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【開催記録】 第49回 アート対話カフェ 2023/10/21(土)

今回のテーマ

今回のワークショップは「アート作品を分析的に観察し論理的に考える」というテーマで開催されました。

VTSは、ファシリテーターからの主に2つの問いかけに参加者が答えるという問答から始まります。
この問答とそれに続く対話と議論を通じて、アート作品を、注意深く分析的に観察し、論理的に考え、それを説明するというプロセスが生まれます。
そして、この方法によってアート作品の理解が深まり、「分かった!」という感動を体験することができます。


1枚目の絵

1枚目は「A man in water」というタイトルの写真を使用しました。
作者名や作品名などは、事前に参加者に明かしていません。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-2240623/Labourer-goes-extraordinary-lengths-fix-broken-pipe.html

参加者から出た意見

  •  水道管の破裂。水が溜まっていて、顔を出している人は修理をしている人では?アジアのどこかで、水道がある都会ではないかと。

  • 泥水に浸かっている人が犯罪者で警察官から逃げているのではないか。
    警察官がいて、泥水につかっている意味がないと思うので。工事現場の人かとも思ったが、警察官がそばにいて見ているので逃げていると思った。

  • 道路工事をやっていて、夜に雨が降って、穴を掘っているところに雨水がたまって、底の中にモノを落として探しているのではないか。
    警察が来てるのは、何やってるの?って声をかけているんじゃないか。路面がぬれているので、雨が降っていたと思われる。

  • 工事関係かと思ったんですが、無計画な感じがする。奥の通行人が気になる。無視されているのが違和感があり、日常茶飯事のことなのかな。
    左側の通行人が関心を持っていないので、日常におきている工事現場ではと思った。

  • 水道管の破裂だけではなく、空の状態から雨あがりということも感じ、工事の穴に雨水がたまったのか。また、二人が見合っているのが面白い。雨が降ったせいで、水がたまったと思い始めた。

  • 二人の関係性は、知り合いなのかなと。穴に入っている人は、逃げたいような恥ずかしいので顔を埋めているのでは。警察官らしき人はどこかで見たことある顔だなと思っているというような表情に見える。また、穴に入っている人は、裸で出るに出られないのではとも思える。

  • 水に浸かっている人は、半分もぐっているのが気になる。目だけが警察官と合っているのが気になる。後ろのドライバーがあるのも気になる。警察官はこの水にいる人とドライバーを見て、ドライバーで何かしでかしたな?とお互いにその経緯を目で伝え合ってるのでは?

  • 左下の男性が肌の色が違うので人種が違うのでは?もしかしたら密入国者で水に隠れているのか?もしかしたら他国から来た迷惑ユーチューバーかもしれない。

  • 土の山が濡れてないのが気になる。電気ケーブルの工事を埋設するのに、水道管を傷つけてしまったのかな。奥の方はあまり雨でぬれていないようにも見えてきた。この国はあまり豊かではない中南米で、こういう光景は珍しくないのかもしれない。

  • 左上の建物の壁に落書きが書かれている。そういうのが当たり前の光景で、この事態はあってはならない空間ではなく、ユーモラスな、こういうこともあるよねっていうのが見えてきた。


2枚目の絵

2枚目の絵は、「The Subway 」という作品です。こちらも絵に描かれていることから、それぞれ意見を展開して発言していただきました。
まず参加者の皆さんに、絵に描かれている要素について確認してから、次に何が起きているか述べて頂きました。

『The Subway』 (1950年)
George Tooker (1920-2011) 

参加者から出た意見

  • みんなの顔が怖がっているような。地下鉄の構内というか、冷たく感じる。
    外着で外で何かあって逃げ込んできたのか。ゾンビ?感染拡大?不安げな表情からそう考えた。何人もいるが同じような状態で三人並んでいるところも気になる。
    左の奥の方に黒い影があり~何か起きているような。何かそういったものが近づいてきているよう気もする。

