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後ろを向いて

全てが過ぎ去っていく

春はそういう季節

川なのか、空なのか

春になるとみんな
後ろの向き方を忘れて
新しい季節と始まりに
ただその身をさずける

忘れてしまった “後ろ向き” は
寂しがっているけれど
そのことにすら気づかない

しばらくそうやって過ごした後に
ふと、
寂しがっていた “後ろ向き” を
思い出した

そうしたら突然
忘れ去っていた沢山の後ろを
思い出した

私の背中をじんわりと温め続けていた
後ろの世界

あるいは物語


最近は
朝に
少しばかりのお散歩を
気が向いた時だけ

今日もその
気が向いた日で
今日はただ
背中の温かさをじんわりと感じて歩いていた

日差しはもう
春を飛び越えようとしている

だけど

風と空気はまだ冷たい
ちょうど花冷えの時期なのか

冬を忘れきれない名残惜しさを
街は、胸にしまっている

背中をじんわり温める太陽と
正面に吹く冷たい空気

「なんだかこれって、耐えられる」

寒さが大の苦手な私だけれど
薄い長袖一枚だって耐えられる

だけど
逆ってどうだろう

と、ふと思った

背中をひりひりと
凍えた風が吹きさらし

だけれど正面には眩い春の光

これはこれで
希望に向かっているような構図だが

だけど心地よくはない

やっぱり背中はあったかくなくっちゃ

うつり かわり でも在ったもの

私の背中を温める
静かな優しい、後ろの世界

過去って言えばいいのだけれど
なんだか好きな言葉じゃない

だから

後ろの世界

今日もどうも

ありがとう


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