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相手を主語に考える

「伝える」と「伝わる」この違いは大きい。
自分では精一杯伝えているのに、相手は全く理解してくれない。逆に相手の話している内容が、正直よくわからない。
こんな経験がある方もいるのではないでしょうか。

この1週間、多くのお客様と学生さんとお話をする中で、「伝える」と「伝わる」の差分は想像以上に大きいなと思ったので、今週は自戒を込めて、このテーマについて書いてみようと思う。

①相手を主語で考える
②情報は相手が扱える大きさに加工して伝える

この二つが、大事なのでは?と自分なりに考えてみた。おそらくハウツー本にはこれらの類のことは、たくさん書いてあるだろうから、本当に「伝わる」話し方に悩んでいる方はそちらを参考にしてください。

今週は ①相手を主語に考える にフォーカスして書いてみる。

①相手を主語に考える

これはスタンスのお話。相手の立場になって考えるという言葉にも言い換えられると思う。話していて相手とかみ合わない、話がいまいち盛り上がらない時、自分本位のトークになっていないだろうか。「私はこう思う」「私はこうしたい」いわゆる「Iトーク」になっていないだろうか。主語が極度に自分に向いている時、人は時としてその人を「自己中」と呼ぶ。

では、「相手を主語に考える」とは、どういうことだろう。私は究極的に言えば、「相手とシンクロする」「相手が自分に憑依する」状態の時、それは達成できると考える。

相手の生い立ち、相手の思考の癖、相手の要望、相手の不満、相手の愛情、相手の悲しみ

それらを理解して、自分事化した時に、自然と相手本位で物事を考えられるだろう。
役者をやっていた時は、この憑依する感覚が何回もあった。ストーリーの中の彼であったら、この瞬間悲しむだろうなと考える前に、自然と涙が滲んでいる。嬉しい事があった時に、自然と笑みがこぼれている。そんなイメージだ。

「でも、そんなの実際難しいよ。」と声があがってくると思う。実際、初対面の人と話す時に、「憑依レベル」で相手を主語にできるのは、かなり難しい。でも、そのレベルに近づける工夫はいくらかできると思う。

①事前に徹底的にその相手の事を調べ、自分なりの仮説を立てておくこと。
②自分の思考のフレームを外し、一旦相手の話を全て受容すること。

一つ目は事前準備。ここが8割くらい占めると思う。それくらい大事。「相手」というのが、自分の役割によって変わる。たとえば、営業担当の私にとっての「相手」とは「企業」であり、「人事」である。なので、まずは「企業」として、これから目指していきたいこと(中期経営計画)、今の現状(有価決算報告書)、その企業の個性(事業の強み、弱み)を読んだ上で、仮説を立てるようにしている。また、各企業の人事の方についてはSNSなどでネトストして、その人がどういう生い立ちなのか、どういう志向性をもっているのか、人事としてどういう風に評価されたいのかなどを自分なりに考えてから行くようにしている。
一方で、「学生」さんとの面談の時は、やはりいろいろな手段を使って、その方のことを調べる。その上で、お会いしたい時に、「その場がどういう場になったら理想であるのか」というのを事前にヒアリングしている。これだけやっていると、自然と相手に興味が向くようになる。

二つ目は実際にお会いする時。ここがラストスパート2割という感覚。「自分の思考のフレームを外す」これが結構難しい。つい、自分の判断軸で何かを言いたくなるが、一旦我慢することが大事だと個人的には思っている。結局その判断軸・評価軸というものは、自分の中のモノサシの一つなだけであって、相手の方のモノサシと必ずしも一致するわけではない。だからこそ、一旦、相手の話を受け止めた上で、何が最適なのかというゴールを相手と一緒に伴走して考える。
すると、伴走していく中で、相手の思考の癖や判断軸が見えてきて、ヒントやゴールに近いパスを出せるようになる。ここで私が意識していることは、あくまでヒントやパスを出すということ。どれだけ相手の判断軸がイメージできたとしても、それはとどのつまり「仮説」でしかない。だからこそ、最後どの答えを選ぶかというのは相手に委ねたい。相手の答えの選択肢と可能性を広げる、ここに意識を向けてみるのは一つポイントかもしれない。

今週はここまで。来週はより細かい部分について。もっと自分も頑張ろうと書いていて、思った次第です。

では、また来週。
Twitter▷Masato Hoshino


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