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巣鴨オンラインツアーはこうして生まれた-鴨台祭での活動報告②-

大正大学史上初のオンライン開催となった大学祭、鴨台祭(おうだいさい)。メディア班では、鴨台祭に参加した祈りのまち巣鴨班・歩こう巣鴨班・キャンパス農園班へのインタビュー記事をお届けしていきます。

今週はその第2弾。鴨台祭で開催した「オンラインツアー」について、計画した経緯や撮影時の裏話、見どころなどを「歩こう巣鴨班」にたっぷり聞いてきました!
コロナ禍のため、外出自粛を余儀なくされ、大学へ行くことが難しい大正大学生。そこで、家に居ながら巣鴨の魅力を知ってもらうために、Zoomによるオンラインツアーを開催しました。初めての試みの中でどんなことを目指し、どんなことに苦労したのかについてインタビューしてきました。

図1

歩こう巣鴨班 メンバー (2020年度 秋学期時点)
・松下 遥奈 (SPS 人間科学科4年 写真右下)
・富田 沙樹 (表現文化学科4年 写真右上)
・塚田 莉奈 (表現文化学科3年 写真左下)
・秋山 紗良 (人間科学科2年 写真中央上)
・玉城 優莉菜 (人間科学科1年 写真左上)

図2


(画像:鴨台祭でのオンラインツアーの様子)

大正大学から巣鴨まで、歩いたことありますか?


―「歩こう巣鴨班」とはどのような活動をしている班なのか、教えてください。

松下:「歩こう巣鴨班」は、もともと“大学のある西巣鴨から巣鴨周辺までの魅力ある区間を、学生に歩いてもらう”ということが目的でした。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、外出することが難しいという状況もあり、代替案を計画しました。今回企画したオンラインツアーなら、どこからでも参加することができますし、学生をはじめ、巣鴨に来られない多くの方に魅力を伝えていくことができると考えています。そして、このオンラインツアーに興味を持ち、参加してくださった方々に巣鴨の魅力を再発見してもらい、将来的には実際に足を運んでもらえたら嬉しいです。

富田:私からは、2つご紹介します。1つは松下さんが伝えた通り、学生が大正大学から巣鴨までの道を歩いてもらうためのきっかけになれたらという点。もう1つは、巣鴨の地に大学があるからには、地域の魅力を知ったうえで、より充実した大学生活を送ってほしいという点です。今回のオンラインツアーでは、大正大・学びの地「巣鴨」はこんな町、をテーマに、大正大学に関わる場所や、巣鴨の有名な場所を発信しました。

―オンラインツアーは、初めての試みですよね?

秋山:はい。夏休みに東北復興班が主催した南三陸オンラインツアーに参加しました。前例がない状況でも、オンラインを駆使すれば満足のいく企画が実施できる!という発見がありました。そこで今回、鴨台祭の時間をもらって、私たちもオンラインツアーを実施することを決めました。実際にみんなで歩くわけではありませんし、すぐに皆さんに巣鴨へお越しいただけるわけではないのですが、このツアーをきっかけに、巣鴨を訪れたいと思う人が増えてくれれば嬉しく思います。そして、早く安心して学生が通えるようになることで、さらに巣鴨を盛り上げていきたいです。

塚田:私自身、東京にいない中で、「歩こう巣鴨班」の活動をしています。このような状況でも「できることを考えていく」という班の方針のもと、開催できるものを模索しました。今回は、主に大学に来られていない1年生をターゲットにしましたが、これまで大学に通っていた私たちでも、知らないことがたくさんありました。調べていくにつれ、巣鴨の魅力を知らないで卒業してしまうのはもったいないと感じましたので、ぜひ2~4年生にも、改めて巣鴨の魅力を知ってもらいたいですね。

玉城:私は1年生なので、参加者と同じ目線で、初めて巣鴨を訪れる感覚を意識しました。巣鴨はお年寄りの方が多くいらっしゃるイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、私たち学生もいるんですよ、というメッセージを伝えることで、「行ってみようかな」という印象を残せるツアーにしようと意識しました。また、大学に来られていない1年生に対して、「座・ガモール(※1)」など大正大学が取り組んでいることも紹介し、学生目線で大学のことを知る機会になればと思いました。

