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高齢の母と同居して介護への道まっしぐら!美術作家に寄り添うマネージメントを心掛け商業施…

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高齢の母と同居して介護への道まっしぐら!美術作家に寄り添うマネージメントを心掛け商業施設への美術提案、展覧会企画などをしてきましたが、今はweb中心の在宅ワークに移行してアーティストのサポートを続けています。 運営しているHPをひとつ紹介、kenjikitagawa.jp

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最近の記事

静かなお正月 (2024年)

大晦日から元旦にかけて、12 x 8=96歳になる母と家族4人で過ごした。 ここ3年、大晦日の夜からお節料理を囲んで過ごすようになった。お正月早々、娘たちには仕事があって、元旦の午後には「行ってらっしゃい」となるからだ。 ウクライナとロシア、イスラエルとガザ……..世界があまり幸せではないので、クリスマスはささやかな飾り付け以外は何もしなかった。私と娘たちはクリスチャンであるので、本来ならクリスマスイブのミサに行くところなのだが、福岡へ越してきてから教会とのご縁がなく、心の

    • 夏枯れの海

      貝殻を拾いに行きたい!が、最初に行った唐津の海が気にいって以来の母の口癖。部屋の窓から一望に広がる海の景色に目を見はり、孫と私の4人で行ったことに感激して涙を流したくらい。最初は秋の始め、2回目は夏の始め、そしてまた9月に3回目と思っていたら10月まで予約がいっぱいで……。それで急遽、駅から徒歩圏内の海を探して行ってみた。電車を降りて徒歩数分、雑木林を抜けると広がる海には誰もいなかった。この夏の気が狂ったような暑さのあとで、季節は確実に秋の気配を示していた。 当然、車椅子で

      • 今、一緒にいることの奇跡

        95歳の母の1日には決まりというものがない。気のむくまま起きて寝て食べて、食べるとすぐ眠くなり、昼まで寝ていたかと思うと10分、20分おきに起きたりまた寝たりを繰り返すこともある。そっと観察していると何やら小さな生き物が生息しているかのようで….. それは可愛くもあり、時には不気味にも見えたりする。 朝は、出勤前の長女が1時間ほど相手になり、軽いおやつを食べさせながら繋がらない会話をする。私はそれをぼんやりと聞きながら、ああ、また1日が始まるなと思うのである。娘を見送ると母

        • 引越しを終えて.....

          あざみの花はスコットランドのシンボルなのだと云う、野趣に溢れて、その色も装いも彼の地によく似合う花だと思う。ギザギザの葉も茎も触るともの凄く痛い。あざみは、わーっ、可愛いと手を伸ばして詰むような花ではない、楚々としながら凛とした意志を感じる花である。本当は野で眺めたい花だけれど、花束にして竹の籠に投げ込んだら清々しい初夏を運んできてくれた。 次女のすぐ近くに引越しをした。母には前々から伝えていたのに、孫が昼でも夜でもひょいとやって来ては、「またね、おばあちゃん!」とひょいと

        静かなお正月 (2024年)

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        • 母との暮らし
          20本
        • 葉山暮らし
          4本

        記事

          ふたたびの海

          昨年の秋以来、「また貝殻を拾いに行きたい!」と言い続け、暖かくなるのを待って、大潮の日を選んで……. 4月の唐津。同じホテル、同じ海。部屋からの眺めに浸り、早朝から浜を歩いて貝殻拾い。母と私、二人の孫と女4人の旅。母の頭の中でこれだけは忘れない、絶対に覚えていたいこと………..孫を育てながら一緒に過ごした葉山での日々。だから海の景色が呼び起こす幸せがあるのだろう。前回は嬉しいと言って泣いたんだったな。その後の鹿児島・お墓参りの旅、市内ホテルでの気晴らしステイ、とお出掛けが続い

          ふたたびの海

          謹賀新年_海を見に_

          12月初めに母がコロナに罹った。変な咳をしたのですぐにPCR検査、そして陽性。その3日後に私が感染し、なんといちばん人との接触が多い長女は陰性……自宅待機の間ずっと看病をしてくれた。母は病院に行く体力はないので市販の薬で、私はかかりつけの発熱外来で手早く検査をしてもらい薬をもらう。その薬が母のものとほぼ変わらず、娘の知識と手際良さに驚いた。近所に住む次女は、自分がうつしたのかもと心配するもこれまたなんと陰性……..。二人とも現在に至るまでずっと陰性である。 母とお正月は迎え

          謹賀新年_海を見に_

          ぶどう尽くしの秋

          秋も深まりゆく中、冷凍庫の中にぶどうが一房大切にしまわれている。このぶどうは、真冬になってブランディーを飲む時にそっと浮かべるためにとってある。それが私の冬の夜の楽しみ。そのぶどう、巨峰とシャインマスカットの両方をこの秋は満喫した。産地直送でその産地も近いので、今朝収穫したものが翌日には届く、しかも市場には出ないお得意様のみの限定。台風や大雨が多いこの秋、収穫時期は定まらず、だからいつ届くのかも分からない。そんな貴重なぶどうを弟夫婦が贈ってくれた。先に巨峰が届いて後日、シャイ

          ぶどう尽くしの秋

          昨日の海.....唐津の海

          「昨日行った海はどこなの?」と94歳の母。「唐津!」と答える私。この会話が10分ごとに繰り返される。車椅子を使いこなすための小旅行。普通に電車に乗り、タクシーに乗り、車椅子の母とどこまで行けるのか? 荷物はどれだけ持っていく?体力は?………そんなことを試すための小さな旅をしてから、もう一週間以上も経つのに............ 同じことを繰り返すのは忘れたくないから、その確認をしているのだと娘が言う。 和風の宿は段差があるから、車椅子で部屋まで入れるホテル。大浴場は無理

