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【日記】動かない映画

仙台駅のペデストリアンデッキ下にある喫煙所は治安が悪くて最高!柱に貼られたステッカーの上から噛んだガムがはっつけられている。きたねー!今日も煙草と缶コーヒーがうまい。サイコー!先ほど締切間近の原稿を無事校了まで持っていき安堵しているところで公共の喫煙所にてチェーン・スモーキングを始めたというわけだ。

そんな中、一見サラリーマン風の人から「あの、火を貸してくれませんかね」と声をかけられた。校了したばかりで気持ちがよかったので、快くライターを手渡すとそのスーツの人は腰低く頭を下げつつ紙煙草に火を点ける。ライターを私に返そうとするなり、私の顔をまじまじと見て「あの、もしかして……<動かない映画>のひとですか」と言う。

自惚れだった。自分もローカルメディアのライターとしてちょっとはこの地域で顔が売れてきたのだと一瞬期待したが、そうではない。

<動かない映画>ってなんだ?

「いえ、自分は岸辺露伴でも、高橋一生でもなく……」と笑って見せると、スーツの人も笑い返す。「いやはや、冗談がうまいですね!さすが<動かない映画>の人だ」と愉快な様子。いつか会った知り合いだったか、昔取材した人か、はたまたこの前遊びに行った焚き火で出会った人か、何も分からない。<動かない映画>とはなんなのか。そして私は<動かない映画>に関わるどのような人物と勘違いされていたのか。なんとなく気持ち悪くて、そそくさと喫煙所を出ようとすると「これからも頑張ってくださいね!次も買います!」と応援の言葉をもらってしまった。

いったいぜんたい、なんなのだ。いや、その、いいんだけど。サラリーマン風のスーツ着てた人。130円くらいの安物だったし本当にどうでもいいんだけど、ライター返してくれや。おひらき。

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