※1大正大学生が企画運営する日本各地のアンテナショップです。
1号店は東北、2号店は京都、3号店は北宮崎をテーマにアンテナショップを運営しています。ぜひ近くに寄った時には立ち寄ってみて下さい!
【詳細はこちら→http://thegamall.shop/index.html】

図3

(画像:実際にオンラインツアーに紹介された座・ガモール)

すがもプリンでちょっと贅沢な寄り道を


―実際にオンラインツアーでまわった所について教えてください。

松下:私たち「歩こう巣鴨班」の学生が直接商店街を訪れて、お店や施設、商店街で働いている方々をご紹介しました。参加者の皆さんにはZoomを通して、その様子を生配信で見ていただきました。生配信にすることで、一緒に巣鴨を歩いているような感覚を味わってもらえますし、チャット機能を用いて、離れていても交流できるツアーを目指しました。さらに、お店に関するクイズも出題。一方的に情報を伝えるのではなく、参加者の方が一緒に楽しめる企画になるように工夫しました。

塚田:コースの設定は、担当の齋藤知明先生と相談しながら決めていきました。その中で、せっかくなら難易度を設けるのがいいのではないか?という話になりました。そこで、今回はツアー「初級編」とし、巣鴨へ行ったことのある人ならば、誰もが知っている定番のお店や有名なお寺を紹介しながら大学をゴールとして目指すという計画を立てました。道中お寺に寄ってお参りを行ったり、リポーターが食レポをしたり。訪問するお店へは、事前にインタビューを行い、準備を進めてきました。今回のツアーでは、どうしても時間が限られてしまっていたため、大学ではなく、地蔵通り商店街にある「巣鴨地域文化創造館」をゴールに設定しました。

―取材依頼! 緊張しそうです…。どのように行いましたか?

富田:取材許可は基本的に松下さんが取ってくださいました。私たちも、商店街に訪れる度に、毎回コミュニケーションをとることで、徐々に信頼関係を築いていきました。

松下:最初は私もとても緊張しましたが、商店街のみなさんが温かく迎えてくれました。訪問する回数を重ねることで、私自身も大人の方と接することに自信がつきました。この経験を就職活動などにも活かして行きたいです。

ー「座・ガモール」を紹介する上で強調したかったことは何ですか?

富田:大学に関係しているお店が巣鴨にあるよ!ということと、大学だけではなく学生自体も関わって企画や運営を行い、4店舗もあるということを強調することで、地域との繋がりが目に見える部分で存在していることを表していました。

玉城:今回、参加者の特典に「すがもプリン(※2)」を引換えクーポンにて用意しました。参加してよかった!と思ってもらうこと、巣鴨に寄り道してみようと思ってもらえることを意識しました。

※2大正大学生が企画・製作した巣鴨限定のプリンです。
家族間でのコミュニケーションが減る中で、すがもプリンを通して家族の会話を取り戻したいという願いが込められています。
【詳細はこちら→https://www.tais.ac.jp/guide/latest_news/20191009/61946/】

図4

(画像:すがもプリン 大正大学公式HP(https://www.tais.ac.jp/)より)

―「すがもプリン」は美味しいと評判ですよね。自分も参加特典としてGETできて、かなり嬉しかったです!

富田:実は「すがもプリン」を売っているのも、大学の職員さんなのです。ツアーで巡る場所に大学が関わっている、つながっているというのは面白いなと思いました。大正大学生だからこそ、もらえる特典なんだということも強調できたかなと思いますね。

最初の参加希望者はまさかの2人!?

ー今回のツアーには、何人参加されたのですか?

富田:16人が参加してくださり、そのうち1年生は8割ほどでした。もしかしたら全く集まらないかも…と思っていましたが、予想より多くの人が集まってくれました。初めての試みだったので不安でしたが、とても嬉しかったです。

松下:実は最初、2人しか応募がなかったんです…。これ以上増えないのではないか、という不安や焦りもありましたが、最終的には予想を上回る方に参加していただけたので嬉しかったですね。YouTube liveでも配信をしていたので、そちらの視聴数を合わせたらもっと多くの方にツアーを見てもらうことができました。チャットなども50通ほどやり取りできました。

―人数が集まらないと不安ですよね。今回、広報はどのような方法でされたのですか?

