祝福のルーレットが廻る⑤ 思春期の兆し

私は、とても中学生には見えない子どものような見た目をしていた。
だが、確実に思春期を迎えようとしていた。

女子バレー部に、沢井舞(さわいまい)という女子がいた。
バレー部の男女は一応分かれて練習を行うが、明確に別々な訳ではなかった。
体操着にブルマー姿の沢井さんを、自然に目で追うようになっていた。
私は無自覚だった。だが、その情景が記憶にあるのだ。目で追っていなければ、記憶にもある筈がない。

「浅田、お前女子の方観てない?だれ?沢井?」
中下に声をかけられた。私は目をそらした。知らない顔をして黙っていた。

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