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ヒューマンスキルを食らう幸せ

ひとつ間違えばつまらない思いをしそうな出来事が、感じのよいスタッフさんのおかげで、むしろなんか今日は当たり日だなーってなるお話。

日常のなんてことないやり取りにケチがつくかそうならないかって、応対してくれた担当者さんの人柄次第だったりする。ちょっとした言い回しとか態度とか表情とかセンスとかでどっちにでも転ぶ。そういう事例がたまたま続いたので書いてみる。

値札のない花束

スーパーの隅っこにそっとある生花コーナー。スーパーの規模によって大小あるけど、榊とか仏花とか神仏へのお供え用が最低限あって、ほかに旬の花束が花桶っていうの?長めのバケツにささって売られている。何十年も生きているけどこれまで見向きもしなかった一角。

それが去年犬たちを見送ってからはどこのスーパーでもこのコーナーを頻繁に覗くようになってしまった。普段の行きつけでないちょっと遠目のスーパーに車で寄ったこの日も残り物オーラ発しまくりのひと束をついカゴに入れてしまった。

この日は残りひと組のりんどうを

花束には価格シールが付いているもの、バーコードシールが貼ってあるもの、ノーシールでバケツに値札が立てられているもの、その他金額表記のないもの、と仕様がまちまちだった。

自分が握ったものは表記がなかったので、その他チームは一律料金とかの設定があるのかなぁ?などと思いながらレジへ。セルフではない方のレジへ。小柄な女性スタッフさんが迎えてくれた。

のっけからつまずく。しょっぱなの花束でつまずく。

ス:えーとコレ値段ない。いくらですか?
あ:ん?いくら?と聞かれましても、いくらで売ってくれます?
ス:なんて書いてありました?金額ワカル?
あ:いやぁーそれが表示されてなかったと思うんだよねー。
ス:そう。えっと待ってて。あのー次のお客さんもゴメンナサイ。ちょっとここ離れます。

そう言ってスタコラと駆け出して行った。察している人いるかもだけど、そうなの、彼女日本語85点って感じの外国の方みたいで。

花束置いて行っちゃったし、そもそも花の種類わかるかな。最後のひとつだったから空のバケツに目安になるものはもう無いし。心配になって自分も追いかけて行ってみた。

おーのー。案の定後ろ姿が困っていた。
ス:あ、来てくれたんですか。スミマセン。
あ:いえいえ。選んだのはりんどうなんで、ほらこのバケツなんですけど、名前しか書いてないでしょう。いくらなんだろうね。

ふたりでうーんうーんとなりながら、他の商品の値札をめくってみたり、どこかに落ちてはいないかと見回してみたり。そして、なんとは無しにりんどうの名が書かれた札をクリップから外してみると、裏側に張り付いていたらしき小さいラミネートがハラリ。

ス & あ:サンキュツパー!!

はーよかった。よかったねー。サンキュッパサンキュッパ♪って言いながら、ふたり小走りで戻る。

無事レジを終え、最後にレシートを差し出しながら「ココ、野菜398円って打ってあるから」とニコニコで挨拶してくれた。いつもはつぶやくように発する「ありがとう」をハッキリ届くようにビニールカーテンの向こうに返しておいた。

なんともかわいいおねいさん

たたでさえよその国で働くって大変だろうと思う。きっと視野が狭くて横柄な日本人に何度も出くわしているだろう。ちょっとしたことでも理不尽に上からモノを言われたりしてきたかもしれない。でも彼女はすごく感じよかった。表情も行動も。

イレギュラーな事態に怯えることも開き直ることもなく、焦らず淡々と粛々と自分にできることを一所懸命していて、なんとも応援したくなる人だった。

この一件、たぶん相手が悪いと、聞こえるように舌打ちされたり、しつこくイヤミ言われたり、怒られたりするだろう。でもあたしはとにかくあなたの頑張りを応援するよ。どうか日本を嫌いにならず、機嫌よくお過ごしいただきたい。

嗚呼、近所のスーパーにいてくれたら敢えて選んでレジに並ぶのにな。ここはちょっと遠いのよ。でもまた来ます。彼女に幸あれ。

ほっこりとした気持ちで帰り道を運転しながら、ふと気づいたんだけど、そういや生花は軽減税率対象じゃなくね?

