25歳の秋に

今になって、学生時代をどう過ごすべきか、なんてことを考えている。

あの頃は【今、どんな時間を過ごせば人生において幸せか】なんて興味がなかった。


なにかを見つけられるような気がして進んだ哲学の研究室では、なにかどころか居場所すらなかった。

お昼休みにキャンパスから見上げた広く高い空が懐かしい。


あの頃に戻りたいという友人がいる。あの頃は楽しかったという友人がいる。私は甘ったるく閉じ込められたような毎日に、自由の風と閉塞感の両方を感じていたから、正直楽しい日々とは言い難い。ただ、単発の有給休暇すら言い出しにくい今の状況を考えれば、明日にでも日本を出たって許されたあの頃はやはり羨ましい。


いや、正確にいえば、それは違う。私は今だって自由だ。ホウレンソウをちゃんとして、明日にはチューリッヒに向かう飛行機に乗ったって捕まったりはしない。許される。


ただ、今の職を失いかねないことや、日本のレールを外れることを恐れるだけだ。そこまでして「やりたいこと」などない自分にがっかりしている。


わたしの居場所は高校の部室を最後に消えてしまったみたいに感じる。

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