一筆啓上《5》
〜空白〜
受験や就職戦争を勝ち抜いて希望の学校や職場に合格した途端に燃え尽きてしまうという話を聞きます。これから何を目指し思い描いて取り組んで行ったらいいのか見失ってしまうのかもしれません。
もっとも小さな希望と落胆なら誰しも日常的に繰り返しているでしょう。
思えば5年前。noteの真っ白でシンプルなレイアウトを目にした時、感じていたのはワクワク感だった気がします。何もない真っ白な紙面に未来を思い描いていたはずです。
それから試行錯誤を繰り返すうちに歳月は瞬く間に流れ去りました。
思い描いていたものは描けたのかといえば達成感はありません。むしろやり残した仕事は増えているはずです。やりたいことを見失っているならやるべきことがたくさんあるはずなのです。
例えばこれまでの作品のバージョンアップ。これだけでも相当な数があるはずです。
ところが心は凪いでいて、波風どころか波紋も見当たらない空っぽな感覚です。もうやるべきことも出来ることもないように感じているのです。
艱難辛苦を乗り越えて、たどり着いてみたら何にもなかった…もしかすると理想郷とはそんなものかもしれません。
これは節目なのでしょうか。
作品を描いているともう筆やペンが進まなくなる瞬間というものがあります。作品が完成していようといまいと行き詰まってしまうわけです。まだ仕事が残っているのに日が暮れてしまう感覚に似ているかもしれません。
条件も環境も経験も5年前とは違うはずです。真っ白なキャンバスを目の前にして出来ることは、愕然と立ち尽くすよりここからまた新たな作品を思い描くことなのかもしれません。
行き詰ることも空白もきっと新たな作品のために必要なのです。
…頼風…
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