見出し画像

もしクールベが「海辺で生まれていたら」波の傑作は無かった?🌊22歳で初めてみた感動ってすごい!

『クールベと海 展』と題したパナソニック汐留美術館の展覧会は、前半、山岳の風景ばかり!!
自分としてもクールベは「海の画家」というイメージが強かったので、意外。。。と思いながら歩を進めていく。

画像1

まず最初に出てくるクールベの絵は、この《岩山の風景、ジュラ》

ここで、クールベが、フランスの中でもスイスとの国境に近い山間の地「ジュラ」で生まれ育ったことを知ります。そう、あのジュラ紀のジュラですよ~。約2億年前には、この辺に恐竜がいたのかな~と、想像が違う方向に行きかける。。。汗

とにかく、この山間部に育ったクールベ少年~青年は、戸外で描くのが大好きで、険しい断崖や小高い草原、洞窟の多い水源地、そして木陰の川を繰り返し描いていたのです。

画像2

トーテムポールのように見える奇岩(写真左)、ちょっと「那智の滝」のように真っすぐに落ちる滝など(写真右)

画像3

雪の中の狩猟の風景も描いてますよ!寒そうだけど、美しい。。。
左の絵の中にいる2人は、なんと密猟者と言われている!!
当時、雪の中での狩猟は法律で禁じられていたので、クールベも憲兵に捕まったことがあるというワイルドな一面も。

それにしても、いつ海は出てくるのかな??

そしてこの展覧会で知った衝撃の事実は。。。クールベが初めて海をみたのは22歳(1841年)の頃!ず~っと山間部で育った彼に、海はどのようにうつったのでしょう??
クールベは、「地平線のない海は、『奇妙なもの』」と両親に書き送ったとのこと💌ものすごい興奮だったようです。

それにしても、22歳で初めて見たものって何か思いつきますか?
細かく言えば、いろいろあるのかもしれないけど、特に衝撃を受けたものとかって思い浮かばないな~。。。
もしかして私も、「海」のように見たことがない限り、想像すらできないような凄いものを成人して初めて見たら、人生も変わり、何か偉大なものをクリエイトする方向に進んでいたかもしれないのかしら???

とにかく、クールベが、22歳まで海を見たことがなかったおかげで、生涯に100点以上の海を主題にした名作を生んでくれたのです🌊よかった~☺
彼が海の絵を集中して描いたのは、初めて海に出会って
から20数年後の、1865年から1869年にかけて🌊

実は、ちょうど19世紀という時代もよかった!
パリから沿岸部の主要都市への鉄道が次々と開通すると、遠い内陸の田舎に住んでいた庶民たちも海辺にアクセスできるように♪
それまで畏怖や崇高の対象として鑑賞されてきた海は、急速に人々にとって身近な存在となったのです。パリの中産階級の人々は、休日になると鉄道に乗って海岸へ出かけ、海辺での余暇を楽しんだという時代の空気。
そんな中、クールベも毎年のようにノルマンディーの海岸に出かけては海の絵を描いたのです!!そこでは、若き日のモネとも交流があり、お互いインスピレーションも与え合っていたようです。楽しそう♪

画像4

1865年から1869年にかけて集中して描かれた海の絵がズラーリ🌊
クールベのスキルもさることながら、売れに売れたので、1枚2時間で制作したとか!これだけたくさん彼の「海」の絵が日本で所蔵されているのも驚き👀

画像5

私はやっぱり、こんな風に「ひとつの波」だけにフォーカスして描かれている絵が好き。自分も海にいくと、ゼリーのようにも見える半透明の、深い深い波の色に吸い込まれそうになるからかも。
寄せる波の音、しぶきの音も聞こえてきませんか?
パレットナイフで描いたという波しぶきは、岩肌のように粗削りだけど、波の透明感は、何度も筆で描いて出したのではないかな~🌊

それにしても、当時「ひとつの波」だけを取り出して、背景も周囲のものも何も描かないのはかなりユニークだったとのこと。
なぜクールベはそうしたのか?
背景や人間を描き入れると、どうしても歴史的な文脈や政治的なメッセージが連想されてしまいがちで、「純粋な海」でなくなってしまうからということもあったようです!

 画家としての名声を築き、政治的な影響力も大きく、ナポレオン3世に抗って制作したといわれる作品や逸話もいろいろあるクールベさん。。。
でも、彼の「自然を描く」という純粋な情熱だけに集中して鑑賞するのもステキですね👑

1 - コピー

フォトスポットでは、クールベの波と一体化!🌊
また、この記事の筆者・菊池麻衣子が、美術ジャーナリストの小川敦生さんと結成したアートトークユニット「浮世離れマスターズ」のサテライト記事もありますので、合わせてこちらも是非お読みくださいませ☀
同じ展覧会でも、新しい地平が見えてきます!!♪
⇒ https://note.com/tsuamai/n/ne5fbd580ed1a

緊急事態宣言明けの再開を待ちましょう!!!
【展覧会会期】2021年4月10日(土)~6月13日(日)
【パナソニック汐留美術館 臨時休館のお知らせ】
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、4月28 日(水)から当面の間、臨時休館させていただきます。
予約サイトでの「日時指定予約」も当面の間、中止させていただきます。
次回、5月12日(水)以降、ホームページをご確認ください。

#パナソニック汐留美術館
#クールベ展
#ギュスターヴクールベ
#gustavecourbet



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?