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反り返る子ども・固まる子ども

私の子育てで感じたことをお話させていただきます。

ボディイメージがある子どもは、駄々をこねて抱っこした手からくねくねと体を反らしたり曲げたりしてずり落ちていく時に、ずり落ちながらも床に足を着けたり、寝転びながらもゆっくりずり落ちていきます。

肢体不自由児で感覚過敏がある時に、この反り返る行動で本人が落ちた時のことを一切考えてないことが、親や子どもに関る人にとって対応に困る問題の一つです。
「怖い」「嫌だ」と思った時には、瞬間的に体が反っているんです。
ずっとお世話をしていると、この時に嫌がるやこの場所が嫌だと分かっていくのですが、体重の軽いうちに対処法を理解しておかないと、体重が重くなってきて急に反られると落とすつもりはなくても安全を守れないことになりかねます。

肢体不自由児の支援学校でPTAの役員をしていた時に、通学バスの新人添乗員さんがこの状態になって子どもを落としてしまった問題がPTAの会議で報告されました。
通学バスでは、バスの乗り口で親から添乗員さんに子どもが受け渡されることになっていて緊張する瞬間です。
先生やバス会社側のこれから注意して対応していく旨の報告を受けました。その場では会議を長くするのをためらって自分の考えを話すことはありませんでした。
単純に子どもの気持ちが理解されれば、何も問題は起こらないのにと思っていることを、説明するには整理して話せる自信も無くて控えてしまいました。
肢体不自由児で言葉の出ていな子どもも、状況をしっかり見ていて自分の身の安全を気にしています。でも、自分では逃げれないし、言葉や発声で上手に表現できない子どもも多いです。
全介助で抱っこして移動する時、当たり前に抱っこを受け入れていると思うことがまず問題です。「知らない初めての人に抱っこされるの?」「この人上手に抱っこできるの?」自分の全部を預けるのにたくさんの不安を感じているはずです。抱っこされた瞬間に「嫌だ!」と思ったら、体に反り返る反応となって出ます。
この反り返りは、気持ちの表現で言葉の代わりであることが多いんです。

抱っこする前に、「初めまして、抱っこされるの不安かもしれないけどしっかり抱っこするから怖がらないでね」と断りを入れれば、問題がないのです。それで足りな時は、「嫌だねー」「嫌だねー」と繰り返し、本人の気持ちを代弁しながら座席まで行くことをおすすめします。
座席に無事に着いたら、「嫌だったのに一緒に来れたね」と一緒に来れたことを強調しておけば、次からは顔パスになるかもしれないんです。

身体的な障害があり、自らは嫌な場面から逃げられない子で、意思表示が無くおとなしい場合は、本人の気持ちがないがしろにされがちです。黙って、怖さを耐えている場合、怖すぎて固まっている場合もあります。


反り返りの強い子

反り返りは一種の意思表示で、反り返りの強い子どもはある意味おしゃべりな子どもかもしれません。気持ちが体に出ているのです。
運動機能に問題のない子どもの場合には、体幹があって胴体から腕に力が伝わって、腕を上げて「ヤッター」と喜ぶことや、胴体から脚に力が伝わって「怖いから逃げよう」と二段階で動作となって気持ちが行動となっているのですが、肢体不自由児で体幹がしっかりしていない時に、二段階の動きにならず単純な上半身を反らして「うれしい」「怖い」等の感情表現となってしまいます。
この時に、体の筋肉の癖として強まってしまうことを避けるために、意志表示を助けて発散してあげることをおすすめします。

誰にでも、このような経験があると思います。自分の言いたいこと、伝えたいことが溢れて興奮気味になって力が入ることです。でもそんな時に、相手が自分の気持ちを「こういうことでしょ。気持ち分かるよ」なんて言われると、「分かってくれてるんだ」って力が抜ける経験をしていませんか?
体の力が抜けて、ちょっと落ち着いたという経験です。

反り返る子どもにも、「怖いね?逃げたい?」「うれしいね?」「お話に入りたいの?」等など、気持ちを言葉にしてあげるだけで体の力は抜けていきます。
気持ちを言葉にしてあげて日常的に体を反らす必要性を減らしながら、体幹を作る運動をしていくことが必要です。
胴体から腕や胴体から脚へと二段階の動きになるように頑張りましょう。

介助でもできるストレッチ・筋トレはこちら
https://balance.arukunn.com/

固まる子ども

怖すぎて固まりおとなしいと思われ意志が汲み取られにくい子どもがいます。
感覚過敏があって怖がりの肢体不自由児の子どもは、黙っていて不安や緊張で固まっていることがあります。教室に入る瞬間など、だいたいいつも車いすで先に入ることになります。動ける子どものように、本当は親や先生の後ろに隠れて安全を確かめてから進みたいと思っていることもあるんです。

意思表示が分かりにくい時は、本人の苦手のデータなどから場面へ配慮をして、表情から気持ちを汲んで、本人の気持ちを代弁してあげることが大切です。
前もって、嫌がることが予想できるときは、先に情報を伝えてあげて「人が多くて驚くかもしれないけど、一緒だから大丈夫。もし、どうしてもダメなら、一緒に退室しよう。」など、心に余裕のできる言葉掛けを心掛けましょう。
入学式や卒業式などの緊張する場面でも、「今日は、人いっぱい見ているし緊張する~。」など、同じ感覚でぼやいてあげるのも効果的です。
その後、「(緊張する気持ちは)みんなも同じ。」、「失敗しても平気だよ。」等、落ち着ける言葉掛けも必要です。

「ギャーギャー」自ら声を出して発散できている子どもは、ただ固まって我慢して時間を過ごすより、本人の気持ちが解放されていることになります。
「静かにしましょう」と注意する前に、気持ちを出せていることを評価してあげる方が「緊張しているの?」「嫌なの?」→「ちゃんと気持ち伝えてくれてるんだね」声が出ていないよりも、声が出せる方が同じ場面においても、ストレスの度合いは発散出来ていて精神的には健康的なんです。

まず、気持ちを素直に出せていることを評価して、場面に応じて静かにできるなどは次の段階です。
違う場面でも、本人の緊張などの気持ちを代弁して、ぼやいてあげて、言葉掛けで支えてあげることで、体に現れる緊張も改善されるはずです。

この対応は、言葉の出ない子どもだけでなく言葉は出ても十分に自分を出せていない子どもにも必要なことだと思います。
自閉症などで、暴れてしまう子どももこのような気持ちの緊張から問題行動になることも多いので、代わりに言葉にしてあげることで、「理解者が傍に居る」「不安に思っていても普通なんだ」「みんなも緊張しているんだ」「上手にできなくてもいいんだ」と思えることで落ち着いて「今できるだけをしよう」と思わせてあげましょう。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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