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【キャラクター絵画】「耳」へのアプローチを考える研究ノート①

今回は、キャラクター表現をする上で「耳」へ焦点を当てることについて考える。

自分が今表現したいのはcharacterという言葉が本来もつ被写体の「人となり」や、特定の場所の輪郭を浮かび上がらせること(サイトスペシフィック)。この研究ノートでは、主に表現手法そのものを軸の中心に置くが、キャラクター絵画のこれからについて、もしくはどのように分岐して生き残るか?という論点も忘れずに進めていく。

キャラクター絵画のこれから

キャラクター絵画を取り巻く潮流は徐々にエンディングの顔を覗かせている。

今一度「キャラクター」を描く意味を根本の表現から問い直し、フォーカスして見えてくるものへ補助線が引けるようになれば自分なりの「キャラクター絵画のこれから」へのアンサーが導けるのではないかと淡い期待が浮かんでいる。これからのことを考えるにあたっては表現スタディと言論の両輪が必要だ。

考えるための参考事例:「美術」や「キャラ」を超えて「人」を問う。パープルームギャラリーで「キャラクター絵画について」が開催

もともと目が行きにくい要素へ

表現そのものに関しては、キャラクター絵画にはアニメ・漫画カルチャーの規格化された表現が引用されてきた。特に分かりやすいのが瞳で、瞳にフォーカスした手法は既にやり尽くされている……というところで、別の要素で踏み込めないか考えた。それで着目してみたのが耳だ。

◎参考事例

瞳を取り出したような表現や描き込み

https://x.com/l_l__l/status/1811963954438254704?s=46&t=t5MlaTvjxXaK47qwwmBIlw

https://x.com/aimadonna/status/1810301494903849222?s=46&t=t5MlaTvjxXaK47qwwmBIlw

瞳をテーマにした研究ノート

https://x.com/sortiee/status/1809827993491316903?s=46&t=t5MlaTvjxXaK47qwwmBIlw


これまでのキャラクター絵画の文脈(主にアニメ漫画カルチャーを美術に持ち込むこととその余波的事象)から分岐し、キャラクターの持つ本来の意味やその影響力に視座を向けるとき、瞳は無視しても良いのではと考えた。

普段街を歩いている時イヤホンを手放せない感じの人はよく見かけるし、聴覚にハンディのある人は補聴器をつけて歩いていく。ファッションや自己表現としてピアスやイヤリングをする人もいる。キャラクターを浮かび上がらせるには充分な役割を持つ。

しかしながら、キャラクターを用いる時は瞳に吸い込まれてしまう。引用元の漫画・アニメ・ゲームで瞳より耳が印象的な作品はあるのだろうか。引用元ですら簡略化されやすい耳。耳について。

引用:学園アイドルマスター より

これまでの文脈に乗って描き続けるのではなく分岐していくにあたり、瞳以外の特定のパーツ(要素)に焦点を当てるのは今後もキャラクター表現を扱って行く上で有効なスタディになるだろう。

平面でアプローチする意味を考える

そもそも、立体的な造形のパーツである耳(を中心に顔、頭部)に焦点を当てるとして、平面表現である必要があるのか。前提として、「人となりを重視したキャラクター表現」の大枠から外したくない。

人形やフィギュアの場合、体のパーツから頭を取り外しただけではグロテスクな画になるだろう(そういうコンセプトで台座がついているケースは除く)。

彫刻の場合は台座やそれに即したステートメントがある前提のもと鑑賞できるが、彫刻として身体性を持つと別の文脈を持ち、異なるメッセージが宿ってしまう可能性が高い。今の自分にはとうてい取り扱えないと判断した。

最近描いたもの

《お耳》

《お耳》では意図的に耳だけを写実に寄せたことで、描く過程においてうなじや顔周りの髪の毛などの解像度がぐっと上がる。瞳に焦点を当てているとなかなか目が行きにくいパーツだ。

《超天才アイドルの解剖学(エスキース)》

《超天才アイドルの解剖学》は既存のキャラクター・篠澤広 (学園アイドルマスター)を引用して耳にフォーカスしたが、既にできあがっているキャラクターを耳の造形から語るというのはとても難しいことが分かった。あたりまえ体操だ……。

今回は耳にフォーカスして表現手法を探る意義の整理と、直近のプラクティスを振り返るところまで。それではまた今度!

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