墓と坂道、糞漏らしの平穏⑥ 漢字

私は、内向的であった。
少なくとも、周囲には内向的と思われてはいたように思う。
私自身も、自分のことをそう思っていた。
体も他の同年齢の子どもたちよりもひとまわりは小さく、虫に怖がり、おねしょも頻繁にするような子どもだった。

私は、部屋の中で本をよく読むような子どもだった。
本が好きなのではなく、文字…特に漢字が好きだった。
商店街の看板にある、見たことがないような複雑な漢字を見かけては「なんて読むの?」と親に聞いていた。
小学生用の漢字字典も、小学校入学前から買って貰っては、何度も繰り返し眺めていた。
漢字がカッコよく見えたのだ。

「草木の会」の本尊は、掛け軸のような形状の紙面に認められた日蓮の法華曼荼羅なのだが、当然漢字で書かれている訳で、同じような気分で眺めていたように思う。

私は、姉と比べて、あまり宗教的な性格をしていなかったように思う。



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