのことをかわいいと言った共演者に対し、
「やめてよ、私、叩かれちゃう」
とバッシングを恐れる様子を見せたこともあった。

PRODUCE101では最終順位20位でデビューに失敗し、I.O.Iへのメンバー入りは叶わなかった。

ソヨンは後に、この時期について、
人生で最も自信を失った時期
「オンエアされた映像を見て、自分がきれいじゃないと思った」
「私はきれいな顔を持って生まれたわけじゃないのに、皆のようにきれいになる努力もできていない。そう思うと自分が本当に嫌いになった
と語っている。

PRODUCE101への出演後、
同じ2016年にUNPRETTY RAPSTAR (アンプリティ・ラップスター)のVol.3に出演。
ここでも、インタビューで
「私はブスです。分かっています」
と容姿への自信のなさを口にしたものの、
「顔はどうしようもない。だから他の面を磨く」
と前向きな姿勢を見せた。

同番組ではラップの実力を認められ、
決勝進出はならなかったものの、
この時期についてソヨンは、
自信を取り戻し始めた」と語っている。

5人にミヨンが合流

2018年、CUBEは、
CLCに続く新しい女性グループのデビューを企画。
すでに知名度を得ていたソヨンを中心に、
タイ人練習生ミンニ、中国人練習生ウギを加え、
他社の練習生だったスジンを合流させた。
さらに、ソヨンが「絶対に一緒にデビューする」といった台湾人練習生シュファを加え、
当初はこの5人でデビュー予定だったものの、
「韓国人(2):外国人(3)」では、
韓国人が少なすぎると考えたCUBEは、
元YG練習生でBLACKPINKの候補生だったミヨンを合流させる。

ミヨンの合流に対し、
5人でデビューするつもりだったメンバーたちは、
当初は良い反応をしなかったそう。
5人に馴染めず、隅っこで萎縮していたミヨンに、
最初に話しかけたのがリーダーのソヨン
このとき、ミヨンは話しかけられたことが嬉しくて、すぐにソヨンに心を開き、自分が生まれてから今までの話を滔々と語ったという。(これにより、ソヨンは内心ドン引きしたと語っている。)

こうして6人でのデビューが無事に決まった。

グループ名で一波乱

ところが再び問題が発生。
CUBEはグループ名の候補を出し、
メンバーたちに発表したものの、
その全てがあまりにもダサく、メンバーたちは猛抗議

ミンニはグループ名を冗談だと思い、
「冗談が分からないの?」
と他のメンバーたちに言ったという。

後に明かされた当時の候補名は、
AnyColor(エニーカラー)と
Black Kiss(ブラック・キス)。
ミンニはこのBlack Kissがいやすぎて泣いたらしい。

結局、ソヨンを中心に、
メンバーたちが(G)I-DLEというグループ名を考案。
(G)はGirl=女の子という意味で、
"I"は、韓国語で「アイ」=「子供」
"DLE"は韓国語で「ドゥル」=「たち」という意味。
つまり、「女の子たち」という意味だが、
"I"には韓国語の「子供」だけでなく、
英語の "I"=「私」という意味をかけ、
(G)I-DLEは「女の子たち」に
「私=個性が集まったグループ
という意味を重ねたネーミングに。

さらにソヨンは(G)I-DLEのロゴも考案し、
CUBEの社員たちにプレゼンして、
グループ名とロゴを決定させた。

デビュー曲でも一波乱

CUBEは新人(G)I-DLEにデビュー曲を用意。
ところが、そのレコーディングをしながら、
ソヨンとメンバーたちは、
「ああ、これは大変だ」
こんな曲でデビューすべきじゃない
と思ったそう。

当時について、ソヨンは、
私たちのことを知らない人が作った曲みたいだった
と語っている。
自分たちのための曲ではなく、自分たちが曲に合わせているようだと。

CUBEが用意した曲では自分たちの個性を発揮できないと考えたソヨンは、自分でデビュー曲を作ることを決意。
三日徹夜して作曲した曲が、
デビュー曲『LATATA』である。

メンバーたちは、この『LATATA』を絶賛。
絶対にこっちでデビューする!
と主張するも、会社側からは、
「この曲はちょっと……」
難色を示される
しかし、会社でブラインドテストを行った結果、
『LATATA』がほぼ満場一致で勝利。
無事に『LATATA』でのデビューが決定した。

