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宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」

「紙芝居デリバリー」今回は、宮沢賢治の有名な「セロ弾きのゴーシュ」です。「セロ弾きのゴーシュ」の紙芝居はいろいろあるのですが、「巨匠」諸橋精光のこの紙芝居、表情豊かでいきいきとした、そして美しい絵が続き、宮沢賢治の世界をそのまま紙芝居に再現した、といっていい傑作です。

自身がチェロを弾いた、という宮沢賢治、このお話には、宮沢賢治のチェロへの思いが込められています。畑を耕しながら安物のチェロを弾く貧しく不器用なゴーシュが、夜な夜な遊びに来る動物たちとともに演奏することで成長していく、それは宮沢賢治の理想とした田園生活なのでしょう。子供には難解なお話の多い宮沢賢治の童話の中では、子供にもわかりやすく、テンポのある楽しいお話です。

この「セロ弾きのゴーシュ」には、たくさんの人が音楽を付けている、と思いますが、わたくしあーちすとウエダも、オリジナルの音楽を作りました。演奏はパソコンの演奏ソフトです。なにせチェロの演奏技術に関する知識が全くないので、実際のチェロでわたしの音楽を演奏できるか?という問題はありますが、音そのものは実際のチェロの音をサンプリングしたもので、リアルなチェロの響きにかなり近い、と思います。

最初はチューニングが狂っていたり、テンポが遅れたりするゴーシュの演奏、それもそのまま再現しました。だから最初のゴーシュのチェロは、かなり聞きづらくなっています。それが最後に近づくにしたがって、どんどん成長し、美しい演奏になっていく、そこをしっかりと聞き取っていけるようになっています。

最初にも描きましたが、とにかく絵のいきいきした美しさに、心を奪われます。諸橋精光は、紙芝居の「巨匠」で、前回の「月夜とめがね」と並ぶ最新作のこの作品は、諸橋精光の到達点、と言える傑作です。ぜひごゆっくりお楽しみください。

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