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暮らしの勉強メモ⑧お茶の話(種類編)

雑貨屋 あるくらし は、現在、店舗を持っていませんが、
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店主の暮らしの勉強メモについての詳細は、暮らしの勉強メモ1に想いを書いています!)

前々回の投稿では、お茶の「製茶方法」を、前回の投稿では「歴史」をみてきました。今回は一旦最終回として、お茶の「種類」がテーマです。
中国茶の教室に通い始めてから、「私、このお茶が一番好きかもしれない!」というお茶に出会ったと思えば、違う種類のお茶を飲むと、「私、このお茶が一番好きかもしれない!」とまた同じセリフを繰り返していたりします。それほど、毎度毎度新鮮な感動があり、種類の多さ、味や香りの幅が広いお茶の世界は面白いなと思うのです。
そして、お茶は種類によって、身体を温めてくれるもの、熱を取ってくれるものもあり、不思議なことにそんな効能に応じるように、季節や体調によっても好みのお茶が変化したりもします。
お茶を習い始めた冬の時期は、岩茶や木柵鉄観音が好きだったけど、暑い季節は緑茶や白茶、水出しのお茶が飲みたくなっている。
そうそう最近、水出しではなく炭酸水で出すお茶や、濃いお茶をハイボールのように炭酸で割って飲むことも経験しました。
新鮮な美味しさにびっくり。アルコールが弱い私にとって、ガラスの茶杯に入ったシュワシュワとしたお茶は、まるでスパークリングワインのようで、なんだか嬉しかった。
実は、お茶は、カフェインや身体が温まる効果から、お酒のようにふわりと心地良く“酔う”「お茶酔い」という表現もあるんです。
まだまだ習って間もないけれど、季節や体調で移ろう自分の感覚を知る事もお茶の楽しみのひとつだなと感じます。お茶の種類を知っていくと、今の自分にフィットするお茶は何だろう?と想像が広がるきっかけになるのかも。ワクワクしますね。

お茶の種類

前回歴史を見てきた、中国・日本のお茶の種類と、紅茶については産地別の種類についてそれぞれ見ていきます。

中国茶の種類

茶葉の色や形、味や香りも全く異なる中国茶。黄茶のみ不在です。

中国茶は加工方法の違いによって、緑茶、白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶の大きく6つに分類され、それぞれ発酵具合が異なります。また薬膳の観点から、上記の表記順に寒涼→温熱の性質があるのだとか。

■緑茶
中国茶の生産量の6割以上を占める中国の代表的なお茶。中国では、烏龍茶ではなく、緑茶が一番よく飲まれている。
お茶は発酵をしていない「不発酵茶」。日本の緑茶が「蒸して」茶葉に熱を加え発酵を止めるのに対し、中国では、「炒る」のが一般的。そのため、中国の緑茶は摘み立ての茶葉のさわやかな香りに加え、なかには香ばしいものも。水色は日本の緑茶より薄く、味は渋みが少なく、後味がよい。
カフェインを多く含むため利尿作用が高く、からだの中の毒素と老廃物を輩出させやすくする。むくみをとりたいときにおすすめ。ビタミンCも豊富に含まれている。不発酵のお茶にはカテキンやフッ素が多く含まれ、殺菌・消毒効果もある。

■白茶
白ごうと呼ばれる白い産毛が生えた若葉のみで作られる。多くのお茶は、「揉ねん」といって茶葉をもむ工程で乾燥させ発酵を促すが、白茶は強制的に乾燥させるのではなく、日光と月光で少しずつ自然乾燥させ、ゆっくりと発酵を待つ「弱発酵茶」。水色は薄く、繊細で優しい味わい。丁寧につくられた茶葉は古くから文人や皇帝に愛されてきた。
からだの余分な熱をとりのぞく作用があり、暑さしのぎ、蕁麻疹・水疱瘡にも良いと言われる。のどを潤してくれるため、乾燥する時期におすすめ。
芽に凝縮されたカテキンやポリフェノールをはじめ、免疫系を強める抗酸化物質が豊富に含まる。

■黄茶
「悶黄」という、黄茶独自の工程でわずかに後発酵させた「弱後発酵茶」。
水色が黄みがかっていることから黄茶という。発酵度は低く、どちらかというと緑茶に似た上品な味わいが特徴。味わうだけでなく、「見て楽しむお茶」であり、昔の皇帝や文人たちも、茶葉が上下にゆらゆらゆれるさまを眺めたという。工程に手間がかかり生産量が少なく、貴重なお茶。