デビュー会見でも一波乱

意気揚々とデビューを飾った(G)I-DLE。
ところがデビュー記者会見から早々に洗礼を受ける。

記者が、
当時18歳だった中国人メンバー、ウギに対し、
中国人と台湾人が同じグループにいて、うまくいくのか?
と衝撃的な質問をする。
ウギは一瞬、マイクを持ったまま困惑の表情を浮かべたものの、
質問に答えなければならないと思ったのか、何か答えようとした。

そのとき、リーダーのソヨンがすかさず
私が答える
とウギを制止し、
「私たちは韓国人3人、外国人3人のグループだが、練習の時は国籍を思い出すことはない
と答えてその場を収めた。

(怖い質問するなよ記者…)

もし中国人であるウギ自身が返答していれば、たちまち言葉尻を捉えられて国際問題に発展した可能性もある。
デビュー早々から多国籍グループとしての危機を経験した(G)I-DLEだが、このときは19歳のリーダー・ソヨンの機転で大事にならずにすんだ。
(デビュー後、この中国と台湾の問題は、ウギとシュファをたびたび炎上に巻き込むことになる)

デビュー曲『LATATA』の快進撃

プロモーション不足のためか、
デビューアルバムの初動販売は2000枚しか売れなかった。
(もはや知り合いしか買ってなくない?それ)

音楽番組では通常、所属事務所が舞台セットを持ち込んでデビューを飾るが、当時のCUBEにそんな資金力はなく、(G)I-DLEは番組側の基礎セットでデビュー曲『LATATA』を披露。

しかし『LATATA』はリリース後、
楽曲の評判が良かったためチャートを逆走
リリースから四週間経って、音楽番組で1位を獲得した。

デビュー前はあまり注目されなかった(G)I-DLEだが、『LATATA』の高評価のおかげで良いスタートダッシュを切った。

波乱の物語[第1期(成功と挫折編)]

QUEENDOMで優勝

2019年、
新人グループが争う番組『QUEENDOM』に出場。
普段からグループの楽曲を手がけるソヨンは、
この『QUEENDOM』のために新曲『LION』を作詞作曲した。

この『LION』はライオンキングをモチーフにしていて、多くのネバーランド((G)I-DLEのファン)から厚い支持を受ける名曲である。

楽曲の披露は08:04〜

この『LION』の成果あってか、
(G)I-DLEはQUEENDOMで優勝
これにより知名度を大きく上げた。

『DUMDi DUMDi』の乱

デビュー後も、
ソヨンが作詞作曲した楽曲で順調にカムバックした(G)I-DLE。
はたから見ると順調に見えたが、
会社の内部では色々と大変だったようだ。

ソヨンが後に語ったところによると、

「会社側が『ソヨンの曲を使わない』と言うことも多かった。
新人で実績もないソヨンには信頼がなかった
ソヨン自身も自分の曲を使うのが正解か、分からないことがよくあった。
他の曲でカムバックしようとしたことも何度もあった。そのたびにメンバーがソヨンの曲を支持して助けてくれた」

結局、ソヨンの曲でのカムバックは全て大成功。
デビュー曲『LATATA』をはじめ、
『한(一)(HANN(Alone))』
『Senorita』『Uh-Oh』
『Oh my god』
『DUMDi DUMDi』
『화(火花) (HWAA)』
など全てのカムバックで音楽番組1位を獲得した。

この中で、最もヒットしたのは
2020年の『DUMDi DUMDi』。

当時、ソヨンはこの曲でのカムバックを会社に猛反対されたそう。
会社の反対に対し、ソヨンは「私が責任をとる」と断言してカムバックを強行。
結果、『DUMDi DUMDi』は大ヒットした。

ちなみに、最もヒットしなかった楽曲が『Senorita』。
音楽番組ではわずか1冠に終わった。
この不調について、ソヨンは
『Senorita』だけは会社に反対されなかった
と冗談めかしく語っている。

(CUBEのセンスどうなってん…)

所属事務所の妨害にもかかわらず
(G)I-DLEは独特な世界観を確立してファンを付け、
特に『Oh my god』以降は次々とヒットを出し、
中小事務所出身としては異例ともいえる
順調なキャリアを歩んでいた。

ちなみにこの頃のタイトル曲で私が一番好きなのは、宗教的な世界観が光る『화(火花) (HWAA)』。

スジン脱退と活動休止

2021年、メンバーのスジンに校内暴力疑惑が浮上。
これはメンバー紹介の「スジン」の項目で書いたが、スジンの校内暴力が事実だったのか嘘だったのかは、ファンの立場では断言することはできない。

