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去年の司法試験のやらかし集(公法系科目編)

1、はじめに


こんにちは。
前回の続きで、今回は公法系科目のやらかしをカミングアウトしようと思います。

2、憲法

憲法は民訴と同じでA評価をとることができました。
一見するとやらかしなどないように見えますがきちんと論じられていないものもあります。
それは、規制②の合憲性で自己情報コントロール権(憲法13条)しか触れられなかったことです。
規制②は、複数の回答筋が考えられ、試験委員としても複数の権利・自由を検討することが求められていました(↓)。

多くの答案が,問題となる団体の人権として,結社の自由,表現の自由,プライバシーの権利のいずれか一つだけを検討していた。現実には,ある一つの規制が同時に複数の人権を制約することは珍しくない。一つの人権の制約を見いだしたとしても,それで満足することなく,当該規制について粘り強く多角的に分析すべきである。

令和3年司法試験採点実感より

ただ、時間的制約の中で、規制①の検討も求められていることを考えると、複数の筋をそれなりに妥当性をもって論述するのは難しいと思います(というか規制②は何の権利が問題になるかさっぱり分からなかった)。

憲法は、どういう主体を対象として、いかなる態様で制約がなされているかを分析することが大事なように思います。

まあ、今年の憲法はイレギュラーすぎてそれまでの問題の傾向を理解してたとしても、あんまり意味ないんですけどね(憤怒)!!!

3、行政法


行政法もかなりやらかしました。
まず、処分性を問う設問1は、誘導分を読んでも問題点が全く分からず、とにかく条文を引用して処分性を肯定しました。

あとは、この年は市道占用許可が問題になっていたのですが、「占用」ではなく、「占有」と勘違いして、市道「占有」許可と書いてしまいました(爆笑)。

道路法に基づく市道「占用」許可を市道「占有」許可と表記するなど,間違った言葉遣いをした答案が非常に多く見られた。

同採点実感より


それと、設問2は違法事由として裁量の逸脱濫用という典型問題が出題されていたのですが、裁量の話には一切触れることなく、法令の解釈適用を論じたり、全く関係ない行手法上の手続的違法を論じたり、とにかく意味不明の(誘導も無視した)とんでも解答を連発していました

会議録で示された前記①,②の検討を行う前提として,本件不選定決定に市長の裁量が認められるか否かについては,多くの答案がその根拠とともに触れることができていた。他方で,裁量の有無を検討していない答案もあったが,処分についての司法による実体的な統制に関しては,裁量の有無は重要な論点である。

同採点実感より

上記採点実感によると、裁量の有無には多くの答案が触れられていたようなので、これに触れられなかった点が大きな不合格要因として働いたものと考えられます。
結果、行政法の評価はCでした。
行政法の肝は誘導に沿って問題検討をすることだと思います。
また、誘導文には判例が引用(判決の年月日と結論のみ)されていることが多く、具体的な事実や判旨を含めた判例学習もする必要があると思いました。

4、最後に


今回は公法系科目のやらかしを書き連ねてみました。
あまりに多すぎますね笑
ここまで読んでいただきありがとうございました。

それでは。