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寓話

まずはお知らせ 2024年年明け1月10日。札幌。「祈り」という行為に秘められた叡智を学びませんか? こんな時代だからこそ、あなたの祈りが世界をひらきます。


寓話 1 怒れる男


その男はいつも怒っていた。いつも機嫌が悪く、いつも憤っていた。

ある朝、老人が彼の前を通りかかり、その様子を見かねて男に尋ねてみた。

「もしもし。どうしてそんなに怒っているのですか?」

男は答えた。

「太陽が西から昇らないからだ! どうしていつも東から昇って、西に沈むんだ!」

「別に、西に沈んでも問題ないじゃないですか?」

老人がそう諭すように言うと、

「いーや!だめだ!私の幸運は西からやってくるんだ。西からやってきたものしか幸福がない。東はいつも悪いことばかりだった。そして、私の人生はここ数年悪いことばかりだ!それは太陽のせいだ!太陽が西から昇らないからだ!ああ!苦しい!」

「はぁ、その理由は詳しくはわかりませんが、太陽はどうにもならないと思いますが…」

「そんなはずはない!

男は強い口調で言った。

「人生は努力をすれば必ず望みは叶えられる!そのために私は厳しい修行をしている!太陽が西から昇り、東へ沈むために、毎朝早朝に山に行き滝に打たれ、週に一度断食をし、聖なるお香で身を清め、聖地へ通い、古から伝わる秘密の祈りをかかしたことがない!しかし!太陽はまだ東から昇り、西へ沈み続ける!なんてことだ!私の修行はいつ報われるのか!いつまでこの苦しみは続くのか!」

男は大地を蹴り、西に傾いた太陽を睨みつけながら叫ぶと、そのまま憤りながら去っていった。

終わり


寓話 2 悲しむ女


その女はいつも悲しんでいた。誰に会っても悲しい顔をして、ため息をついていた。

ある午後、老人が彼の前を通りかかり、その様子を見かねて男に尋ねてみた。

「どうしてあなたはいつもそんなに悲しんでおられるのですか?」

その女は悲しそうな声で答えた。

「空の色が青いのが、とても悲しいのです」

老人は言った。

「しかし、空は昔も今も青い。ここじゃなくても、遠い外国へ行っても、空は青い」

「私は青が嫌いなんです。青は不吉を呼ぶ色なんです。青を見るだけで、私は苦しいのです…。そして、それを誰もわかってくれないのです。みんなわかってないのです。昼の青い空は、悪魔の色だって」

「青空は気持ちいいもんだがね…」

「雨の日の暗い空や、特に夜の空の下ではとても楽しい気分になれるのに、雨の日はみんな家に引きこもり、夜にはみんなが楽しんでくれません。家族も友人も、みんな寝てしまいます。私の喜びを共有してくれない。ああ、悲しいわ。苦しいわ」

「じゃあ、どうすればいいと思うのかね?」

「空の色が変わればいいのです。私はそのために、いつも寺院へ行き祈っています。貞操を守り、神に身を捧げ、空の色が青じゃなくなるのを待っています!いつか願いが叶うと、神様が哀れな私を、かわいそうな私を救うために、私の願いを聞き届けてくれると信じています。神様は決して、私を見捨てないと信じています」

女は涙を流しながら、自分の運命を嘆きつつも、その姿はどこか歓喜に満ちていた。

「ですがおじいさん、教えてくれださい。こんなに熱心に祈っているのに、神様が願いを聞き届けれくださらないのは、私の祈り方に問題があるのでしょうか? 祈りの時間は正しいですか? 祈りの作法が正しいですか? 祈りの言葉は、もっと良い言葉があるのでしょうか? 私の何がいけないのですか?どうすれば願いが叶うのですか?」

老人は何も言わずに、その女の前から離れた。

「こんなに苦しんでいるのに…、おお、神様、悪魔のような老人が現れました! こんなに可哀想な私を放っておくなんて! 彼は悪魔です」

女は老人の後ろでそう泣きながら訴え続けていたが、老人は振り返らなかった。

終わり

「寓話3」はお知らせの後


☆ イベント・ワークショップ

つながるからだ、つながるこころ


寓話 3 喜ぶ若者


その若者はとても嬉しそうだった。満面の笑みで、とても幸せそうだった。つい数ヶ月前までは普通の若者だったが、ここ最近は幸せそうだった。

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