この疑惑を受けて、(G)I-DLEのファンダムによる「総攻チーム」が解散を宣言。
新曲『화(火花) (HWAA)』のチャート順位が暴落する事態に。
チームに迷惑をかけていることを気に病んだのか、
スジンは疑惑の段階のまま脱退を選択した。

イメージが低下した(G)I-DLEは活動休止を発表。
ミンニウギそれぞれ母国に帰って芸能活動
ミヨン女優としての活動を開始。
仕事がなかったシュファは一人で練習することになった。

ソヨンは(G)I-DLEの知名度を維持するため、
一人で音楽活動を継続

その中の一つ、
『スケッチブック』に出演し、一人で『LION』を歌ったのがこちら。

この『LION』、
6人で歌っているときは、
力強くて勇気の出る楽曲だが、
ソヨンが一人で歌っているのを聴くと、
とても切なくて孤独な楽曲に聞こえる。
(これはこれでソヨンの圧巻の表現力を堪能できるので、今でも定期的にこの孤独ver.を聴きたくなる)

当時について、ソヨンは、

「主人公の一人がいなくなった物語は、それ以上は大きくなれないと思う。
(スジンの脱退で)(G)I-DLEはこれ以上大きくなれないだろうと思った

と不安だった胸の内を語っている。

ソヨンはそれまでメンバーの前で泣いたことがなかったが、
当時、唯一そばにいた韓国人メンバーのミヨンが、

「ソヨン、頑張ってるね」

と声をかけてくれたとき、初めて涙を見せたという。

「自分で思っていた以上に不安だった。
自分が不安だということにも気づいていなかった。
ミヨンお姉さんの言葉で感情が溢れ出た」

と語っている。

当時についてタイで活動したミンニは、
「一人で活動する寂しさを実感した。いつもメンバーに会いたかった」

世間は
(G)I-DLEは終わった
とみなし、
解散したと誤解する人が続出する状態。

たとえ復帰しても、
最高人気メンバーのスジンを失い、
さらにブランクがある状態では、
以前ほどの人気は獲得できないだろうと誰もが思った。

波乱の物語[第2期(復活編)]

『TOMBOY』の奇跡

活動休止から約1年。
「このまま終われない」と思ったソヨンは、
外国に散らばったメンバーたちに召集の号令をかける。

それぞれの個人活動をスタートさせていたメンバーたちが、半分絶望的になった(G)I-DLEに帰ってきてくれるのか、ソヨンは心配だったというが、
このときメンバーたちは一言も文句を言わず、何事もなかったかのように集まったという。

2022年、(G)I-DLEは5人体制で活動を再開し、
復活をかけた大勝負として
1stフルアルバム『I NEVER DIE』でカムバック。

「私は死なない」
という名前のアルバム。
幸い、このカムバックの大成功で、
(G)I-DLEは本当に不死身を証明することができた。

タイトル曲『TOMBOY』も、当然ソヨンが作曲。
デモテープの段階で(案の定)会社から反対を受けたという。
しかし、ソヨンは会社から反対されたことで、
「これはうまくいきそうだ」
と自信を深めたそうだ。

さらに、密かに歌手PSYにも聴かせたといい、
PSYは
これは2022年のKPOPを代表する一曲になる
と断言したそう。
(さすがPSYはCUBEと違ってセンスあるな)

『TOMBOY』
はサビの「I'm a fucking TOMBOY」の箇所で、
MVやテレビ放送ではfucking電子音ピーで消されるが、販売されるCD版では消されないfuckingが聴けるという、ちょっと面白い細工が話題になった。

『TOMBOY』はPSYの予言通り大ヒット
(G)I-DLE最大のヒット曲となり、
(G)I-DLEのファンでなくても、KPOPに触れていれば誰もが知る楽曲に。
この大ヒットによって、(G)I-DLEは解散どころか、
一躍トップグループに返り咲くことになった。

当時について、ソヨンは
「ずっと心を強く持ち続けていたが、『TOMBOY』でコケていたら、心が折れていたと思う
と精神状態が限界に近かったことを明かしている。

ちなみにアルバム『I NEVER DIE』に収録されたラップ曲『My Bag』も非常に高い評価を受けた。

この楽曲では、最初にソヨンが、
「私の鞄に入っている五つのダイヤを紹介するわ」
と歌い、メンバーがそれぞれ自己紹介していくのだが、ソヨンの自己紹介はない。

ソヨンは以前、即興で
五つ目のダイヤ」について歌ったことがあり、
これについて「言っても無駄」「セクシー」と。
つまり、五つ目のダイヤは、
おそらくソヨン自身ではなく脱退したスジンである。

