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サンタさん、うどんをどうぞ!

娘たちが幼稚園に行く前までは、サンタさんからのプレゼントは私が欲しいものを選べたし、何でも喜んでくれたから楽だった。読み書きができるようになると、サンタさんにお手紙を書きたいという知恵がついてくる。そうなってくると、プレゼント探しは真剣勝負だ。

ある年のクリスマス、ハイジがおじいさんから貰ったペロペロキャンディが欲しいと次女。ところがどうした訳か簡単に見つかると思ったキャンディがどこにもない。長女の希望は、木製の小物入れの箱。仕事帰りに探しまくったかいもなく時間切れ。せめてもと妥協して箱いっぱいに詰めた不二家の棒キャンディは案の定、このキャンディじゃない、と遠慮がちに失望顔。小物入れは……もっと小さな箱でよかったんだけど、立派すぎてびっくりした、とこれは数年経ってからの打ち明け話。

プレゼント選びは失敗に終ったけれど、サンタさんにお礼をしたいというから、そうねぇ、寒いお空を飛んでくるからあったかいものがいいんじゃない?と言ったら、あったかくておいしい、「うどんがいい!」………それで枕元にうどんを置いた。「多分、いろいろなお家でお礼をもらうから、少しだけね!」……..夜中に起きて冷えきったうどんをこっそり食べた。翌朝の喜び様といったら……..「サンタさん、食べてくれたね!!!」と満面の笑み! 可愛かったな。大人になってプレゼントの数々は忘れてしまっても、“うどんを食べてくれたサンタさん”のことは今でもよい思い出だ。

つじつまの合わないサンタさん話に付き合ってくれてありがとう。本当のことは小学校の中学年くらいで知ったらしい。私が打ち明けた時には、やっぱりそうなんだという顔をしていたっけ。でも人生の中で、サンタさんを信じた子供時代があったこと、いつまでも忘れないでね。

ふたりとも大人になると教会の日曜学校のお手伝いで、クリスマスは大忙しとなった。子供たちの年齢にあわせて、クリスマス劇を作り練習したり、衣装を揃えたり、クリスマス会のおやつ選び、その買い出しの準備に追われるようになった。“昔、お姉さんたちの家に来たサンタさんはうどんを食べてくれたんだよ” …… サンタさんを信じきっている幼子たちの瞳は、本当に可愛い。かつての自分たちの姿と重なったことだろう。

Holy Night.  クリスマスイブの夜空を見上げれば、宗教の壁もなく国境もなくサンタさんが走り回っている。でもサンタさんが来ない世界があるのも現実である。本当のクリスマスは、恋人同士がロマンチックな時を過ごすものじゃなくてね、ファミリーであろうとなかろうと、子供たちの笑顔が見たいと思う夢見る大人たちが頑張る日なんだよ。


#クリスマスの過ごし方

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