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帰ってきた。このキャンバスに。
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慌ただしく日々は過ぎて行く。
生きている証。大切な時間。
それでも少し、自分の呼吸を取り戻すことは必要。
私は今、絵の具を混ぜている。
私は今、キャンバスに塗っている。
私は今、ささやかな雨音を聴いている。
私は今、満たされていると感じている。
感じたままに描く。
無常のままに変わりゆく気配。
なにものにもなることはない。
私が私である必要もない。
感じているのは、私のそれぞれの部分。
心は私であるが、私ではない。
私、というもの自体も、無常の世界では確固たるものは一つもない。
それぞれに、感じている感覚の、どこを発端とするか。その本質は何か。
水が、液体や固体や気体に変化すれど、水という本質が変わらぬように。
私が私であり、あなたであり、家族であり、先祖であり、自然であり、風であり、、変化して定まらない。
私、という本質はなんだろう。
筆を動かす。
沈黙と集中力が必要だ。
何かが見えてきて、また消えていく。
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