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クリエーター(トレーダー)様と遊ぶ企画 わらしべ長者・第二章 “秘宝”

私はついに長年住んでいた場所からついに脱出した。鬼ヶ島へ行け…という目的ができたからだ。

鬼ヶ島…香山にある小さい都市で、女木島が本来の名前だそうだ。瀬戸内海は童話の桃太郎の話の縁の場所として有名で学生の時の修学旅行で行ったのを覚えている。新幹線から見える景色に見惚れていると突然沈黙を破るように車内放送が入った。

“お客様にご連絡致します。只今悪天候により新大阪から先は運行できません。天候の回復を待ち新大阪駅まで運行致します…ご迷惑をお掛けしまして大変申し訳ありません…”

確かにうっすらと曇ってはいたが、大阪から先は天気が悪い…しかも新大阪までしか動かない。私はツイてない…渋々新大阪で降りることにした。新大阪の駅は一応新幹線の停車駅ではあるが、大阪に負けじと賑やかだ。不思議と風が強く飛ばされそうな勢いだ。駅のインフォメーションでどうして停まっているのか理由をお姉さんに聞いてみると…

『台風の時期でもないのに大雨が降っていて強風も吹いているんですよ。悪天候下での運行は難しい状態です。復旧については今現在としてはわかりません…』

とのこと。私は先に進みたいのに!と改札口を出てあたりを見渡した。

『あぁん、もう!踏んだり蹴ったりだよ!』

後で叫んでいる女の子に目がいった。その女の子は制服を着ていてどうやら高校生くらいの子のようだ。

『ん?貴女…私に何か用ですか?』

と、その女の子はジロッと私を睨んでいる。すみません、特に用はなかったんです。声がしたから振り返っただけで…とあたふたしながら謝った。

『あ、私こそ怒鳴っちゃってごめんなさい…私、“やま”って言う女子高生で、広島のおばあちゃんの家に遊びに行く途中だったんだけど、天気が悪くて貴女と同じく立ち往生…ってわけ。』

※やま様、感謝します!

さっきまでイライラしていたのに、私と話しているうちに打ち解けてきた。

『この時期に大雨とか珍しいよね…こんなことは初めてだよ。貴女は何処に行くつもりだったの?』

私は彼女に全てを話した。勿論鬼ヶ島に行き、ある人物と会うことも。

『鬼ヶ島?女木島のことでしょ?昔、桃太郎が鬼を成敗するのに島に入って…って。鬼なんている訳ないじゃん!』

確かにそうだ…今の鬼ヶ島、女木島って普通の島で、普通に人が住んでいるんだから…けど私があの時みたものってなんだろう。私はハッと我にかえる。

『おーい!大丈夫?』

彼女はゆさゆさと私の身体を揺さぶっている。と、その時ポケットからカランカラン…とビー玉が落ちた。

『ねえねえ、コレ…落ちたよ。ビー玉を大事そうに持ってるなんて何かあるの?』

と、彼女はビー玉を手に取り私に渡そうとした瞬間、彼女は驚いた。

『貴女…何者?ビー玉を見つめていたらちょんまげしたお爺さんが映ってたけど!』

ちょんまげのお爺さん?まさか…と思い、私は彼女にお爺さんの事を話した。

『そのお爺ちゃん、萬屋金兵衛って言うの?それで貴女の先祖?うーん…わからないや!』

私はズッコケそうになった。

『ねえねえ!そのビー玉ちょうだいよ!なんか綺麗だし、宝石みたい。
タダでくれる訳ないか。お金で良かったらお小遣い全部出してもいいよ!』

私はお金なんか貰えない!と断ったのだが、相手が欲しがっているなら…とあげる事にした。

『え?いいの?貰っちゃってさ。お金でも良かったのに…これ、未来とか見えるビー玉なの?そんなの余計にタダで貰えないよ…だったら…ちょっと待ってて。』

彼女は人目を気にせず、床にバックの中身をばら撒いて一枚の団扇を取り出した。

『これはね、“芭蕉扇”って言う団扇で文字通り、芭蕉の葉でできているの。元々は中国の団扇でひとたび仰げば風を呼び、ふたたび仰げば雲を呼び、みっつ仰げば雨が降る。 立て続けに49回仰ぐと、どんな火でも消し止める霊水が雨として降り注ぐ、って言われてるの。オリジナルは中国にあったんだけど何故か芭蕉扇のコピーを作る事に成功したのが私のお爺ちゃんってわけ。私は三代目の団扇職人…見習いなの。』

芭蕉扇?確か西遊記だと“羅刹女”って妖怪が持っていたはず、その団扇がコピーされて日本に?私はその団扇でつい勢いよく振ってしまった瞬間、壁に飛ばされてしまった。

『大丈夫?力加減に注意してないとそうなるの。でも貴女…あれだけ飛ばされたのに、怪我一つないなんてすごいね。芭蕉の葉っぱはそれだけ強い力を持ってる植物なんだよ。』

私は彼女と芭蕉扇、団扇と交換した。ふとしたアクシデントから突然現れたトレーダーとの出会い、鬼ヶ島へ無事辿りつけるのか…

今回はやま様から提供していただいた作品を掲載します、やま様!ご協力感謝いたします。

未来が見えるビー玉→日本製芭蕉扇(団扇)

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