どこかのやさしい誰か
子猫がいたのね。うちのアパートの駐車場に。
姿は見えなかったけど、ミーミー鳴いていたその声は間違いなく子猫。不安そうな鳴き声だったんだもの。
かわいそう
なんて思わなかった。
うるせぇな
そう思った。
かわいそうな出来事にはさんざん遭遇してきたから、子猫の鳴き声くらいじゃなんとも思わない。
子猫のこれからのことよりも今日の僕の睡眠の方が大切だった。
早くどこかに行って欲しかった
そしたら、
あの子猫はどこかのやさしい誰かに拾われてしあわせに暮らしているんだろう
と思うことができるから。
どこかのやさしい誰かは僕ではなかった
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