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旅行中の困った状態
ゴールデンウィークの旅行中、実は困った状態になっていた。ジーンズの前ボタンが外れてしまっていたのだ。ボタンは金具でカチャっとはめ込むタイプ。外れたのは旅行初日。トイレに行ったときのこと。
「あれ?ボタンがない?」
見るとボタンは外れ、床をコロコロと転がっている。
「なにも旅行初日に外れなくても。今まで大丈夫だったのに」
無理やりボタンをえいっと押し込むとうまくはめ込むことができた。強めに引っ張っても外れることはなかったので、とりあえず安心した。が、そのあとも何度かボタンが外れることがあった。
「どこかで瞬間接着剤でも買ってくっつけよう」
しかし、仏ヶ浦のトイレでそのボタンをお別れすることになる。仏ヶ浦へは観光船で上陸。滞在時間は30分。乗り遅れれば帰れない。出発の5分前にトイレに行った。チャックをあげようとしたときにボタンがないことに気がついた。時間もない。ボタンもない。僕には探す時間がなかった。
僕はボタンを諦め船に乗った。今でも仏ヶ浦には僕のジーンズのボタンがどこかにあるのだと思う。
ボタンをなくした僕は困った。ボタンで止めないと知らぬ間にチャックが開いてしまうのだ。
さて、どうしよう。僕は帰りの船の中で考えた。ボタンの代わりになるもの。紐で結べば大丈夫か。でも、紐なんて持ち合わせていない。手持ちのもので紐の代わりになるものはないか。さんざん考えた。
紙をこよりにすればどうにかなるんじゃないか?紙?紙?レシートだ!レシートをねじれば、こよりになる!
考えればどうにかなるもんだよね。見た目はアレだが、チャックが全開になる状況は避けられた。これでとりあえずは乗り切れる。でも、どうしようかなぁ、これから先。ユザワヤでボタンでも買うか。
なんて考えていた矢先。訪れた青森県立美術館通のお土産売り場で冒頭の写真のボタンと出会うことになる。
「あ、ボタンだ!これは運命だ」
と感じた僕はいくつかの種類の中かから2つを選んだ。ボタンは1つしか必要ないというのに。でも、いい記念じゃないか。お土産でボタンを買うことなんてない経験だ。
旅行を終えて帰ってきた僕は、早速ボタンを縫い付けた。残りの3つはいつか訪れるであろう出番を待っている。
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