■青茶
発酵を途中で止める、「半発酵茶」で、発酵度が15%~70%と幅が広く、あまり発酵させないお茶から、発酵が進んだものまでさまざまな種類がある。
豊かな香りが特徴。緑茶と紅茶の良さを併せ持つ。代表的な烏龍茶は、ポリフェノールを多く含み、中性脂肪を洗い流す作用がある。飲み続けるとコレステロールが低下し、新陳代謝が活発に。生活習慣病の予防やダイエットに効果的。胃に刺激を与えて食欲を増進してくれる。

■紅茶
中国紅茶は赤褐色になるまで十分に発酵させる「全発酵茶」。身体を温める作用がある。中国紅茶は、小種紅茶、工夫紅茶、紅砕茶の3種類。香りはインドやセイロン紅茶と比べてとてもフルーティーで、苦味がないのが特徴。砂糖やミルクを入れず、ストレートで飲むのが中国流。中国紅茶は、世界中で飲まれている紅茶のルーツ。

■黒茶
製造工程で微生物を加えて発酵させる「後発酵茶」。普通の茶葉の状態を「散茶」、発酵前に型などにいれてかためた「固形茶」がある。ワインのように何年も寝かせることで、特有の熟成した味わいに仕上がる。古い物が高級とされ、熟成が進めば進むほど価値が高くなる。
体脂肪を燃焼しやすくする働きがあり、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす。食事中に飲むと効果的。新陳代謝を促進して身体を温めてくれるので、冷え性、血不良による肩こりや頭痛、風邪の引き初めにもよい。

日本茶の種類

最近は水出しの番茶や、冷たく冷やしたほうじ茶をカプカプ飲んでいます。

日本で生産されるお茶のほとんどが緑茶。葉・茎で作るか、蒸すのか炒るのか等製造方法によって風味の異なるお茶が作られています。
今回は「緑茶」にしぼって詳しくみていきます。

煎茶
摘んだ茶葉を蒸して発酵を止め、揉んで仕上げたお茶。バランスのとれた甘味と渋み、爽やかな香りが特徴。日本茶消費量の約8割を占める。
一般的な煎茶は、新茶(一番茶)の次に摘まれた二番茶。茶葉は濃い緑色で、針のように細くよれている。水色は澄んだ黄緑色。

番茶
煎茶用の茶葉を摘んだあとに刈り落とした葉で作られるお茶。また、遅い時期にできるお茶という意味で「晩茶」とも呼ばれるが、今では「三番茶」「四番茶」をさすことが多い。
日常的に飲みやすく比較的低価格が魅力。のどごしが良く、フッ素が含まれ、虫歯予防になるため、食後に飲むお茶として最適。
一般的に水色は煎茶よりも薄く、軽い口当たり。

焙じ茶
煎茶用の茶葉から取り除かれた茎や下級品の煎茶や番茶などを炒って作られるお茶で、独特の香ばしい香りが特徴。
高熱で焙じる事でカフェインやタンニンが少なくなり、渋みや苦味がほとんどない。さっぱりとした味で胃にもやさしくたっぷり飲む事ができる。水色は麦茶のような褐色。飲む前に自分で炒りなおすと香ばしさがUP

玉露
上質の茶樹の葉のみで作られる最高級の緑茶。玉露用の茶葉は、「被覆」といって、芯芽が2~3枚開いたところでわら等をかぶせ、約20日間、直射日光を遮る。こうすることで緑色の濃いやわらかな葉となり、玉露独特の風味が生まれる。
茶葉は細く、つやのある緑色。水色は透明感のある淡い黄緑色。低めの温度のお湯をいれれば、とろっとした甘味が際立つ。

抹茶
玉露と同様に、直射日光を遮って栽培した茶葉を蒸して乾燥させ、臼でひいたもの(臼でひくまえのお茶を「碾茶(てんちゃ)」という)。茶葉ごと飲む抹茶はビタミンC・E・Aなどの栄養が無駄なく摂取できる。
茶葉は粉末状で、鮮やかなうぐいす色。茶葉に湯を注ぎ茶筅で泡立てていただく。水色はお湯と茶葉が良く混ざるほど濁った翡翠色に変わる。

茎茶
煎茶や玉露を作る過程で使われなかった茎の部分を集めたお茶で、その形状から「棒茶」とも呼ばれる。とくに玉露の茎だけで作る「かりがね」は高級品。煎茶をはじめとする茶葉の緑茶にはない、青々しくて爽やかな味わいが特徴。
水色は薄く、爽やかな香り。香りを楽しむお茶で、高温(85~90℃)でいれると香りが良くたつ。