  • 右側の鉄格子、クルクル回るのでは?出入りする人を管理しているように感じる。場所は地下なんだろうなと。
    太陽も見えないので、左のブースみたいな感じのものもなんだろうなと。
    身なりの良い人、しかも鞄も持っていて帽子もかぶっている。
    もしかして、お金をおろす貸金庫のようなところかも。左奥に嘆いているような人がいるのは疑問に思いましたが何故なのか思いつきません。

  • 閉塞感を感じる場所だなと。中央の女性らしき人が一番何かを恐れているのが気になる。手がごつくて、男性なのか女性なのか判断がつかない。
    手が男性を思い起こすので、不思議な人がいるなと思いました。

  • 地下鉄っぽいが、現実の世界ではなく色々なものを象徴しているのでは。
    暖色系の色の服を着ていて、紺の色の服を着ている人がいて、真ん中の女性はその両方の色の服を着ている。視線の違和感、誰も目が合っていない。
    女性のおびえた感じや、ブースの男性もおびえている感じもあるが、女性の後ろの男性は無表情で、通常ではない状況。

  • 私も視線がバラバラなのはどうしてかな?と思ったが、地下鉄などで色んな人色んなことを考えているとも思える。
    睨んでいる人もいるし階段を下りている人は全く違うことを考えていそう。
    非日常的な中でこの人を描きたかったのかなと思った。

  • 何か、メッセージ性のあるものかと。
    男の人達は鞄をもっていたり帽子をかぶっていたりサラリーマンみたい。
    女の人はお腹を手で押さえているので妊婦さんかと。左に並ぶ三人は自分の殻に閉じこもっている孤独のようなものを伝えているのかと。そう考えたのはみんなコートを着ている、黒い影、みんなの表情が不安がっている、というところから。

  • 視線が合わなかったり、ブースにいる3人が似ているように感じたり女性の後ろの男性も似ている。嘆いている雰囲気の男性、不安、嘆き、孤独といったワードが。視線があわないところも人はいるが繋がりは希薄ということを表しているのかなと。皆さんの話を伺ったら不安感や孤独を現わされているようにも感じました。

  • 地下鉄っぽいなという感じはしてはいるが、だとしたらポスターとか案内などがありそうだが、そういったものが一切ないのが気になる。この女の人だけが何もわからない空間に迷い込んだような。天井が低くて女性の後ろの男性たちはまるで押さえつけられているかのようにも見える。迷路に迷い込んだような不安感がある。場所や人との関係が分からない、初めて行く会社の空間にいくのと似ているものがある。

  • この女性だけが感情的というか表情が人間らしい。この女性の気持ちを建物や周囲の人達で表現している気がしてきた。地下二階~鉄格子をくぐると明るい階に出れる、この女性がどちらに向かうのかの分岐点にきているような。お腹に子どもがいてその不安定さというか下に行くのか上に行くのか…恐れのようなものを周囲の方で表現しているような感じがしてきました。

  • 三方向に向いているのが、彼女の気持ちが三人の男性が見ている方向のうち、どっちに行くのかが変わるというか、その方以外の女性たちが見守っているようにもみえる。

  • 今までの話で出てこなかったが、一番奥に座っている女性の意味は何かと考えている。他の人は皆立っている。どう思う?

  • 真ん中の女性の後ろの女の子のような顔だけ見えるが、子どもを背負っているのか。皆さんはどう見えますか?

  • 私も女の人の後ろの女性の顔が気になっていた。絵を描くバランスとして円柱状の構図にすると落ち着くのでこの場所に描いたのかも。

  • 真ん中の女性の視線がこちら側に…暗い階段の方向にいっている。不安げな表情と壁に隠れている赤い服の男性の表情も左の方。落ちていく階段も左。
    そちらの方に恐れをもっているような雰囲気。上り階段の方にいる人達の目線が女性の方を見ている感じもする。表情は無表情っぽいが女性をみつめている。イデオロギー的世情のようなものも。


最後に

VTSはアート作品を見るだけでなく、参加者の思考力やコミュニケーション力の向上に貢献する素晴らしい教育手法です。

またのご参加お待ちしております!

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