『Nxde』

同じ2022年の秋、
(G)I-DLEは『Nxde』でカムバック。

タイトルは元々『Nude』で、
ヌード=裸
という意味。

シュファが、ソヨンからコンセプトの説明を受け、
ポリシーを曲げて髪を染めたことでも話題に。
当時はソヨンがシュファに髪染めを強制したのではないか?とパワハラ疑惑まで持ち上がったものの、
実際はソヨンはシュファが髪を染めたくないと言ったときのために、他のコンセプトも用意していた。
シュファは数日間悩んだ末に、髪を染めることを決意。それを聞いてミンニは泣いたという。

シュファの金髪も大変美しいが、
この楽曲は歌詞が圧巻である。

女性の裸を性的に消費する大衆を批判し
「私たちは裸で生まれてきた」
と自分たちの裸に対する肯定を歌っている。

この楽曲について、ソヨンは、
女優のマリリン・モンローをモチーフにしていると明らかにしている。

「マリリン・モンローは読書と哲学が好きな知性ある女性だったが、
セックス・シンボルとしてもてはやされたために、彼女の知性は無視され、無知で愚かな女性というレッテルを貼られた。
このようなレッテルは、女性アイドルという仕事をする自分たちにも無関係ではない
私はこのようなレッテルと戦いたい。全ての偏見は打ち砕かなければならない」(ソヨン)

この楽曲の発表前、所属事務所CUBEは、
放送倫理委員会で放送拒否されることを危惧し、
Nudeは露骨すぎる
とタイトルを変えるようソヨンに要請。

ソヨンは、
『Nude』は下品な言葉ではない
『Nude』が下品だと思う人にこそ、この歌を届けないといけない
と反論したものの、
結局は、Nudeの"u"を伏せ字の×になぞらえた"x"にすることで、折り合いをつけた。

この『Nxde』から、ソヨンの強い思想が楽曲に反映されるようになった。

おそらくだが、
ネットのバッシングでチームメイトを失ったこと、
それにより活動空白期を迎えたことで、
多くの思索をめぐらすことになり、
それが楽曲に現れるようになったのではないだろうか。

2022年の年末に音楽授賞式「MAMA」に招待され、
ステージの上で即興ラップを披露。
「今日はどんな賞をくれるの?」
「親切で作った賞はいらないよ」
と「大賞をよこせ」という意思表示をしたものの、
大賞の大本命といわれた『TOMBOY』は、IVEの『LOVE DIVE』に敗れ、大賞受賞を逃した。

『Allergy』と『Queencard』

2022年の2回のカムバックにより、
以前にも増して大人気グループにのしあがった(G)I-DLE。

2023年には、久しぶりのカムバックとして、
六枚目のミニアルバム『I feel』のリリースを発表。

先行曲として『Allergy』が公開された。

この楽曲では、
容姿に対するコンプレックスが歌われている。
(2NE1の『ugly』を思い出した方も少なくないだろう)

MVでは、ソヨンが美容整形をするか悩み、
最後に整形の手術台に横たわるところで終わる。

タイトルの『Allergy=アレルギー』は、
歌詞の「くそくらえ、私の鏡アレルギー」に由来するもので、
楽曲の主人公は容姿への嫌悪から、鏡を見るのが嫌い=鏡アレルギー。

ソヨンは、この「鏡アレルギー」という言葉は、
過去の自分のインタビューが題材になったと語っている。
(PRODUCE101での「鏡を見るのがいやになった」という言葉。)

このリリース後に発表されたタイトル曲『Queencard』のMVでは、整形しようとしていたソヨンが手術台から飛び降り、外に走り出す
『Queencard(クイーンカード)』は韓国製英語(和製英語の韓国版)で、その場で最もキレイな女の子を意味する言葉。
『Queencard』では、(G)I-DLEのメンバーたちが、
「私はクイーンカード」
自分を肯定する姿が歌われている。

ソヨンはこの楽曲について、
常に自信に溢れているメンバーたち、
特にウギからインスピレーションを受けたという。

前年の『TOMBOY』『Nxde』、
さらに『Queencard』は、
全てPAK(Perfect All-Kill)を達成。
PAKは韓国主要5社の音源チャートで、全て1位を一定時間以上達成することで認められる。
つまり「大大大ヒットの証」である。

