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13_Lilac01-EVは「痛み」を抑える

慢性の痛みは体のどこでも発生する可能性があり、原因がわかる場合もありますが、多くの場合は原因が特定できず、長期間痛みに悩まされることがあります。
慢性的な痛みは日常生活に大きな支障をきたし、人生を楽しむこともできず、精神的にも影響する可能性があります。

「痛み」は、炎症のひとつの形

Lilac01-EVを試験的に飲んだ、多くのモニターの方が「痛み」が消えるという体験をしました。関節の痛みとか、運動後の筋肉痛とか、いろいろな痛みが軽くなりました。痛みの問題が解決すると、高齢者の方には大きな福音となります。

「痛み」と炎症は関係するのでしょうか。そもそも「痛み」とは何なのでしょうか。痛みは組織が損傷したときに知らせてくれる大事な仕組みです。痛みがないと、組織の損傷に気づかずに命の危険にさらされることがあります。

しかしそのような必要な痛みではなく、必要がない慢性的な痛みもあります。このような慢性の痛みは原因不明であり、老化するとあちこちが痛むという経験を多くの方していると思います。

Lilac01-EVを服用していると、このような慢性的な痛みが消えるということは、炎症が「痛み」の原因になっているのではないかと考えられます。

痛みには急性炎症の痛みと慢性炎症の痛みがある

例えば打撲などで急性炎症が起こった場合、細胞膜からアラキドン酸が出てプロスタグランジンなどの炎症物質がつくられます。これが急性炎症の痛みのもとです。

一方で、慢性炎症ではIL-1βやTNFαなどの炎症性サイトカインが放出されて、プロスタグランジンの合成を加速します。
慢性炎症で痛みがおこる原因は、慢性的に放出される炎症性サイトカインにあります。

痛みには筋肉の痛みと神経の痛みがある

筋肉の痛みは一般に筋肉痛といわれます。筋肉痛には、筋肉や筋膜の炎症から生じる筋膜性疼痛や、筋肉損傷によって引き起こされる重篤な状態である横紋筋融解症などの症状があります。

筋膜性疼痛は、筋肉や筋膜の癒着がもとで起こる痛みです。肩こりや腰痛、手足、首などの痛みや、片頭痛などをおこします。原因はトリガーポイントといわれる筋癒着が形成されることによって、筋肉を硬直させ痛みが発生します。

筋膜性疼痛は炎症と関連しており、筋肉や筋膜の炎症が痛みと筋癒着の原因と考えられます。最新の研究によると、マクロファージが放出するサイトカイン(TNFα、IL-1β、IL-6など)が筋細胞に直接作用して、筋肉の分解や痛みを引き起こすことが示されています(Zhang et al, 2009 )。

運動後の筋肉痛も炎症性サイトカインによる筋肉繊維の破壊が原因と考えられており、極度に炎症が進んで横紋筋融解症という状態になると、生命を脅かす可能性があります。

横紋筋融解症は、骨格筋が急速に破壊されることが特徴で、激しい筋肉痛を伴い、筋肉の衰弱や硬直と痙攣をおこし、筋肉中のミオグロビンが血液中に溶け出して茶色の尿が出ることがあります。

横紋筋融解症では、TNFαが上昇して、骨格筋のほか心臓の筋肉や腎臓の細胞を障害することが知られています。

神経の痛みは神経痛と呼ばれます。神経痛は、神経の損傷や炎症によって生じる、激しい痛みです。神経痛の場合も、炎症促進性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-α など)が、痛みをつくる原因となっています。

帯状疱疹では激痛を伴うことがありますが、これは神経細胞の近くにいるマクロファージが帯状疱疹感染に応答して、炎症性サイトカイン(TNF-αなど)を産生するためと考えられます(Wang et al, 2005)。

Lilac01-EVのモニターの方では、帯状疱疹でも全く痛くなかったという方がいます。

マクロファージの細胞死の影響

このように慢性の痛みは炎症によって発生しますが、炎症と痛みは何がつないでいるのでしょうか。

ミクログリア(脳内のマクロファージ)が自爆して死ぬ形態をパイロトーシスといいます。パイロトーシスのスイッチの入った細胞は細胞の膜に小さな穴が開いて、その穴から炎症物質のIL-1βが放出され、その後、自爆死を起こします。

さらにこれに刺激された別の細胞が大量の炎症性サイトカイン(TNFα、IL-6などを放出します。このほかにもサイトカインはありますが、この3つのサイトカインは炎症性細胞死に特徴的(炎症の3点セット)です。

パイロトーシスではなく、別の炎症性プログラム細胞死が起こっても、この3点セットがかかわっています。

図1 炎症性サイトカインの放出が炎症性細胞死の特徴

炎症の3点セット(図1)が、痛みに関与していることは、多くの証拠によって裏付けられています(Zhang et al, 2009Santos et al, 2020Vanderwall et al, 2019)。
これらのサイトカインは、感覚ニューロンを直接活性化して、痛みと関連していることが知られています。

このように炎症を抑えることで、慢性的な痛みを抑えることは可能です。
しかし、このようなアプローチには慎重さが必要です。なぜなら、細胞の自爆死やIL-1βなどのサイトカインは、感染から私たちの体を守るという役割も果たしているからです 。適切なバランスを見極めることが大切です。

次回予定

14_EVの研究で見えてきた神経変性疾患の未来
EV研究の進展によって、これまで不治の病と考えられてきたアルツハイマー病などの神経変性疾患に希望の明かりが見えてきました。次回は神経変性疾患の原因と新たな治療法について紹介します。

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