おねいさん、お花は8%ちがうよ、10%だよ。まさかあのニコニコにはそんな含みが?んなこたないよね?ねぇ?


ヨレヨレの段ボール

インターホンが鳴って、宅配を確認して、マスクして、ハンコ持って玄関へ。このご時世になってどこの配送業者さんも扉を開け切る前に、その隙間からササッと送付状を差し込んできて(あまりガッツリ対面しないように)ドアの影に隠れるように氏名の確認をしてくれる。

正直自分はもうこの日本独特の「効果よりポーズ先行」みたいなルールどっちでもいい派なんだけど、会社さんにそれぞれ決められたコロナ禍マナーがあるんだろうからと一応あわせている。捺印済みの受領証を隙間から返し、お互い必要な会話をワンターン終えたところでようやくご開帳。荷物がドアの中に運ばれる流れ。

いつも通りスムーズにハンコをついて品物受け取ってハイありがとうをしようとすると、「あのーハンコの前に、、、」とおにいさんがクイッと扉を引いた。おや?今日の荷物はそんなにデカいか重いかでしたっけ?

すると箱自体は軽そうだが、その傷み具合を見せてくれた。

実はこうなんです

ワレモノとは書いてないんですけど、なんかこう箱がベコベコする箇所があって。ここちょっと押してみてください。

うわーこれそもそも箱が弱々〜。見た目は段ボールでも実質ただの厚紙やん。こりゃ発送側が悪いよ。下積みNGとも書いてないし、凹むのは配送のせいだけじゃないと思うわ。ここで開け(て確かめ)たほうがいい?

それがですねー。一旦開けてしまうと中身に問題があった場合でもうち介入できないんです。ハンコつく前に受取拒否してもらえれば返せるんですけど、中身って割れものとかですかねぇ。揺すった感じだと外装はこうでも中はガッチリ緩衝材なり固定材なりが使われているのか、品物の動きを感じないんで大丈夫だとは思うんですけど、、、。

なるほど。ちょっと届いたものの詳細をネットで確認してきてもいいですか。

すみません。お願いしますー。

おけ。ダッシュで!

・・・・・

お待たせです。大丈夫でした。日用品ばかりなんでこのまま受け取ります。

そうですか、よかったです。ありがとうございます。

こちらこそです。ご丁寧にありがとう。お時間とらせました。

正直このくらいの凹み、素無視で渡してくる業者さん多い。なんなら底面溶けそうなくらいビショビショなのに平気で置いていく人が大半だよ。ひどい時は部屋まで上がってくるのがダルいのか、直で1階の宅配ボックスに投入していく輩までいるっていうのに(それ1日中届くの待ってたちゅうねんっ!)。

よきサービスとはよき人材からだわ。まじで。


宅配受付での採寸

すこし大きめの荷物を持ち込みで発送した。自宅で梱包しながら計測した時は(3辺合計)180サイズを想定していたので、「スマホ送付、持ち込み、ペイ払い」で少し節約。

おおまかな価格帯はスマホで事前登録した時にわかるのだけど、正確な採寸を受け付けでしてもらい、支払い方法による値引き等が反映されて、最終的な送料が決まる。

なるべく小さく測ってる

上辺よりも下辺の方が厚みがあるのを見て見ぬふりして、それでも明らかに160cmを超えてそうなところを微妙にやや内側にメジャーを当てながら、

150、160、170、、、160、、うん、ギリギリ160ですね!

っていや、いっかい170言うてもうてたやん。と思いながらも、え?収まりましたか?としらじらしいあたし。

ククククク。おねいさん。優しいサービスをありがとう。ケチりにきていい思いして帰るなんて、これはいったいなんの褒美だろうか。


こんなことが続いたので、ちょっと日頃の行いってものを振り返ってみたりした。うん、悪さはしていない、たぶん。小さく刻んで徳を積もう、徳を。

なんてことを言ってるそばから、昨日買った桃の2個中1個がしっかりばっちり傷んでいて食べられなかった。徳、足らず。しょぼん。まだまだかー。



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