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フィレンツェ物語

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ルネッサンス文化が香る古都フィレンツェは、紀元前に古代ローマ人が開墾し築き上げた、なにもない小さな国でした。 依頼人がいて、職人という名のアーティストがいて、通りにひしめき合う…
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#いがらしようこフィレンツェ

ドレスと、宮殿と、フェラガモと。 Ferragamo Museum n.4

ワンダ・フェラガモ夫人へ捧げる展示会より。 n.4 Donna Equilibrio - Museo Ferragamo a Firenze 主婦と母親の役だけでなく、仕事へ、旅行へと、家庭の外に出始める女性達。 女性が社会へ進出していくことで、洋服のスタイルも変化します。 男性が多数を占めていた、洋服のスタイリスト、仕立て屋、宝飾デザイナーの世界でも、女性が活躍し始め、それに伴い、ヒールの高さも地面に近づき、低く平らなバレリーナシューズが世に出ます。 展示会のテーマ

キッチンとイタリアン・デザイン。 Ferragamo Museum n.3

ワンダ・フェラガモ夫人へ捧げる展示会より。 n.3 Donna Equilibrio - Museo Ferragamo a Firenze フェラガモ美術館で開催される展示会は、1つのテーマから広げられる世界観が独特で、毎回楽しみにしています。 今期の「Donna Equilibrio(女性のバランス)」では、60年代のイタリアの女性を取り巻く環境を取り扱っています。 その中心に据えられるのは、サルバトーレ・フェラガモの奥様、ワンダ・フェラガモ夫人。1960年に夫が6

イタリアの女性達とモダンデザイン。 Ferragamo Museum n.2

ワンダ・フェラガモ夫人へ捧げる展示会より。 n.2 Donna Equilibrio - Museo Ferragamo a Firenze フィレンツェのフェラガモ本店の美術館で開催されている、Donna Equilibrio「女性のバランス」。 1955年からの10年間の女性達にフォーカスをしている展示です。この時代は、そのまま、2018年に97歳で他界されたワンダ夫人が生きた時代でもあります。 ワンダ夫人は、靴作りでフェラガモの名を世界に知らしめたサルバトーレ・フ

60年代のイタリアの女性たち。 Ferragamo Museum n.1

ワンダ・フェラガモ夫人へ捧げる展示会より。 n.1 Donna Equilibrio - Museo Ferragamo a Firenze 1960年。早すぎる夫の死は、それまで完全に専業主婦だった彼女を、実業家へと変身させます。 夫はサルバトーレ・フェラガモ。LVMH、ケリング、リシュモン、これらの大きなグループに属せず、現在でも家族経営でイタリアのブランド界を牽引するフェラガモ社の創立者です。 サルバトーレが42歳のときに、まだ18歳だったワンダさんを見初め、二人

フィレンツェの子供達。 n.2

前回は、ルネッサンス時代に創立した捨て子養育院で、子供達がどのように引き取られ育っていったかなどをご案内しました。 今回は、いまのフィレンツェの子供達に焦点を当ててみたいと思います。フィレンツェという歴史ある街で、その特徴を活かし、市や美術館がどのように取り組み、子供達が普段からアートに触れられるようにしているのでしょう。 フィレンツェの大人達にもアートを!フィレンツェ市立美術館(Musei Civici Fiorentini)には、市庁舎でもあるヴェッキオ宮殿を筆頭に、

フィレンツェの子供達。 n.1

年が明け2023年。1月もすっかり下旬に差し掛かりました。 ご挨拶が遅れましたが、22年に投稿に立ち寄ってくださった方々、コメントを残して下さった皆様、ありがとうございます。2023年も何卒よろしくお願いします。 ******* 今年初めての記事に何を書こうか迷いましたが、最初は、やっぱりフィレンツェから始めることにします。 この絵は1488年から1年をかけて描かれた、東方三博士の礼拝(とうほうさんはかせのれいはい)。三人の博士が、生まれたばかりのキリストをお祝いする