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【感想メモ】手指の鬼

 以前Twitterでお見かけして二、三度読み返したアフタヌーン四季賞準入選受賞作品「手指の鬼」。普段Twitterで見かける漫画は全部読む訳じゃないしタイトルなんて全然気にしないし目に入らないし忘れてしまうものなんですが(申し訳ない)、この作品はタイトルをそのまままるっと覚えていたので紹介ツイートを見た瞬間「これは!内容忘れたけど!面白かった気がする!」と飛び付きました。最初のページ見て内容思い出して最後まで読んで「これや……」ってしみじみしました。

 サムネ見た瞬間「これは!」ってなったの我ながらびっくりしたしまた読めて嬉しい。こういうのは紹介ツイートをいいねしてもいいね欄に埋もれてしまうのでどこかにメモして置きたかったんです。この作品のためにnote始めました(あながち嘘じゃない)。

 なんか「感想はTwitterよりもブログとかコメント欄に残す方が偉い人の目に入って応援に繋がりやすい」ってツイート見かけたし(感想書かないよりはTwitterで呟いた方が良いとも言ってたけど)そういう場所があれば気に入った作品を後押しすることもできるのかなあって思って。本当は出版社なり作者なりに直接言えば良いんだろうけど全部の作品にそれができるとも限らないからね、一応こういう場を設けてみました。どこかに届け私の徒然文。


 ざっくり言えば人食い鬼と食われる予定だった子供の話。そういう関係性はよく採用されるけれど、最初の方には悲壮感、その後に日常の穏やかな時間、そして訪れる痛みと別離、終盤に回収される「手指の足りない者を食わない鬼」という設定、夜明けと共に明るみになる再会……最初から最後まで鬼が「鬼」だったのが私は好きです。たまにあるじゃん、人間食べる異種族が人間みたいな情を得て人間食わなくなるハートフルストーリー。この鬼は約束通り最初に食べてくれたってのがまた良い。その後も人間食ってるし、本当に「鬼」としてあの子だけを慈しんだんだなあって思います。

 最後、二人が再会に気付けたことと鬼が笑ってくれたことが本当に嬉しい。知らされるべき真実が知らされるべき人に知られて、その上で当人達が理解して飲み込んで終わる話が腑に落ちるタイプなのでこの作品はトラウマ化してないんですよね。たまにある、「読み手(と登場人物の一部)だけが真実に気付く」タイプの終わり方は真実を知る由を永遠に失う未来が苦しく感じるので心抉れます。それを狙っているのかもしれないけど! 一人で真実を抱えるのも知りたかったことを永遠に知ることができないのが確定するのもしんどい!!

 あらゆる意味で私の好みに合うお話でした。また読めて良かった。

 そしてこれを書くにあたって初めて知ったんですけど、この鬼さん「彼女」なんですね? そうだったのか……性別ないんだと思ってた。