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美しい小都市や田舎を訪ねる。

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イタリアの小都市や田舎は、きちんと整えられて、花が飾られていて、住民同士の絆が深くて、自然と、歴史と、人が、ゆったりと時のなかに身を置いています。豊かさってなんだろうって、考えて…
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カッラーラ山は、宝の山よ。

フィレンツェから高速道路に乗り、海沿いに向かって行くと、夏でも真っ白い山々が現れます。これが、カッラーラ山。 前回案内したサンミニアートアルモンテ教会の白い部分も、ルネッサンス時代を代表するフィレンツェの大聖堂の白い部分も、ミケランジェロ作のダヴィデ像も、ぜーんぶ、カッラーラの大理石。 いざ、カッラーラ山へ何トンもある大きな塊の大理石を乗せたトラックが、行き交うカッラーラ街。すれ違うだけで、迫力。採石場に行く道は何本もあり、まるで迷路のよう。 カッラーラ山の大理石は、世

うまうまラードのコロンナータ村

大理石の山の続編です。 大理石の山にある小さな村カッラーラ山の採石場のすぐ傍にあるコロンナータ村。標高532メートルにあり、雪が降り積もったような白い山が目の前に迫ります。 村人の生活に結びついた大理石山を、崇めるかのように、高台に広場があり、そこに建つ教会。外観はそんなんでもないけど、内部の装飾は、当然というべきか、すべて大理石。 前回案内した、山から石を切りだすカヴァトーレ(Cavatore)と、彼らを加護するマリア様。 洗礼をするヨハネ聖人も、もちろんカッラーラ

聖なる石の街に、恋する芸術家たち

大理石シリーズ最終編3部目です。 カッラーラ街から30キロほど海沿いに南下したところ。その名を「聖なる石の街」、イタリア語で「ピエトラサンタ」と言う。「大」をいくつ付けても足りないほど大好きなところ。 街名から察するように、ここも、やっぱり大理石とともに生活している街。工房があり、博物館があり、芸術家も、住んでいる。 この街に恋し移り住んだ代表的な芸術家に、コロンビア出身のフェルナンド・ボテロがいます。 ポテっと小太りの可愛らしい絵や彫刻が特徴。メインストリートに面す

クレモナのバイオリン物語

バイオリンは、貴人のような佇まいで、近寄り難き美しさ。なのに、惹きつけられて、魅入ってしまう。 興味はあるけど、どこから入っていけば分からない。無縁のまま、いままで過ごしてきたけど、去年訪れた職人展示会で、バイオリンの職人に出会ってから、俄然と「知りたい」という欲求にとらわれた。 職人の仕事が「どこまでも手で作る」ということは、頭でわかっているはず。でも、やっぱり、渦巻きの曲線部分でさえも、手で彫る姿に、目を奪われた。 バイオリンのわたしの知識といえば、名匠アントニオ・

木片からバイオリンへ。木から音楽へ。

クレモナの名匠クレモナで活躍し名を残した、バイオリンづくりの名匠は、アマティ・ファミリー、グァルネリ・ファミリー、そしてストラディヴァリ。 現在は機械を使ってバイオリンを作ることもできます。それでも、クレモナをはじめ、世界中の職人が、昔から伝えられてきた製法で、いまでも、木からバイオリンへと、ミリ単位で木を削り、作っています。 木の質、形、塗料、彫り、すべてが一体となり、初めて美しい音色が産まれるバイオリン。木からバイオリンになるまでに、約220時間かかるそうです。選

クレモナで、聴いて、食べて、感動して。Part.1

バイオリン編でもクレモナが登場しましたが、今回は街歩き。バイオリンだけじゃない、小さくて偉大なクレモナ。見どころが、ギュっと濃縮されている、美しい街です。 クレモナの街歩き冬のイタリアは、暗くなるのが早い!11月や12月の16時30分頃には、とっぷりと日が暮れます。そのため、イルミネーションが映える、夕方の散策が楽しい季節でもあります。 モダンに。とか、シックに。とか、コンセプトに合わせて建てるのではなく、昔からそこにある建物を単純に利用しただけで、まるで映画のワンシーン

クレモナで、聴いて、食べて、感動して。Part.2

バイオリン編でもクレモナが登場しましたが、前後編に分けてクレモナの街歩きをご案内します。バイオリンだけじゃない、小さくて偉大なクレモナ。見どころが、ギュっと濃縮されている、美しい街です。 Part.1 クレモナの街歩き 食べても楽しい、クレモナ。 Part.2 バイオリン博物館クレモナは、バイオリンだけの街じゃないといっても、やはりアントニオ・ストラディヴァリは、街に欠かせない存在。彼の名の広場には、モダンな彼の銅像があります。 こちらにも、彼の銅像があります。ここは