秋山:主に先生方に依頼して、授業の開始前後に時間を頂き、スライドを用いた宣伝をおこなうことでどのようなコンセプトで行うか、参加者に何を見てもらいたいかなどをわかりやすく説明できるように工夫を行いました。他にもサークル内で共有してもらったり、ゼミではLINEなどのツールを用いて説明したり。広報期間やどのような告知方法が適切なのか、試行錯誤でしたので、検証して次回のツアーの際には、より効果的な広報を実施して参ります。メディア班もご協力よろしくお願いします(笑)。

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(画像:実際に広告で用いたスライド)

ー精一杯、頑張ります!ところで、初級編は1回きりで終わりなのでしょうか?

松下:YouTubeのアーカイブを「ガモールTV(※)」にアーカイブが残るので、ぜひそちらをご覧いただければと思います。

※ガモールTVとは、大正大学が運営する新しいプラットホームです。YouTubeやSNSを通して、大正大学に関わりのある皆さんに新鮮な情報をお届けします!
【詳細はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=JYG1rgYgzbQ】

富田・玉城:LIVE配信をしていたものをそのまま残しております。見返すことを考えると恥ずかしくもあり、嬉しくもありますね(笑)。より多くの方にご覧いただき、巣鴨の魅力、大正大学の取り組みについて、知っていただければ幸いです。

図6


(画像:商店街にある理事長さんのお店でインタビューを行っている様子)

Zoomの設定、通信環境、道路使用許可・・・


ー先ほど広報についての改善の話がありましたが、本番を終えて、さらに気づきはありましたか?

富田・玉城【担当:リポーター】:Zoomあるあるなのですが、マイクをオンにすることで、声が二重になってしまったことや、風の音が入ってしまう点は、今後も気を付けなければと思いました。視聴者のコメントに対して回答する際に、iPadを用いてリアルタイムでの質疑応答を試みましたが、思いのほか自分たちに余裕がなく、こちら側からのコメント数が少なくなってしまいました。結果としてiPadをうまく活用することができなかったのは、今後の改題です。ただリハーサルよりも本番のほうがうまく進行できていたという声も頂けて、ほっとしています。これからの励みにしていければと思います。

松下【担当:中継】:リハーサルの時には予想できなかったほど、参加者からのたくさんの反応がありました。全てのコメントに反応したくても、うまく拾うことができず、ある意味嬉しい悩みでした。通信環境の改善も必要だと思いましたね。次回はこの2つを活かすことができればと思います。

塚田【担当:クイズ】:私は、オンラインツアーの後半に実施したクイズを担当させていただきました。思っていた以上に参加者から好評で、リアクションも多くいただくことができました。みなさんが積極的に参加してくれたことで流れが生まれ、主催側としても本当にありがたかったですね。次回は、出題方法を工夫していきたいです。具体的には、最後にまとめて出題するのではなく、ツアーの途中に実施することでお店の紹介後にクイズ、といった新たな方法を考えていく予定です。クイズ内容は少し難しく設定していたので、ヒントとなる情報をツアーの中に入れ込むなどの工夫も考えていこうと思います。

秋山【担当:誘導】:オンラインツアーを行うにあたり、地蔵通り商店街の道路使用許可を行う必要がありました。そういった申請や、一般の方の通行を配慮する中で、どうしたらリポーターの人たちがスムーズに進行できるかということを考えました。ツアー当日は日曜日ということもあり、ベビーカーや自転車の通行も比較的多かったです。その都度、臨機応変に対応しなくてはいけないなと感じました。地域の方に声をかけられたときに「何を実施しているのか」をわかりやすく説明するというのは今後の課題です。またタイムキーパーとして、本番は少し時間が押してしまいました。いかにリポーターと連携を取るかということも今後の課題ですね。


メインコンテンツとなる可能性を秘めたオンラインツアー

ー今後のツアーに対する抱負を改めて聞かせてください。

玉城:私は、巣鴨のことを知らない状況でプロジェクトに参加しました。正直に話しますと、このプロジェクトに参加するまでは、大学へ行かなくても授業を受けられるならそれでいいかな、と感じていました。しかし、オンラインツアーを通して巣鴨の魅力を知ったり、大学や先輩方とのつながりを感じたことで、実際に大学へ行って、友達と気持ちを共有したい!と思うようになりました。今回、オンラインツアーに参加した1年生にも同じような気持ちになってもらえていたら嬉しいです。次回は同じ商店街の街並みを、少し角度を変えて紹介する予定です。巣鴨でもあまり知られていない場所をご紹介し、行ってみたい!と思えるように紹介できればいいと思います。

