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クリエーター(トレーダー)様と遊ぶ企画 わらしべ長者・第十章 “北国”

私は親切な古物商親子のご好意で人生初の飛行機移動を体験した。最近の旅客機は離陸の瞬間や今、何処を飛んでいるかリアルタイムでモニターに映し出すサービスがある。飛行機自身が初めてな私は子供みたいにはしゃいでしまい、逆に揺れたりしたらびっくりしたりする。

北海道、新千歳空港…

私は北国の第一歩を踏んだ。やはり感動する。空港は広い…乗り場一つで大移動しなければならないし、免税店やなんとATMでなくて銀行なんかもあったりする。昔あったな…ふとしたきっかけで空港から出れなくなった男が空港で生活する話…とか。私は空港を出ずに色々歩き回った。

おっと…忘れていた。刀を引き取らないと。確か…ベルトコンベアでバックと共に流れてくるはずだ…これも初体験。慌ててキョロキョロしだす挙動不審の私…バックと刀をパッキングした包みが一緒に流れてきた。

そそくさとその場を去り、空港を出ようとした途端、突然例の如く、アレが光だした。そう…“鬼の涙”だ。ただ私の周りにはあまり人がいなく、雰囲気も普通の人ばかり…気配も感じない。しかも光は急に消えたのだ。
今までそんな事はなかった…のに。不思議に思いながら私は空港をでた。

北海道の街は思ったより涼しく南国ばっかり行っていた私にはちょうどいい暑さだ。タクシーを拾い、札幌市内へ。札幌も賑やかだなーと思った。
北海道に来たら行ってみたい場所があった。野球に興味はなかったが、噂のボールパーク、札幌ドームだ。ドームを本拠地にしていた某球団が違う場所に移設、札幌ドームは最早泥舟状態、兎に角見ておきたかったのだ。
そのドームを歩き回っていた時、また光だした…が、また消えた。
さて私は繁華街に入ってみた。午後なので人もまばらであまり人がいない。だが、また鬼の涙が光だした!のだが今度は光が消える事なく一層眩しく光る…ふと後を振り返ると大きいリボンが目立つ幼い女の子が立っていた。

『ねえねえ、お姉さんの首元なんか光ってるよ?なんでー?』

私は驚いた!この子が次のトレーダー?いや、彼女は何も持っていない。私は空港とドームにいたかを聞いた。

『いたけど…ねえ、私の事子供だと思ってる?よく間違われるんだよね。』

申し訳ない!はい、思ってました。

『だよね…私の名前はtimothy、多分、貴女と同い年くらいだよ。ねえ、その細長い物は何?え?刀?しかも二振り?』

私はここでは見せれないけど、そうだと答えた。彼女は刀と聞いた途端目を輝かせている。見せて!とせがむので…

『じゃあ、私の家においでよ。すぐそこにあるから。』

と、彼女は私の手を引っ張って家に案内した。家に入ると初老の男性がテレビを観ていたのだが、刀が放つ特別な気を感じ取ったのか、血相を変えて飛んできた。

『この気配は…ひょっとして…お、お客人!まさか…それを見せてくだされ!』

お爺さんは刀を取り、まじまじと刀を見て…

『お客人!アンタはこれを何処で手に入れた?岡山と長崎でだと?おい、timothy!今から儀式をやるぞ!急げ!』

彼女はドタバタと部屋を片付けだし、祭壇を作り刀掛を置いた。

『お客人、アンタもそこに座りなされ。』

私は黙って祭壇の部屋の隅に座った。timothyさんの表情はキリッとなり先程とは違う雰囲気で二刀を持ち、祭壇の上の刀掛にそっと置いた。その瞬間、初老の男性は『畏み…畏み…』と祝詞を唱え出した。
その瞬間、二刀はピカッと黄金色に光ったかと思うとカチッと音を立てて刀掛にピタリとくっついた。

『これで二刀様はお帰りになられた…お客人、実は我ら、二刀様を守ってきた一族なんじゃよ。吉備津彦命様…桃太郎様はかの鬼の住まう地、すなわち鬼ヶ島で鬼を改心させた後都に住む我ら一族に刀を託されたわけじゃな。ただご先祖様は時の権力者に刀の事を知られてしまい、命掛けで二刀様を守ろうとしたが、権力者は欲の為にこの刀を強引に割いてしまい、行方を探していたんじゃよ。それぞれのお刀様は人づてに渡り、そして現代で何百年の時を得て再び巡り合った訳じゃ。あと少し遅ければ二刀様方は鈍になってしまうところで、こうなっては儂らでさえ諌める事はできなかった…お客人には感謝じゃよ。』

在るべき場所に返してこそ、この夫婦刀は私を選び北の国に運ぶよう促した…訳だ。

『さてお客人、アンタは月光石の原石を持っておるな。今日は満月、加工するなら今しかない。ちょっと貸しておくれ。timothy、お前は祭壇を片付けたらもう寝なさい。儂は奥でコイツに手を加えるので徹夜で加工しようと思う。また明日家に来ておくれ。』

私はホテルに戻って眠る事にした。
翌朝、私はtimothyさんの家の前でインターフォンを押した。

『はーい!あ、いらっしゃい。入って入って。』

私は客間に通された。timothyさんはお茶をことっと置いて、

『どうぞ…今お爺ちゃんを呼んでくるからちょっと待っててね。』

『お早う御座います、お客人。夕べはよく眠れたかな?二刀様達の気も穏やかな感じになったじゃろ。さてお客人が持っていた石の加工ができたぞ。月の光を浴びながら不純物を取り除く作業は満月の夜にしかできん。そんな月の光を存分に浴びた石がこれじゃ。』

お爺さんは綺麗に透き通った石をゴトっと置いた。

『月光石という石は場所によっては色々な名前で呼ばれておる。“おりはるこん”と言う言葉を聴いた事があるじゃろ?伝説の金属じゃな。オリハルコンは歴史的には武器になったり、所有者の証として使われたりする…そんなオリハルコンを巡って争いなんかも起きた。それだけ貴重な存在だったわけだ。アンタが首にかけている鬼の涙も月光石から加工されたもの、大事にしなされよ?』

私は月光石の鉱石を三個手に入れた。

『ねえ、お爺ちゃん…この人ならこれを完成させる事ができるんじゃない?』

timothyさんは掛け軸を持ってきた。掛け軸には竹が描いてある。

timothy様、寄稿有難う御座います!

『竹と言う植物は縁起の良いものとしてよく描かれるんだけど、実はこれ…まだ完成ではないの。あることをして完成するんだって。二刀様を私達の元に導いてくれたんだから掛軸も完成させてくれはずだよ。受け取ってくれる?』

私は竹の掛け軸を手に入れた。
timothy様(X 旧Twitter:@oekaki_timothy)、可愛い作品を有難う御座いました!

・夫婦剣 吉備津一対→timothy家に返却
・月光石の原石→月光石(伝説の金属・オリハルコン)の鉱石×三個
・未完成の竹の掛け軸…timothy様から譲渡



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