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【開催記録】第70回アート対話カフェ 2024/08/26(月)

今回のワークショップのテーマは、「ふたり」。
冒頭の自己紹介にて「今あなたが気になっているふたり」を参加者の皆さんにお聞きしたところ、旬な芸能人や定番のキャラクター等様々な「ふたり」が飛び出てきて、和やかに会がスタートしました。

本日は、作者名と作品名を伏せた状態で2作品をじっくり鑑賞して頂きました。

1枚目の作品

エドゥアール・マネ「ラテュイユ親父の店」1879年 トゥルネ―美術館所蔵(ベルギー)

参加者の皆さんの意見

  • 一生懸命口説いている男性も後ろの男性も、漫画のひとこまのよう。ひたむきに口説いてるようにも見える男性が全然信用できない感じがなぜかする。

  • 右手にはお酒を持って、左手はもう女性の背後をがっちり固めるように手をまわしてるところが口説いているのだろうと思った。日本人の私からすると「白昼堂々…」という感じで恥ずかしい感じがした。

  • あの後ろに居る男性もあんまり微笑んだりはしてないので「何やってんだか」みたいな感じの表情に見える。

  • 後ろに手をまわされていい気持ちはしないだろうし、「何だか近い」とか思っていそうだなと思った。

  • ジブリ映画にこういうキャラクターが出てきたような気がするが、自分はいい男だと勘違いしてナンパをするような…しょっちゅうやってるんだろうなという感じのキャラクターに思った。

  • 最初ドキッとした。女性の方はもうちょっと年上なのかな。すごくお洋服もきちんとしていて、黒いレースの手袋や帽子の感じ等からステータス的なものを感じる。男性の方がちょっとラフにお洋服を着崩していて若干楽な感じ。男性の勢いに対し女性はちょっと受け止めて避けているよう。

  • 朝から昼にかけての時間帯ではないか。後ろの男の人あんまり感情私は伝わってこないが、この人のまなざしあるのとないのとでまたなんか物語的なものが全然違うんだろうなと思った。

  • この男性の目にこう目が奪われちゃったっていうのとあと女性のこの背筋の良さがすごい。こちらに気のありそうな男性にお酒を飲みながらしゃべられても「何もない」っていう感じでシャキーンとされて、あしらっている姿がさすがだなと思った。何となくこの男性と女性は恋愛関係っていうよりも男性がどこかから旅をして帰って、この女性にお土産話をしておお金を無心しているよう。女性の方が身なりからしておお金持ちに見えるから。向こうの後ろの給仕さんが「またあいつやってるよ」みたいな目線で見てるのかな。

  • この2人の関係は、女性の方がパトロンで、何か話を持ちかけて夢を語る男性と、「とりあえず聞かせてちょうだい」っていう女性にみえる。

  • 表情から親子というよりは夢を持つアーティストとバックアップするマダムに見える。

  • 口説いてるっていうだけではなくお金の無心も感じられる。女性が別に拒絶はしてないようにみえるので、そういうやり取りが何回もあって、「しょうがない人ね」って思いながら見つつ、サポートしてるように思う。

  • 女性の背筋がまっすぐ。くだけたというより何処かちゃんと礼儀もある。

  • ロマンス詐欺じゃないかとも思った。女性も実はこの男がその程度の人ってわかったうえで同席してて、まあとりあえず相手はしてるけど油断はしないわよっていう女性のやっぱり何か意志を感じる。男性はでもやっぱり自分の魅力が武器だと思っているのだろうから一生懸命きくことで自分の要求をのんでくれないかなと感じる。ただそれは愛じゃないと思う。この漫画みたいな男性の顔があまりにも値打ちなく見えるからだと思う。

  • 男の佇まいから、距離が近い割には警戒心がないように感じる。二人は姉弟の関係で、「所帯を持て」「昼間からお酒飲んでるんじゃないわよ」と姉が弟に言い聞かせているようにもみえる。


2枚目の作品

パブロ・ピカソ「貧しき食事」1904年 エッチング作品のため国立西洋美術館ほか所蔵

参加者の皆さんの意見

  • 先ほどの絵は油絵だったが、今度は縁のインクの感じから版画のように思う。

  • 手が印象的。指がすごく長くて目立つ。女性の胸元はすごく痩せてるのに質感がある。一方男性の胸あたりがえらく黒い黒い感じに見える。もしかして男性は瞬間的に左側で音がしたか何かで、ふっとそちらを見た瞬間なのかな。うっすら口が空いてるような感じなので、ぱっと見た瞬間なのかな。二人は殺伐としてるとかさみしいとかではなく愛し合って見えて素敵だなと思った。

  • グラスが少し離れたところにあって違和感がある。一個は空で一個は中身があるようだから下げてほしいというのでもなく、私達がいるこちら側にも誰かいるのかなとか思った。

  • 2人ともガリガリに痩せてしまって、食べ物が無い。テーブルにあるのはどくろにも見える。明日の生活の不安を抱えながらも「まあなんとかなるさ」と男性が女性を励ましているような感じに見える。

  • やせ衰えた男性が瀕死の状態に見えて、死相が出ていて何だか死神に見える。そして隣の女性のことをとても必要としていてすがっている、手放したくないように見える。ぱっと見貧しいが、女性は嫌がってる顔はしてないので、とりあえず今は受け入れてあげるという優しさが見える。はモノローグで考えたりしゃべったりしてるのを、女性は我慢ではなく分かった上で理解してハイハイって聞いて受け止めてあげる感じ。貧しいし未来はないのに情はあるっていう気がした。女性もノーブラ状態だから本当に逼迫して貧しいのかもしれない。

  • モノクロで痩せているところから、貧しい、苦しい状況は間違いないと思った。これが最後の食事のようにも見えて、パンの大きさからして、あと一回ぐらいはどっちかが食べれそうな気がする。一枚目の女性の凛とした感じに影響受けているかもしれないが、女性の方が強いというか、生き残る力とかありそうだなと思った。

  • テーブルのこれはコルク栓だと思ったが、どくろと聞いてなるほどな、皆で話すと面白いと感じた。自分はこの女性が何色の服を着ているんだろうと考えていた。案外なんかパステルのたまご色淡いパステルのたまご色とかきてるのかとか男性が胸元がスカーフにも見えて、頭の帽子も相まってなんとなくちょっとおしゃれに見えた。2人の静かなひと時なのかなと思っていたので、ある方たちにとっては死がこの絵の中に潜んでいるようにも見えるんだなっていうのは、「これが対話ってことか」と思った。決めつけやディベートではなく、自由でいいよでも奥行きは増えるよねっていう。対話型鑑賞は面白いなと思った。

今回は「ふたり」というテーマで行いましたが、アート作品では数多くの「ふたり」が描かれた作品があります。今後そういった作品に出会った時に「この人たちの関係性は一体なんだろう」と思って鑑賞するのも面白いかもしれませんね。


<最後に>

皆さんも1日の終わりに、対話型鑑賞会に参加してみませんか?
ご参加お待ちしております!

次回イベントはこちらから!

https://www.kokuchpro.com/group/adcf/