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初めて救急車で運ばれ・致死性の心臓病(ARVC)だった話


概要

2023年5月、運動中に動悸が起き、救急車で運ばれました。
診断の結果、危険な不整脈のひとつである不整脈原性右室心筋症(ARVC)と診断されました。

進行性の心臓病で、今後は、一生、運動は禁忌とされ、いつまた動悸や心室頻脈がおこるかわからないため、日常生活でも気を付けなければならなくなりました。

30代男性の私が心臓病になった話

私は都内在住の3人暮らし(私、妻、息子)34歳、男性、普通の人生を送る普通の人間でした。

そんな私が不整脈により救急車で運ばれ、不整脈原性右室心筋症(ARVC)と診断されるに至った経緯とその後の動向(治療・予防・予後の生存等)です。

ARVCは症例数が少ない一方で若年齢の死亡例が多いようです
今後、同年代の人がARVCと診断された場合の1つの参考例として記録を残す事にしました。

症状や感覚は主観的なものなので、同じ症状でも同様の診断にはならない可能性があること、私は医者でもなく医療従事者・関係者でもないため詳しい診断や判断については主治医の先生等にご意見を伺ってください。

不整脈(心室頻脈)が起こった日

いつもと同じ日でした。

2023年5月13日土曜日
その日は、むしろ目覚めが良く朝からジムに行き、筋トレ、トレッドミルを約30分していました。

コロナ後は運動することもなかったため、慢性的な運動不足でありその日は本当にたまたまジムに行っていました。

その後、妻と生後6か月の息子と一緒に最近ハマっているカフェ巡りに。
コーヒーを一杯とプリンを食べました。

昼ごはんはうどん。

夜は約半年ぶりのバスケをしました。

バスケを始めて、たった15分程度で、「なんだがめまいが・・・」
と思うと同時に、心臓がバクバクしているのを感じました。

初期症状は、目の前が真っ白になりかけたため、すぐさま座って水分補給、糖分(お菓子)をもらい安静にしました。

その後はコートサイドで休憩することに。

過去に一度、半年ほど前にも同様の症状が現れたことがあり、その際は約10分走っていましたが、今回は準備運動がてらの小走り程度・・・

何か違うなと感じつつも、運動不足もあり久しぶりの運動が原因かなと思っていました。

今思うと、周りの人から顔が白いなどと言われていたため、血圧が低くなっていたのかもしれません。

1時間程度座ったあと、心臓のバクバクは止まらないものの、それ以上悪化することはなく、歩けそうだったのでそのまま電車で帰路につきました。

体育館から駅まで徒歩で20分程度、その後、電車で25分程度、帰宅まで合計約50分程度でしょうか。

歩いていると症状はどんどん悪化していき、駅にたどりつくのもやっとでした。電車では座ることができたため、深呼吸をしながらゆっくりしていました。

家に帰ってくる頃には、心臓のバクバクが大きくなり、吐き気、更に血圧が下がっていて体中に力が入らず、歩くのもきつかったのを覚えています。

何とか家までたどり着き、帰宅後は倒れるようにベッドで横になりました・・・

その後すぐ吐き気と倦怠感が襲ってきて大きなうめき声をあげ、何度も吐きました。胃に何も入っていなかったため、ただ胃液がでるようになり、その後は嗚咽のみ響きました。

何とか話はできますが、明らかに心臓は早く、吐き気と倦怠感を体中に感じており、もう立つ事は出来ない状態でした。

今まで感じたことのない状態で、何度も吐くようなしぐさと大きな声を上げており、冷や汗もすごかったため妻が119番通報してくれ、救急車がつくまで約15分、救急車から病院まで約30分、緊急搬送されました。

救急車での会話も意識はありましたが、胸がつかまれるような違和感と心臓のバクバク感を感じながら、そばについてくださった救急隊員の方に状況を説明し、近くの病院へ

あとから聞いた話ですが、救急隊員の方曰く、脈拍が200を超えており、血圧は低い状態だったため、そのまま放置していたらやばかっただろうとのことでした。

病院での処置

緊急で搬送され、直ちに注射が打たれいくつかの薬を処方、効果がなく頻脈が悪化し220回/分程度になったため、DC(いわゆる電気ショック)を処置し、正常な脈拍になったそうです。

