東京テレポーテーション⑯ 豊洲にて

警備員のアルバイトでは、コンサートの仕事もあった。
当時は開発前であった豊洲での仕事で、当時は音楽に疎かった私は名前も音楽も聞いたことのないレゲエアーティストのコンサートだった。
私は会場から離れた路上で、無断駐車をさせないよう有料駐車場への案内を促すポジションであった。
同年代の若者グループだろうか。顔面にピアスの穴を開けまくった男たちと、数名のド派手な女子のグループが車でやってきた。
いやだなあ。ほら目の前で止まった。面倒だな。ああいうのとは話したくないよ。私はぼけっと突っ立っていると近藤がやってきた。
「おいおい、ちゃんと言えよ~」
近藤が若者グループに話しに行く。

私はなんで、ここで立っているんだろう。
不思議な気持ちになってきた。
一応浪人生なんだよな…。

受験勉強は、手付かずであった。


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