          昨日の海.....唐津の海

          病院難民

          世の中にはどうしてこんなにたくさん病院があるのだろう。そしてその数ある病院の中で安心できる病院がなんと少ないのだろう。母が少しでも歩く機会を持てるようにシルバーカーで行ける所……その条件下にも病院はたくさんある。内科の主治医を探そうとして今、苦戦中である。 綺麗な外観、素敵なカフェ完備、看護士さんはいい感じなのに、どうせ年寄りなんだからこんなものでいいでしょう、と言わんばかりの雰囲気を醸し出す先生、あたった曜日が悪かったのか? 否、3回違う科を受診したけれど、どの先生も似た

          遂に車椅子....

          あーあ、何だかなァ〜……..で車椅子登場。少しでも歩けるようにとシルバーカーで出掛けていたのだけれど、歩きたくなくなると放つ母の暴言に耐えかねて先日、散歩途中に歩きながら契約業者さんに「もう無理なんです。歩くのは諦めて車椅子にします!」と勢いで電話。.......「もう私たちが楽しいと思う事をしないとダメなんだよ。ストレスを減らそう。」と言った娘の辛そうな顔で決心がついた。……… 後からケアマネさんにも事情を説明して翌々日には届けてもらった。歩けなくなってももういいや、という

          遂に車椅子....

          夏満開! ゴーヤとプルメリア

          ベランダのゴーヤが、収穫する間もなく黄色く熟して真っ赤な種になってしまった。ゴーヤのカーテンは涼しげなのに流石に南の植物、なんとも鮮やかだ。食べた後のカボチャ、スイカ、メロンの種をせっせとプランターに植えている。地面だったら適当に伸びて、思わぬところで実をつけていたりするのだけれど、プランターではそこまで行かず………でも下草のように育つ姿は夏らしくてこれもまた一景。 ベランダ・ガーデニングは、母が水やりでもしてくれたらと思って始めたのだけれど、ただ愛でるだけで花の名前を教え

          夏満開! ゴーヤとプルメリア

          新しいMacBook_pro!

          2011年7月に横浜のヨドバシカメラで、MacBook_proを買った。初めてのノートパソコン。軽くてかっこいいと上機嫌で小脇に抱え、28日に福岡へ引越した。今風に言えば「移住」したのである。私はこの移動が「引越」なのか「移住」なのか、その違いが今もよく分からない。東京には戻らない覚悟で、仕事を捨てて故郷を離れたというのは移住になるのだろうか? 理由は原発事故。当時の東京は、キエフより放射線量が高かったのだ。ガイガーカウンターが品川駅・高輪口の改札でその事実を示していた。その

          新しいMacBook_pro!

          迎春萬歳!

          朝7時、長女が母に話し掛けている。「おばあちゃん、骨粗しょう症の治療のために足の運動をしないといけないんだけど、整形外科の先生が今日、リハビリに行って欲しいんだって。」.......... 「あらっ、じゃあ支度しなくちゃ!」 整形外科の先生特別に紹介してくれた所、と“特別”を強調する。 朝7時に突然、こんなことを言われている不自然には思いが及んでいない。実は昨夜、今日のデイサービスのキャンセルを伝えていないことに気がついて、ぶっつけで行くか、否かに掛けてみようと言うことにな

          迎春萬歳!

          朝、3時間の自由

          デイサービスに行かないと言い出してから、母の起床時間は極めて遅くなった。10時半から11時くらいの間にベッドに起き上がっている。さすがに空腹感があるのだろう、ご飯食べよう、と声を掛けると今や母の陣地と化してしまった介護ベッドを降りて来る。今までは口癖の「おなか空いてない、食べられるかしら?」だったのだけれど。 前向きに考えることにした。デイサービスに送り出すにはまず、なだめて納得させて着替えさせて食べさせてと大忙しだ。それがなければ、娘が出勤した後の7時半から10時半までは

          朝、3時間の自由

          歩けない!は演技なのか?

          ベランダ出入り口に、段差を乗り越えるために手すりを設置してある。本格的な寒さの前触れなのかつかの間の日差しの中で、母とベランダでひなたぼっこをする。ふらふらする身体を支えながら、やっと椅子に座わらせることができた。ベランダに鉢植えを置けば喜んで世話をするかもしれない、という思惑は見事に外れ、眺めるだけでただ毎日、水が足りないと催促する。大丈夫、足りているよ、と繰り替えす。でも「綺麗ねぇ.....」と満足しているから、ま、いいか。 そして私は部屋の掃除やら何やらで一時そこを離

          歩けない!は演技なのか?

          シルバーカーで完走!

          風もなく暖かい日、あまりにもお天気が良いのでさりげなく「おかあさん、散歩に出掛けてみない?」........その気になった。それから着替えをして、マスクをして、玄関前にシルバーカーを用意する、それだけでも一手間であるが、その気になっている間に急がなきゃ。行く先は告げなかった。まずは、そこまでは歩けない、歩けるかしらの問答が繰り返されるからだ。 神社まで行ってみよう。そしてさりげなくその先の橋を渡って、次女のお店まで.........そう心に決めていた。シルバーカーは簡単な車

          シルバーカーで完走!