DCを受けるまでの意識はありましたが、DCのために薬で意識を落としたのでその後は30分程度寝ていました。

その後、気分が悪く起きた後も吐き気を催しました。

処置していただいた先生から、一度は帰宅して良いとの指示がありましたが、危険な不整脈の可能性があるため、そのまま検査入院することになりました。

不整脈にもいくつか種類があり、その不整脈の原因が心臓のどこ(上か下か、右か左か)かによって深刻さが違うそうです。

一般的に、上(心房)より下(心室)の方が、更に右(右心室)より、左(左心室)の方が深刻なようです。

入院生活

翌日以降は血圧、脈拍ともに安定しており、安静な生活をしていました。気分も悪いことは一度もなく、心臓のバクバク感もありません。

入院中(5泊)一度もめまい、動悸、失神等の症状がでることはありませんでした。

但し、心電図を24時間計測していたのですが、たびたびPVC(定期的な脈でないもの、いわゆる期外収縮)のアラームは鳴っていました

PVC自体は誰にでも起こるものなので特に気にする必要もないものですが、頻度が多いと不整脈を誘発することにつながるようです。

入院中、とくに集中治療室にいた際は常に心電図が自分でも確認できる状態でしたが、結構PVCの数が多いなと思いました。

因みに、人間の脈拍は1日で約10万回だそうです。

PVC(期外収縮)の回数がいくつ以上だから危険という指標はないそうですが、1~2万回を超えるような場合は、明らかにPVCが多いとなるようです。

PVCにも複数の種類があり、問題ないPVCもあるようでその辺は専門的な話ができる人に聞いた方が良いです。

その他、入院中にホルター心電図検査(24時間の心電図をつけた検査)、レントゲン、心エコーを行いました。

また、薬(不整脈を抑える薬 メインテート)を毎朝一錠飲んでいました。

安心感のない退院と今後の予定

理想であれば、原因を突き止め対策をしてから退院となるのが良いのですが、仕事の状況もあり早期に退院を希望していたので、結果的に5泊で退院することになりました。

心臓の疾患の嫌なところは、退院時に何も状況が好転していないことです。

通常のケガであれば、手術により安静にして退院となるため、ケガの状況が良くなっているのがわかりつつ退院できます。

しかし今回の不整脈はまだ原因も特定されていない上に、今後いつまた再発するか分からないことが不安でした。

退院するにあたって、着用型除細動器(WCD)というのをレンタルしました。

着用型除細動器(WCD)とは簡単に言えば着用型のAEDで、再び不整脈が起こった場合には電気ショックで心臓の脈拍を保ってくれるものです。

先生には無理を言って早期退院をお願いし、結果的に5泊で退院することになりましたが、不整脈の原因を治療できるわけもなく、自分にできることひはただ安静にすることです。

といってもいつ発作が起こるかわからないので、つまり一生安静となるため、なかなか実感がないのが本当のところです。

心臓病と生きていくこと

骨折などの通常のケガと違い、心臓病は自分で鍛えようがありません。

特にARVCは運動は禁忌(してはいけない)とされており、今後運動はできなくなってしまいました。

バスケのような高負荷の運動だけでなく、自転車や登山等の軽めの運動までできなくなるのは悲しくなりました。

ARVCの治療方法は、主に①頻脈発生時の対処(埋め込み型ICD)②治療(カテーテルアブレーション)③予防のための薬(β遮断薬等)に分類されるようです。

循環器学会のガイドラインに診断の基準等の記載がありました。その他の診断後の経過の研究等もかなりされているため、こちらは別記事で紹介しようと思います。

最後に

今まで入院も手術もしてこなかった、いたって普通の人生を過ごしてきた私が心臓病と言われた時は「嘘だろ」と思いました。
というか今も実感がわいてきません。

しかし、日本における心疾患での毎年の死亡者数は約20万人程度もいます。

更に30代の死亡者の死亡原因としても3位に心疾患が入るほど、数多くの人が命を落としています。

死亡原因(30代)
1位 自殺
2位 悪性新生物(がん)
3位 心疾患

私は、たまたま自宅にいた妻が救急車を呼んでくれたため、早急に病院に行くことができましたが、一人暮らしだったら手遅れになっていたかもしれません。

心疾患の人が不整脈等を起こした場合に有効な手段としてAEDがあることは知られていると思います。
今回の件で、私も妻も(というか妻の方が・・・)AEDの使い方について学んでくれることになり非常に感謝しています。

本当にいつ誰が起こるか分からない
それを身をもって実感しました。

皆様も身近な人の命を守るために、日ごろからAEDの場所を把握し、使えるようになることができれば、心疾患での死亡者は減るのだろうと思いました。


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