オリオン座

「あのとき見た景色と一緒だ」

首を少しだけ明け方の空のほうに傾けた。

オリオン座。

12歳の部活の帰り道にみた星座と今の星座はなにも変わらないように見える。

僕は未だにこの星座しか知らない。冬になるとこの星座が現れることだけを僕は知っている。

知らなくてもいいことが多くあることをあれから僕は知った。

大抵の場合、知ろうとすれば僕の中の何かが傷ついてしまう。

自己防衛。

スルーするということは自分を守る手段なのだ。

知らなきゃいけないこと。それもまた自分を守る手段。

「間違えないように。間違えないように」と慎重に日々を暮らしているのが今の僕である。

ここまでに至るには多くの間違いを犯してきた。それがなぜ間違いだといえるのか?

十分に傷ついてきたからだ。

自分を守るために他人を攻撃したこともある。その結果、自分自身も傷ついた。みなが負傷した。

だれもしあわせにならなかった。

他人がしあわせであるかどうかは他人が決めればよいこと。

自分がしあわせであるためには自分の行動に責任を持つこと。他人を傷つけないこと。

これからもそんなふうに生きてゆけるだろうか?

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