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「解剖学 運動面・運動軸」治療家の常識に対する違和感


【はじめに】

簡単な自己紹介

あるくん歩行体操教室、姿勢トレーナーの東 史(アズマ フミ)と申します。

大阪府枚方市の体操教室では、ミドル世代シニア世代の姿勢矯正と歩き方矯正トレーニングを行っています。
生徒さんのほとんどが、脊柱側弯をお持ちです。

運動面と運動軸について、自分の理解に問題ないか、柔道整復師・理学療法士・パーソナルトレーナー・整骨院などのホームページの解説を、勉強のためにいくつも読ませていただきました。

どの解説にも納得のいくものがなく、社会通念に問題がないか疑問を持ちました。この記事では、私が、おかしいと感じた運動面・運動軸の治療家の認識について書いています。


解剖学の運動面と運動軸とは

解剖学 運動面・運動軸の図

人の体の運動面と運動軸は上の図の通りです。

解剖学では、体を左右で分ける面と、前後で分ける面と、下半身と上半身に分ける面を運動面と言い、次の3つになります。

①矢状面:正中矢状面とも言い、体を左右で分ける面
②前額面:正中前額面とも言い、体を前部と後部で分ける面
③水平面:上半身と下半身で、体を二分する重力方向に垂直な平面

そして、運動面に対して垂直に、3つの運動軸があります。

A垂直軸:③水平面に対して垂直で、正中矢状面と正中前額面が重なる軸
B矢状‐水平軸:②前額面に対して垂直になる前後方向の軸
C前額-水平軸:①矢状面に対して垂直になる左右方向の軸


歩行など、空間における運動は関節を中心とした体節の回転運動で、その回転中心が運動軸になります。

これらは、体の水平垂直が守られて、初めて正常に働きます。



【運動面・運動軸 治療家の常識の疑問点】

1、運動面・運動軸の図について

ホームページで使用されている運動面・運動軸の解説に使われている図が、実にアバウトで、人間が歪んでいたり、ゆるいキャラクターを使って表されたりしていることです。

運動面があって運動軸の意識ができるためには、少なくとも姿勢が良くなくてはいけません。
非対称なモデルやイラスト、体の部位が不明確なキャラクターで表現できるものではないのです。にもかかわらず、雑な表現をされている図が圧倒的に多いのに驚きました。

運動面がある良い姿勢と運動面が無い悪い姿勢

良い姿勢でないと、運動面はつながりません。


2、運動面・運動軸で行う運動について

運動についての解説も、納得できるものに出会えませんでした。

「○○面の運動には、肩関節の伸展、スクワットがあります」「体を回旋するには、○○面と○○軸を使います」と、いった表現は、私の感覚では正しいとは思えません。

運動面や運動軸を使った運動はこれです。といった説明だと、その運動自体が意味のあるように捉えられてしまいます。

腕のストレッチ 運動面・運動軸あり VS なし

上の写真のように、同じ運動をする2人が、同じ効果のある運動にはなりません。理由は、運動面運動軸で行われている運動と、そうでない運動です。

腕を広げるポーズ 運動面・運動軸あり VS なし

運動面と運動軸は、正しい姿勢と正しい筋肉バランスが、あってこそ持ち合わせるものです。

横に手を広げるだけの運動も、運動面があって運動軸でできる人には、効果のある運動になって、運動面が無い人では、運動の効果は、著しく減少または悪影響も考えられます。

高齢者の過剰な運動が、かえって筋力低下やケガ、体調不良の原因になる理由は、体の水平垂直が崩れて運動面が無いままに、運動を行っていることが考えられます。

年齢を問わず高度な運動で、健康になれる人と逆効果になる人の両方が存在することも、運動面・運動軸の有無で考えれば説明が付きます。

3、肩関節の運動と可動域について

肩関節の運動-内転・外転

上の図は、解剖学の教科書や試験でも使われるような図です。治療家が、上の図で学ぶのは、肩の動きを表す言葉と方向そして肩の可動域です。

この図では、動きの専門的な表現や肩の可動域を、覚えるだけに終わっているように感じました。そのため、この可動域で動かせれば運動面、運動軸で運動ができたと考えている治療家も少なくないのではないでしょうか?

肩関節の内転外転のための運動面、運動軸

〈肩関節の可動域を正常値で発揮するために〉
幾つもある矢状面と前額面の中で正中を選び、垂直軸を動かないように固定ができて、左肩の位置で矢状面Aを選び固定して出来る、矢状‐水平軸と前額‐水平軸を安定させて使う必要があります。

運動面・運動軸による運動は、単なる肩関節の外転内転という動き自体でなく、動きを行う時に体内部に存在する、体の位置関係を認知しコントロールする力があってこそ可能になりす。

この力があることが前提で理解していないと、肩関節の運動の図で試験勉強した場合は、肩関節をひたすら動かすだけで意味があると、誤解して覚えてしまうのではないでしょうか。



【患者側の感じているリハビリの矛盾】

リハビリテーションの内容に疑問を持った事例

肩が動かなくて受けたリハビリ:ただ肩を動かすだけだった
歩行の不安を感じて受けたリハビリ:腰が曲がったままで歩く練習をしただけだった

上記は、治療として医療のリハビリテーションで提供されているサービスです。
いずれも、運動面、運動軸の有無を考えないまま、繰り返し行う運動では、運動機能の改善はありません。

患者側は、仕方なく受け入れていますが「次に何かあるかもしれない」や「おかしいと思っていても意見できない」など、疑問は感じています。



【まとめ】

運動面・運動軸を維持できるかは、人間本来の運動機能を保てるかどうかの重要事項です。

しかし、治療家の持つ運動面・運動軸についての常識で、次の3つの違和感がありました。

  1. 運動面運動軸の図に対する理解がいい加減で、誤解を生む発信をしている治療家が多いこと

  2. 運動面運動軸で運動ができるかが重要であるのに、運動自体に意味があると誤解して、発信している治療家が多いこと

  3. 垂直軸の有無を無視して、部分的な関節可動域を重要視するような勉強や試験が行われていること

その結果、運動面運動軸がないままに、治療としておこなわれているサービスに、患者側は疑問を感じています。疑問を感じていても、矢も得ず受け入れている事実があります。

運動面運動軸の有無は、運動を行う上での基礎部分です。基礎部分の常識に間違いがあれば、筋力低下やケガ、体調不良の原因を、サービスで作っている可能性も否定できません。

超高齢化社会で医療費高騰の問題を抱える日本で、あるまじき問題だと考え記事にして発信させていただきます。


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『あるくんメソッド』は、垂直軸を構築しなおし運動の基礎を作るために考案したメソッドです。


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