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開発民俗学をアメリカに輸出する?平和構築屋・伊勢崎賢治先生との対話から

平和構築屋の伊勢崎賢治先生との出会い

2013年5月25日にフィリピンのマニラで社会事業をおこなうユニカセの中村八千代さんのセミナーが東京で開かれました。そのセミナーはGLMインスティチュート (社会開発系の開発コンサルタント会社のグローバルリンクマネジメントのNGO部門)が行なった国際貢献塾の一コマでした。

そのゲストに東京外国語大学の伊勢崎賢治先生と、早稲田大学の高橋華生子先生が参加されました。実は上京を決めた理由は、中村さんがフィリピン時代の同志だったことだけではなく、伊勢崎先生に会いたかったからです。

実は、伊勢崎先生とは、いくつかの海外のフィールドで微妙にニアミスしていました。

東ティモールでのすれちがい

東ティモールでは先生が2000年3月から2001年5月 まで、 国連東ティモール暫定統治機構上級民政官としてアイナロ州知事をされていました。その任期の最後くらいの記事に、私もJICAの農林水産業開発計画調査(東ティモール全国レベルの国家開発計画の立案)で現地に入っていたのですが、現場では会うことができませんでした。

フィリピンの国連平和大学でのすれちがい

その後、たしか2006年か2007年に日本財団が、日本人を対象に国連平和大学で平和構築の専門家を育成する2年間の修士課程の留学制度をつくりました。国連平和大学は、もともと中南米のコスタリカにあるのですが、最初の半年間をフィリピンのマニラのアテネオ・デ・マニラ大学での語学研修にあてていました。

実は、フィリピンのミンダナオ島自体も紛争地域です。学生にとっては、語学だけではなく、ミンダナオ島での平和構築の実践活動の現場(フィールド)としての意味もあったのです。

その当時、私もちょうどフィリピンのマニラに駐在していました。たまたま、なにかのご縁で、この国連平和大学の留学生たちとマニラで知り合って、一緒に勉強会をする仲になりました。実は、そのときに、つまりアテネオ・デ・マニラ大学に伊勢崎先生が講師で出張講義にいらっしゃったんですよね。

留学生の仲間にそれを聞いて、私も会いたいなあと思いつつも会うことができませんでした。そもそも部外者ですし、一民間人でしかないですから当然といえば当然のことですよね。

そんなかんなで、伊勢崎先生に実際に会いたいなあとずっと思っていたわけなのですが、今回の中村さんのセミナーで、ようやくご本人にお会いすることができました。

伊勢崎賢治先生とお話したこと

セミナー後の雑談の席なので、ちょっと伊勢崎先生もほろよい気分でしたが、思ったより気さくな方で、私の開発民俗学構想を例の開発民俗学連続ゼミナールのチラシをもとに語らせていただきました。(恐れしらずのしばやん!)

私が、特に宮本常一先生にずいぶん学んでいるといったら、先生から、「考現学の今和二郎(こんわじろう)」先生の話がでました。

実は、伊勢崎先生は、早稲田大学の建築学科をでていて、ずいぶん今先生がお気に入りみたいで、宮本先生のことも当然、よく知っていらっしゃるようでした。

私も15年くらい前でしょうか、赤瀬川源平の「トマソン」がらみで、考現学には触れていましたので、ここでも話が盛り上がってしまい、伊勢崎先生の日本の民俗学理解は、かなりのものだと感じました。

そして「開発民俗学」を英語にしたらどうなるかを一緒に考えてくれました。例えば、「‘Folklore’じゃないよなあ(※)」とか、どうすればいいかなあと^^? 結局、まとまらなかったのですが、開発(の)人類学とは別のものと「日本の民俗学」を理解されているようで、とても心強くなりました。※※

※フォークロアの英語の意味は口承伝承とかの意味が強いです。また当然、フォークロアの学会もありますが、日本の民俗学会とは性格が異なっているというのを、私も最近、菅豊先生の本とかで読んで知っていましたので、意味が違っちゃうなあと!

※※開発人類学についてもいろいろな意味があるので、開発民俗学がそれに含まれるという考え方も当然あります。

そして、最後に、

「いいんじゃないんですか。アメリカが学ばなければならないことですね」

とおもしろがってくれました。それで私は、さすが先生、アメリカに先行事例があって先生がいるということで、「アメリカ‘で’学べ」ということかと、自分の聞き間違えじゃないかと聞き直したところ、

「アメリカが一番、わかっていない。ただ、あいつらがわかるかどうかはわからない」というようなニュアンスのことをおっしゃいました。

つまり、本当に「アメリカ‘が’」が、正しかったのです。ほんまかいなと思いましたが、本当のことです。

ただ、これは本当に立ち話なので、どこまで先生がわかっておっしゃているのか真意はわかりませんが、かなり意を強くしましたね^^?

今先生の名が、伊勢崎先生の口からでるとは、全く想定していなかったので、なにか変なところでつながるものだなあと思いましたね。

ともかく「おもしろい」といっていただいただけで、私は素直にハッピーでした^^?

ただ、アメリカは一枚岩ではないし、いろいろな立場で本当にいろいろな方がいらっしゃいます。単純化しては絶対にいけないのですが、英語で、発信していく意味は十分にあると思います。

だからというわけではありませんが、しばやんの開発民俗学による?世界ツアーを現実化すべく、英語でも発信していこうと、ちょっとだけ発奮しました^?

さすがに歳なので無謀なことはいえません。ただ、ちょっとづつ出来る範囲で英語の文章もブログやフェイスブックなどでアップしていこうと思います。

たんなる私の覚えのメモではありますが、まあひとつの(開発民俗学成立前の?)エピソードのひとつとして記録しておきます。

ではでは^^?

(この項、了)

<しばやんミーツ伊勢崎賢治先生@国際協力塾 2013年5月25日>

初出:クロスロード・オブ・ハッピネス@フェイスブック  2013年6月8日 ※一部 加筆修正しました。なんでもメモしておかないとすぐに忘れてしまうので書き付けておきます。 2021年1月5日 改題および加筆修正。

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