3分の5x+1=Dの喜劇⑫ は○かみたい

同級生たちと放課後にカラオケに行ったり、休みの日にサッカーをしたりするのは楽しかった。
私の家には音楽環境が無い為に流行りの歌は全く歌えないし、運動神経も無いのでサッカーではオウンゴールまで入れてしまったことがあったが、キャラクターで面白がられることが多かった。
瀧澤、小曾根はもちろん、遊びに行くメンバーにも「アルビン」と呼ばれるようになった。

小羽根川の土手でサッカーをした時のこと。
休憩中に、コンビニで瀧澤がアダルト雑誌を立ち読みしていた。
「あ~はだかみたい」彼は言った。私には「裸見たい」と聞こえてた。
「見てるじゃん」私は彼に言った。
彼は一瞬考え、にやりと言った。「いや~日本語は難しいね」
彼は「あ~鼻かみたい」と言ったつもりが、鼻が詰まっているので「はだかみたい」に聞こえたらしかった。
彼はエロにオープンだ。私は彼のキャラクターが羨ましかった。

中学の時の友達とは、会う回数は減っていった。自然の摂理だろう。
たまに近藤や木田に誘われて錦山町の日下部の家に遊びに行くことなどもあったが、彼には何となく気を遣わなければならないところがあったので、瀧澤や小曾根と遊んでいる時の方が楽しかった。
「お前友達できたのか」日下部は言った。彼は高校生活があまり上手くいっていないようだった。
木田は何だかよくわからない海外のカードゲームにはまっていた。彼は彼なりに高校生活を楽しんでいるように見えた。
近藤はあまり高校生活を語らなかったが、それなりには楽しくやっている雰囲気を出していた。
伊妻は、ちょっとよくわからなかった。今に始まった事ではないが、彼はいつも何かに不満げな表情をしている。

私の高校時代の財産は、何と言っても親友ができたことなのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?