秋山:今回、実際に巣鴨の地を歩いてもらうことは叶いませんでしたが、別々の場所にいても参加者と「歩こう巣鴨班」のメンバーがつながれること、巣鴨について共有できることを実感しました。当初の目的である「巣鴨に興味を持っていただき、行きたいと思ってもらう」内容を、このチームで考えられた結果だと思います。機材トラブルや電波の不調等、予想できないトラブルがある中でも、メンバー間での共有は逐一できている自信がありました。オンラインだからこそ、班でのつながりを強く感じた部分です。玉城さんも話していましたが、次回からは干支にまつわることを紹介していく予定です。より参加者に楽しんでもらえるように計画中ですので、参加してよかったと思えるものにしたいです。

塚田:「歩こう巣鴨班」は、今年新たに発足した班です。当初描いていた構想もありましたが、新型コロナウイルスの影響もあり、思うように動くことができませんでした。秋学期に入り、新メンバーの玉城さんも加わったなかで、オンラインツアーという新しい試みに挑むことができてよかったです。巣鴨のことをたくさん考えることが地域貢献になっているんだという実感がありました。「ガモールTV」に載っているアーカイブの再生回数が増えていたり、「いいね」が押されていたり。閲覧数や反応の数がすべてではありませんが、実際にご覧いただくことで、少しでも巣鴨に興味を持ってもらえればと思います。
今年度で卒業してしまう4年生のお2人とともに、最後まで成し遂げたいと考えています。何より自分たちも楽しみ、参加学生にも楽しんでもらうツアーを目指していきます。

富田:まず、オンラインツアーという1つの大きなプロジェクトを無事に終えることができ、安堵しています。改めて自分が通っている大学周辺の地域について調べ、魅力に気付くことができました。失敗も多くありましたが、「歩こう巣鴨班」の1人ひとりが意見を出し合って協力し合い、先生方の助けも借りながら、1つのことを成し遂げたことが、1番の成果だと思います。コロナ禍が落ち着いても、実際に歩いてもらうほかに選択肢として「オンラインツアー」というジャンルを確立できたことはすごく誇らしいです。次回は干支をメインテーマとしていますが、今回以上に参加者とのコミュニケーションをとることで、双方が楽しめるツアーとして実施できるようにしたいと思っています。

松下:私はこの班のSPS(=巣鴨プロジェクトスタッフ)として活動しているのですが、この班でなければやり遂げることができなかったのではないかと思うほど、メンバーに支えてもらいました。プロジェクトを進めていくうえで、オンラインツアーの開催時間が1時間だけとなることが決まりました。当初想定していた時間より短縮されることとなり、自分たちのやりたいことができるのか不安になったのですが、その際に塚田さんが「たかが1時間、されど1時間」という言葉をかけてくれました。困難な状況にあっても、工夫を重ねて実施することで、我々の経験にもきっと響くはず…。まさにこのプロジェクトを表している言葉だと思いました。これからもこのメンバーで成し遂げていけるように、次回のオンラインツアーに向けて頑張っていこうと思います。

図7


(画像:オンラインツアーの締めに入っている様子)

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今回の活動を通して、オンラインでの交流の難しさを払拭するとともに、巣鴨の魅力を知ってもらうことができたと話す「歩こう巣鴨班」。オンラインだったからこそ、信頼という確かなものを感じることができたのではないでしょうか。大学や巣鴨に対する思いが、このツアーを企画することで変化したと話す姿は、とても印象的でした。
実際にツアーへ参加して感じたのは、これだけのクオリティーを学生が作ることができるということ。スムーズな進行にとても驚かされました。このオンラインツアーが地域の発展につながるという確信が持てたと同時に、これからの学生が地域を盛り上げていく可能性を感じることができました。参加している人たちと同じくらい自分たちが楽しいと感じるものを作りたい―。ツアーに対する「歩こう巣鴨班」の熱意やまっすぐな思いがとても伝わるインタビューでした。

記事・伊藤静悟(メディア班ライター)
2020年12月10日取材

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