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「1人何」ができたら一人前になれるの

昨日、舌を火傷した。
理由はカンタン。熱々のハンバーグを急いで口に詰め込んだから。
お腹がすいて死にそうだったわけでも、直近に予定があったわけでもないのに。

1人で、ファミレスで晩ごはんを食べた。
「1人焼肉」も「1人カラオケ」もしたことがないけれど「1人ファミレス」をした。
ファミリー、カップル、友達。周りの席にはなんにせよ、集団しか見えなかった。

そんな中でどんな顔をしていいのかわからずにずっとスマホをいじっていた。
でも外食で、ご飯を食べながらスマホをいじれるほどまだ左手にスマホは、なじんでおらず食べている間はどこを見ていいのかわからなくなる。
もう頼んだのに机に貼り付いたメニューを穴が空くほど見ていた。

どの集団も私のことなんて目もくれずに、向い合わせの誰かと話している。
隣のカップルが、どっちがセルフサービスのお冷を取りに行くかでじゃんけんをしている。
子どもがおもちゃに歓声をあげる。
いいなあ。

ずっと私の横や前にはだれかがいたんだなあ。
家族、友達、恋人、先輩、後輩。どんな名前に属していようと、私と向かいあわせでファミリーレストランで会話してくれるだれかが。

1人暮らしもそろそろ1年で、もう孤独にはそれなりに慣れた。
それなのに「1人ファミレス」は私のなかの孤独を一層ざわざわさせる。
それはたぶん「ファミリー」という名前とは全然関係のないなにかのせいだ。

そんなときでも食べたかったハンバーグは当たり前に美味しくて、だけど同じくらい寂しかった。

会社帰りのスーツで1人でハンバーグをかきこんだ。かきこむような熱さじゃなくて、舌を傷めた。
なにやってるんだろう。
華金で、浮かれてハンバーグが食べたくなって、そのおいしさを噛みしめるはずだったのに。

舌をひりひりさせながらお会計を済ませて、外に出る。
カランコロンカラン。
「したやけどした」
しょうもないダジャレを、電波に乗せた。
ファミレスで向かいあわせに座ってくれるだれかに向けて、電波に乗せた。



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