一方、(G)I-DLEの大躍進をよそに、
脱退後のスジンは校内暴力疑惑を告発した中学時代の同級生に対し、名誉毀損をめぐる訴訟を継続。
裁判の過程では、告発内容の信憑性の薄さが指摘されたものの、最終的には「告発者に嫌疑なし」で、白とも黒ともつかぬ結論に終わった。
(「告発者に嫌疑なし」=「スジンの校内暴力があった」とは断定できない。)

判決ではあまり報われない結果になったものの、
裁判の過程で、スジンの無実を信じる人が増え、
芸能界への復帰を望む声が高まる。
2023年11月、『お嬢さん』でソロデビューした。


『Wife』と『Super Lady』

2024年1月に発売された、
(G)I-DLEの2ndフルアルバム『2』

当時は音盤バブルの崩壊で、
どのグループも初動販売数が前作を下回る状況だったものの、『2』の初動予約枚数は153万枚でキャリアハイを記録。
歴代ガールズグループ5位につけ、凄まじい人気を見せつけた。

私が想像する『2』に込められた意味は、
前に記事にも書いたのだけど、

「2」「N」「e1」

左から『2』『N』『e1』

2NE1だよね?(こじつけかな?)
ソヨン2NE1大好きだよね?
タイトル曲の『Super Lady』は、
(G)I-DLE版『I AM THE BEST』だよね?
MVめっちゃ似てるし。

と個人的考察。

話題を呼んだのは、『Super Lady』の前に先行曲として公開された『Wife』。

全員が同じ格好をし「妻」という没個性の概念を皮肉るこの楽曲では、
社会が押し付ける「妻」の枠組みを皮肉り、
女性の性欲を堂々と歌った。
『Wife』はKBS(国営放送)の放送不適格判定を受けたが、ソヨンは歌詞の変更を拒否。
歌詞を変えなかった理由について、ソヨンは、
「だって、間違ったことは言っていませんよね?
と堂々と言っている。
(しかもKBSのYouTubeコンテンツで。)

またタイトル曲『Super Lady』の公開後、
収録曲『Revenge』のMVが公開された。

これがどう見てもスジン脱退と、
それに対する残されたメンバーの憤りをモチーフにしていたため、ファンは騒然。
いまだにメンバーたち、少なくともソヨンには、
スジンに対する並々ならぬ想いがあるようだ。

『Super Lady』はクセが強すぎたのと、
プロモ期間が短くて小ヒットに終わったが、
収録曲の『Fate(私は痛いのが嫌いだから)』が大ヒットしてまさかのPAKを達成。
4アルバム連続のPAKはBIGBANG以来、
女性グループとしては初の快挙らしい。
(でも個人的には『Fate』より『Super Lady』が好きだなあ)

まさに飛ぶ鳥落とす勢いの(G)I-DLE。

『Klaxon』と(G)I-DLEの現在

『Super Lady』では、
メンバーの体調不良と春節のため、
あまり満足なプロモーションができなかったので、
「またすぐにカムバックしたい」と言ったソヨン。

言葉通り、2024年7月に
Klaxon』でスピードカムバックした。

気づけば前のカムバックから半年が経っているので、スピードカムバというほどでもないが、
(G)I-DLEはソヨンが楽曲を作っているため、カムバックの頻度が少ない。
なのでこれでも早いカムバックという感じがする。

『Klaxon』は夏らしくて、
少し前のK-POPが好きだったファン層の心を掴める楽曲だと思う。

同時に『Neverland』と題した、
ファンへの想いを綴った楽曲を公開。
(嬉しかったけど、もしかして(G)I-DLEが終わっちゃうのかなって不安になった。時期が時期だけに)

そしてワールドツアーを開始。
(もちろん東京公演のチケットは取ったよ!)

しかしそれと同時に気になることが。
(G)I-DLEは今年で7年目。
来年で再契約を迎えるが、果たして更新するのか?

(G)I-DLEの独立志向は以前から知られるところで
メンバーもたびたび、
会社を出て行きたい
と冗談混じりに発言しているが、どこまで本気かはよく分からなかった。

ソヨンは以前、
「CUBEの社長になります」
とジョークを言っていたが、

この『Klaxon』のリリース直前に、

「CUBEの社長になるよりは、
一生(G)I-DLEのリーダーでいたい

と発言。
CUBEに残りたいとも出て行きたいとも取れる内容に、ファンは混乱。

しかも先日のソウル公演で不穏な発言をして、
何やら会社と揉めているらしく……
果たしてソヨンと(G)I-DLEはCUBEと再契約するのか?

