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【 死と隣り合わせの人生 】



屋久島のヤクスギランド中程にあるスギの名木
「仏陀杉(別名 釈迦杉)」
幹のうねり具合が自然の造形美を見せてくれ、無数に付いた瘤が仏様を連想させる。
幹周 8m 、樹高21.5m、樹齢1800年。
「縄文杉」に比べると幹周も半分程だし、樹齢も3分の1くらいであるが、雨の行程で出会った様々な杉達の中でも印象深かったヤクスギだ。


何千年も生き続けてきた「仏陀杉」だが、心なしか樹勢も衰えているように見受けられた。大きな空洞がぽっかりと口を開けており、近づけないように柵が施してあったが、命の雨を大量に浴びながらも、寿命はあと数十年とも数年とも言われているようだ。

ヤクスギと比べると、人間の寿命はあっという間である。いくら人生100年時代が到来したとはいえ、せいぜいヤクスギ達の10分の1 ほどしか生命を保てない。

そんなわずかな人生を心置きなく過ごし、子孫にDNAを残して亡くなっていく事が我々に課せられている仕事なのだろう。
この世に生を受ける時は、何の意識もなく偶然の賜物の末である。
しかし、この世からあの世に旅立つにあたっては少なからず準備する事ができる。



何も考えず、流れにまかせて最期の時を迎えるのもその人の人生。
様々な知識を得たうえで、残る者に精一杯の思いやりを尽くすのも人生。

突然降りかかってくる家族の看取りも、思考力を鍛えて心構え出来ていればさほど後悔することもない。

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