熱々の備忘録
書こうとしているクリスマスとお正月の話が、どうにも流れのある文章にならなくて、
なんなら、
『クリスマスは嬉しかったがお正月は揉めた。』
という味気のない一文で完結してしまう気さえして、なんにも書く気が起こらなかった。
そんななか、絶対これはおぼえておきたい。おぼえておこう。おぼえておくんだ。
という出来事があって
もやもやした下書きをほっぽりだして今。
彼氏ともんじゃ焼きを食べに行った。
店員さんがかっこよくカンカンしてくれた(もんじゃ焼きでもお好み焼きでも店員さんが作ってくれてる間ってなんだか喋りづらくないですか?)大きいヘラを横目に
ちっちゃいへらで、すくい押し付けへつりながら楽しく食べていた。
あの明太子と餅のかたまりを絶対に我が物にするんだ!と邪なことを考えてちびヘラを伸ばした私は、
神様に手をはたかれた。
かっこよく言ってみたがなんてことはない、私のヘラは熱々の鉄板に横たわった。
鉄なのかアルミなのかステンレスなのかわからんが、持ち手の端の端まで熱をしっかり通しそうな素材が、今まさにジュージューとうなりをあげる鉄板で焼かれている。絶望。
とりあえず、哀れなヘラを救おうと試みようと、割り箸を割った私を尻目に
彼はなんてことない顔で、自分のヘラを私の皿に置いた。
四苦八苦した私の割り箸と、彼のおしぼりで
見事救出された私のヘラは、まるでもともとそうだったかのように彼の手におさまった。
もう、ちょっと、泣きそうだった。
誰かに単純だと言われてしまうかもしれないけど、ああ紛れもなく私は彼の愛の対象なんだな。
お互いに口をつけたものでも気にしない〜とかそういうふたりの背景はあるから、万人受けするような胸キュンでないことは百も承知で、私にとっては最大級の胸キュン事変だ。
「僕の使う?」とかそういう声かけがなかったことが逆によかった。
その日その時その時間の私に舞い降りた胸きゅん。
鉄板で熱された元私のヘラを
「あ、思ってたより熱くなかった(笑)」
と彼は笑い、ふたりで仲良く食したもんじゃ焼き。
ありがとうと言い、それ以上にありがとうありがとうと思いながら、
せめて残りのおいしい部分は全部彼にあげよう。
というか、今まで怒ってばっかりでごめんね。
これからは、今年は、優しくできるようにするよ。という
心の宣誓むなしく、数分後には
「あー餅のとこばっか食べてる!私もほしい!」
と、意地汚さの鬼のような私。
…人はそう簡単には変われないね。
悪い意味ばっかりじゃなくて、
これをいい意味に捉えて、彼の愛の対象も愛情表現もそう簡単には変わらなかったらいいのに。
それは私の努力次第か。
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