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クリエーター(トレーダー)様と遊ぶ企画 わらしべ長者・第六章 “別れ”

私は、斧と刀を受け取りに岡山県警に向かった。

『お待ちしておりました…まずはこちらにどうぞ』

テルさんだ。仕事モードのテルさんはシャキッとしていていつものだらけた様子もない。公私をきちんと分けるタイプなんだなと思いつつ、彼女の後をついて行った。
彼女に案内された部屋は狭く殺風景で所謂“取り調べ室”だ。

『いやー、ごめんね!会議室使用申請忘れちゃった。ここで我慢してね。』

…。

『本当ごめんね、窓口じゃ話せない事もあったしね。あ、その前に…はい、これ!斧の登録証。斧については未登録だったから所有者である貴女で登録してあるよ。更に斧の所有者は私に変わったから譲渡先の情報は私になってる。んで刀も同じ手順で譲渡先は貴女になっているわけ。確認したらこちらの書類にサインして捺印してくれる?…はい、有難う!これで斧と刀のトレードは完了だね。』

私は刀を受け取った。

『色々有難うね、一ヵ月貴女と過ごした日々…私は忘れない。貴女は一ヶ所に留まるべき女じゃないし、目的が達成された時が貴女の旅のフィナーレになるんだから。ただ忘れないで?やる事はそれだけじゃないはず。きっと旅を続けていればそれが何かわかる時が来る…私にはわからない物だけど。』

彼女はグスッとベソをかいていたが、必死に涙を堪えているのがわかる。

『そういえば羽衣で思い出したんだけど羽衣って言ったらやっぱり鳥取じゃない?行ってみたら?』

私は彼女と別れ、県警を後にした。
彼女も西園寺さんと同じ事を言っていた。家以上の価値があるもの…“この世で一番大事なもの”、なんだろうか?

バイバイ、岡山!

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