現在繰り広げられているソヨンとCUBEのバトルについては、次の記事で語ります。

私のおすすめ(G)I-DLEソング

この記事で登場しなかった楽曲の中から、おすすめの楽曲を紹介!

HANN(寒)

HANN(一)と、HANN(寒)と HWAA(火花)は三部作で、作曲したソヨンによれば、日本のアニメ『犬夜叉』をモチーフにしているらしい。
三曲とも一回聴いてほしい。

『ESCAPE』

ESCAPE』は、『TOMBOY』が収録されたアルバム『I NEVER DIE』の収録曲。
ミンニが作詞し、ソヨンが作曲した。

「私があなたを連れ出してあげるよ」
「どこへでも行けるよ」
「泣かないで」

とメンバーたちが語りかけてくれる楽曲。

現実から逃げ出したい時に聴いたら、一人で号泣してしまうこと必至。

『LIAR』

LIAR』も『I NEVER DIE』に収録された楽曲。
ソヨン作詞作曲。

別れた男を容赦なくディスりまくる楽曲。
発表当時、
「ソヨンの元彼の○○さんのことを言っているのでは?」
という憶測が広まった。

しかし、ソヨンが最近語った言葉によれば、
「誰か一人のことを考えて曲を書くことはない」
「一曲に一人の男では3分もたない」
一曲に三人くらいの男が入る
とのこと。(😵)

『Change』

Change』は、『Nxde』が収録されたアルバム『I love』の収録曲。
ミンニが作詞作曲した楽曲。

「昨日のような人生を生きたい」
「毎日夢見ていた日々、でも夢のない日々」
「いったいどれくらい成し遂げたら、幸せになれるのか」

スター人生の虚しさを歌った楽曲。

ミンニは2019年から作詞作曲に参加するようになった。
ミンニが作る楽曲は、どれもメロディが美しい
ほかにおすすめは、
ウギと共同作曲の『'i'M THE TREND』、
『2』に収録された『7days』『Vision』。

『Reset』

これも『Nxde』と同じ『I love』に収録された楽曲。

作詞はソヨンだが、作曲にウギも参加。
失恋の寂しさを歌った楽曲で、切ないメロディが胸を打つ。

『Peter Pan』

シリアスな曲が続いたので、明るい楽曲をチョイス。
『Peter Pan』は『Queencard』と同じ『I feel』に収録された楽曲。
作詞はソヨンとウギで、作曲にウギが参加。

「体は大人、心は子供」
「大人だけど子供みたいに駄々をこねたい」
20代として共感できる楽曲。

ウギが主体となったレコーディングも公開された。
(『Peter Pan』のレコーディングは09:25~)

『Doll』

『Doll』は、アルバム『2』に収録された、
ウギが作詞作曲した楽曲。

ウギが作曲しただけあって、低音パートでウギの声が活かされている。
私はあんたの人形じゃない
という訴えが込められた楽曲。

ウギは2020年から作詞作曲に参加。
このアルバムでは『Doll』『Rollie』がウギの自作曲。

『Last Forever』

Last Forever』は、
最新曲『Klaxon』と同じアルバム『I SWAY』に収録された楽曲。
ウギが作詞作曲。ライブクリップが公開された。

ライブクリップでは五人が楽しそうに、
「高みを目指す」
「未来をつくる」
を追い求めて」
と歌っていて、
これからも五人が手を取り合い走り続けてくれる予感を抱かせてくれる楽曲。
五人が助け合って苦難を乗り越えてきた道程を思い出して、
ちょっと胸が熱くなった。

改めて見ると、ミンニとウギが作った曲を多く紹介することになった。
(ソヨンの楽曲は、記事本文中で沢山登場したので。)

(G)I-DLEのプロデューサーはソヨンだが、ミンニとウギもそれぞれが個性の現れた楽曲を作っていて、チームの大きな強みになっていると思う。

個人的に三人の作曲家としての特色は、
ミンニはメロディックでロマンチックな楽曲、
ウギはからっとした割り切りの良い楽曲、
ソヨンはネチネチしていて(褒めてる)とにかく熱い。内に秘めた情熱が伝わってくるような楽曲。

今後も三人の楽曲をもっと沢山聴きたいし、
ミヨンとシュファの自作曲も勝手に期待している。

(G)I-DLEが末長く活動してくれることを願って。

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