芽茶
煎茶や玉露を作る過程で使われなかった芽の部分を集めたお茶。旨味がぎゅっと詰まった濃厚な味。苦味と渋みが強いので頭をすっきりさせたい時に最適。
茶葉は細かく丸まっていて、お湯を注ぐとゆっくり時間をかけて開いていく。水色は濃い黄色。香りが強く、何煎も飲む事ができる。

粉茶
煎茶や玉露の仕上げの過程でふるいに分けられた細かい粉を集めたお茶。
短い時間で茶葉の成分が溶けだしやすく、茶葉の有効成分をそのまま摂取できる。
茶葉は粉状で、お湯を注ぐだけですぐに濃厚な味が出る。水色は鮮やかな深緑色。後味がさっぱりとしている。

紅茶の種類

紅茶への扉がまだ開いていない私。イエローラベルにお世話になっています。

世界で生産・消費されているお茶で最も多いのが紅茶で、お茶の全生産量の約70%を占めています。紅茶の代表的な産地は、インド、スリランカ、ケニアなど、「ティーベルト」と呼ばれる北回帰線と赤道付近に集中しています。

【インドの紅茶】
世界最大の紅茶の生産国である一方、自国での消費量も多いため輸出はあまりされていない。
最も生産量の多い地域はインド北東部で、濃厚な味わいのアッサムや世界三大銘茶のひとつであるダージリンが有名。南インドでは、高地に位置するニルギリを中心に年間通じて香り高い良質の紅茶が生産される。

【スリランカの紅茶】
北海道ほどの小さな面積の国であるが、生産量はインド、ケニアに次いで世界第三位。かつての国名である「セイロン」からセイロン紅茶と呼ばれ、水色、味、香りの三要素のバランスが良くとれていることが一般的な特徴。

【ケニアの紅茶】
イギリスの資本により20世紀より紅茶の生産がスタート。現在では生産量世界第2位。茶園が新しく樹が若いため、香りもフレッシュで明るい紅色の水色をしている。細かく砕かれたCTCタイプの茶葉が多く、すっきりとした渋みにフレッシュな香味が特徴。癖がないためブレンド用やティーバッグ用に多く利用される。

【インドネシアの紅茶】
第二次世界大戦までは、インド・セイロンと並び紅茶の一大生産国であったが、戦争のため茶園が荒廃。近年、ジャワ島・スマトラ島を中心に生産が増え、生産量・輸出量ともに世界第4位になっている。セイロン紅茶に似たものが多く、水色は明るく、香りも新鮮でマイルド。コクがやや不足しているため、主にブレンド用や増量用に使用される。

おわりに

何かを始めたい、勉強したいと思う背景には、「感動体験」があるんじゃないだろうか?と思います。
今から1年前、私は急須を持っていなければ、お茶に対する関心も今ほどではありませんでした。暮らしの中で少しずつお茶を楽しむようになったのは、中国茶を習い始める前も含め、数年かけて「美味しいという味の感激」「お茶を淹れる道具が素敵!」この2つの感動体験が少しずつ積み重なったからだと思います。
一発ドカンと衝撃的な感動、じわじわと積み重なる小さな感動。感動の種類はなんだっていいと思います。だけど経験上、心が動くその瞬間、義務感からくる学びではなく、好奇心からくる学びが訪れてくれると、私は信じているのです。「わぁっ!」と心ときめく瞬間を、大小問わずに自分で気づく。その気づきが、自分の個性や価値観を形作る好奇心に繋がるのかもしれません。

今回で一旦お茶の勉強メモは最終回ですが、私のお茶の学びはまだまだ続きます。またどこかで、お茶の勉強メモの回、リターンズがあるかもです。
そのときはどうぞまたお付き合いいただけますと幸いです。

はじめましての方も引き続き読んでくださっている方も、お読みいただきありがとうございます。今後も焦らずゆっくり続けていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

店主 絢音

【参考文献】
リング ゲイラード著 磯淵猛監修 
完璧な一杯を淹れるためのテクニックを紹介
世界のお茶・基礎知識・文化・ブレンド・レシピ
TEA BOOK(2016)
大森正司著 おいしい「お茶」の教科書
日本茶・中国茶・紅茶・健康茶・ハーブティー(2010)
ジョセフ・ウェズリー・ウール著 磯淵猛監修(2017)
茶楽、世界のおいしいお茶、完璧な一杯のためのレシピ
平田公一監修
選び方・いれ方・楽しみ方入門 中国茶の本(2005)
薬日本堂監修 岩野祐一発行(2018)
日本漢方養生学協会認定 全改訂版 薬膳・漢方検定公式テキスト

【参考webサイト】




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