No hero,but dream㉒ 金本清

「草木の会」では、事件が起きていた。

総本山のお寺と、山田先生を筆頭とする「草木の会」の本部の関係が極端な悪化が表面化したのだ。
子どもだった私たちは具体的なことはあまり聞かされてはいなかったが、総本山の寺は腐敗しきっていると大人たちには聞かされた。

総本山のお寺には何度か家族で行ったことがあった。
富士山麓という立地にも関わらず、訪れる「草木の会」会員でそれなりに賑わっていたように思う。

総本山のお坊様を目指していた筈の金本清は、どうしたのだろうか。
彼は総本山の面接(出家希望が通う中学があり、面接は小学生から行われるらしい)までは行ったらしいが「僕は草木の会です、総本山には付きません!」と坊主ども(凄い言い種だ)の前で言ってのけたと会合で活動報告というものをしており、参加者たちからは拍手喝采が起きていた。

私にはよくわからなかったが、家族が「草木の会」なのだから「草木の会」のままでいいや、と思った。

金本清は、小学生で将来の夢を諦めたのかあ、とは思った。
将来の夢がサラリーマン(学校の先生からしたら「それは将来の夢ではない」という)なのと、どちらがましなのだろうか。

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