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美しい小都市や田舎を訪ねる。

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イタリアの小都市や田舎は、きちんと整えられて、花が飾られていて、住民同士の絆が深くて、自然と、歴史と、人が、ゆったりと時のなかに身を置いています。豊かさってなんだろうって、考えて…
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石畳のアーチが連なる、田舎の美しさ。*Vezzano Ligure ヴェツァーノ・リーグレ*

アルコラ村でおまわりさんから教えてもらった、貴重な地元情報。 人口約7000人が住む村。やはり小高い丘の上に立っています。 村の一番高いところに建つ塔を目指して行ってみましょう。 村の入口の広場に描かれたフレスコ画。これはなんでしょう? RIONEは「地区」という意味。ヴェツァーノ・リーグレ村は、広場地区を中心に、9つの地区に分かれていることを示しています。 場所によっては、地区対抗のレースが繰り広げられます。代表的な例では、フィレンツェから日帰り旅行できる古都シエ

教会と光と夏至。

夏至の日は、たまたま海方面へ行っていて、サンミニアートアルモンテ教会のような夏至のスペクタクルが観れるところないか、探してみた。 あったあった! 場所は、バディア・サン・ピエトロ教会。 建立は700年代で、いまの姿は12世紀のもの。 巡礼の路といえば、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路が有名ですが、ローマへ向かう、フランチージェナと呼ばれる巡礼路がイタリアにもあります。 余談ですが、コロナ以降、イタリアは、ちょっとした巡礼路ブーム。数日かけて、巡礼地

カッラーラ山は、宝の山よ。

フィレンツェから高速道路に乗り、海沿いに向かって行くと、夏でも真っ白い山々が現れます。これが、カッラーラ山。 前回案内したサンミニアートアルモンテ教会の白い部分も、ルネッサンス時代を代表するフィレンツェの大聖堂の白い部分も、ミケランジェロ作のダヴィデ像も、ぜーんぶ、カッラーラの大理石。 いざ、カッラーラ山へ何トンもある大きな塊の大理石を乗せたトラックが、行き交うカッラーラ街。すれ違うだけで、迫力。採石場に行く道は何本もあり、まるで迷路のよう。 カッラーラ山の大理石は、世

うまうまラードのコロンナータ村

大理石の山の続編です。 大理石の山にある小さな村カッラーラ山の採石場のすぐ傍にあるコロンナータ村。標高532メートルにあり、雪が降り積もったような白い山が目の前に迫ります。 村人の生活に結びついた大理石山を、崇めるかのように、高台に広場があり、そこに建つ教会。外観はそんなんでもないけど、内部の装飾は、当然というべきか、すべて大理石。 前回案内した、山から石を切りだすカヴァトーレ(Cavatore)と、彼らを加護するマリア様。 洗礼をするヨハネ聖人も、もちろんカッラーラ

聖なる石の街に、恋する芸術家たち

大理石シリーズ最終編3部目です。 カッラーラ街から30キロほど海沿いに南下したところ。その名を「聖なる石の街」、イタリア語で「ピエトラサンタ」と言う。「大」をいくつ付けても足りないほど大好きなところ。 街名から察するように、ここも、やっぱり大理石とともに生活している街。工房があり、博物館があり、芸術家も、住んでいる。 この街に恋し移り住んだ代表的な芸術家に、コロンビア出身のフェルナンド・ボテロがいます。 ポテっと小太りの可愛らしい絵や彫刻が特徴。メインストリートに面す

クレモナのバイオリン物語

バイオリンは、貴人のような佇まいで、近寄り難き美しさ。なのに、惹きつけられて、魅入ってしまう。 興味はあるけど、どこから入っていけば分からない。無縁のまま、いままで過ごしてきたけど、去年訪れた職人展示会で、バイオリンの職人に出会ってから、俄然と「知りたい」という欲求にとらわれた。 職人の仕事が「どこまでも手で作る」ということは、頭でわかっているはず。でも、やっぱり、渦巻きの曲線部分でさえも、手で彫る姿に、目を奪われた。 バイオリンのわたしの知識といえば、名匠アントニオ・

木片からバイオリンへ。木から音楽へ。

クレモナの名匠クレモナで活躍し名を残した、バイオリンづくりの名匠は、アマティ・ファミリー、グァルネリ・ファミリー、そしてストラディヴァリ。 現在は機械を使ってバイオリンを作ることもできます。それでも、クレモナをはじめ、世界中の職人が、昔から伝えられてきた製法で、いまでも、木からバイオリンへと、ミリ単位で木を削り、作っています。 木の質、形、塗料、彫り、すべてが一体となり、初めて美しい音色が産まれるバイオリン。木からバイオリンになるまでに、約220時間かかるそうです。選

クレモナで、聴いて、食べて、感動して。Part.1

バイオリン編でもクレモナが登場しましたが、今回は街歩き。バイオリンだけじゃない、小さくて偉大なクレモナ。見どころが、ギュっと濃縮されている、美しい街です。 クレモナの街歩き冬のイタリアは、暗くなるのが早い!11月や12月の16時30分頃には、とっぷりと日が暮れます。そのため、イルミネーションが映える、夕方の散策が楽しい季節でもあります。 モダンに。とか、シックに。とか、コンセプトに合わせて建てるのではなく、昔からそこにある建物を単純に利用しただけで、まるで映画のワンシーン

クレモナで、聴いて、食べて、感動して。Part.2

バイオリン編でもクレモナが登場しましたが、前後編に分けてクレモナの街歩きをご案内します。バイオリンだけじゃない、小さくて偉大なクレモナ。見どころが、ギュっと濃縮されている、美しい街です。 Part.1 クレモナの街歩き 食べても楽しい、クレモナ。 Part.2 バイオリン博物館クレモナは、バイオリンだけの街じゃないといっても、やはりアントニオ・ストラディヴァリは、街に欠かせない存在。彼の名の広場には、モダンな彼の銅像があります。 こちらにも、彼の銅像があります。ここは

アレッツォ紀行 (音の美しさ 番外編) 

「音の美しさ」のパート2は、ただいま準備中なので、今回は、番外編として、前回登場したアレッツォの街を、ご案内します。いつもは文章多めですが、今回は写真が中心です。 グイド僧の背後に、遠く見えるのが、アレッツォの大聖堂です。尖塔が空に向かってスっと伸びています。 高台にある大聖堂までの、ゆるやかな坂道。 街の中心にある、大きな広場大きな広場と呼ばれるピアッツァ・グランデ。毎月第1週目の日曜日には、骨董市が開催されます。 傾斜に沿って作られている。ゆえに、広場も斜め。イタ