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【開催記録】 第43回 アート対話カフェ 2023/6/26(月)

今回のテーマ

今回は5名の鑑賞者と共に、1時間で絵画と写真の2作品を鑑賞しました。

共に難民や移民が船に乗船している様子…と鑑賞しましたが、ふたつの作品の制作年は1850年代と1900年初頭のもので、その開きは約60年。

鑑賞を通し、時代に思いを馳せ、鑑賞後にそれぞれに何かを感じ取ってもらえたらいいなと思いました。


1作品目


フォード・マドックス・ブラウン『イギリスの見納め』
1852~1855年制作 バーミンガム市立美術館所蔵


参加者から出た意見

  • 後ろの方に氷山のようなものも見える。二人はどこかに行こうとしているのか。また目力があるのが気になる。

  • 女性の左手が赤ん坊か何かの手を握っていて服の中に赤ん坊がいるのでこの二人は夫婦。手前に野菜か何かが下がっていて、何か元には戻れない船の旅なのでは。

  • 手前の二人は一張羅、一番いい着物を重ね着して着の身着のまま、難民のようにみえる。未来が見えないような不安だけど行くしかないような、離れる土地をみているのか…最初は不安かと思ったが、今は元に戻らないといった感じもする。

  • 移民とかで船に乗っていて若い夫婦は期待と不安が一緒になった時の表情かと。後ろのおじさん達も今の自分と同じ位かと思うが「なるようにしかならないさ」と酔っぱらって楽しんでいるようにみえる。

  • 初め見た時、転覆しそうなのかと思い、男女の表情も諦めのように感じられて、揺れて押されて辛いのかと思ったが、皆さんのお話を聴いておじさんたちが楽しんでいるように見えてきたので、転覆ではないのかと思い始めました。

  • 全体的な時間帯としては…背景に港のような人工物がみえる。陸地に近づいていてそろそろ目的地に着く頃なのでは。やっぱり男性の表情だったり皆のそわそわしている感じ。陸地に着くところで、この男女はもうすぐ着くから手を握っているのかも、と。

  • 後ろにいるオジサンたちの手前にもうひと家族みえる。

  • この人たち、難民かと思ったけど移民かな?

  • 移民だったらもう少しちゃんとした装備をしていそうだし準備もできないまま来てしまっているような感じだから難民だと思った。楽しそうではないし、全体の通常、船だと野菜をこんなことするかな?白い木枠のようなものに入っているのも食べ物ように見えるし食べ物を強調しているように思う。

2作品目


アルフレッド・スティーグリッツ『三等船室』1907年撮影
東京国立近代美術館、横浜美術館、京都国立近代美術館 など所蔵

参加者の意見

  • 移民船か難民船かどっちだろうと思う。白黒だけどたくさんの世代、性別、いろんな人が映っている。真ん中のタラップのような橋?階段?写真撮った人は橋をとりたかったのか、ど真ん中に橋…この状況はよく分からないが橋を撮りたかったのかと思った。

  • さっきの絵から引っ張らているかもしれないが私も船かと。一等船室、下の階は二等船室、上の方はハットをかぶったりお金持ちそう、下は安い布の洋服のようで。上の人は表情が硬くて不安そうな顔を少ししているようにみえる。人生の目的地…船は人生の象徴なのかなといったことを思いました。

  • 船のワンシーンと思った。背景に地平線のような…上の方の真ん中らへんに海と空の境界線のようなものがある。背景に空一面であることから船と思った。特に上の階の人達がやたら外を見まわしている。乗船が終わる頃か、目的地に近づいている…下の方の人達の所に干しているものから時間が経っているのではと。何日間か乗って服がまるまる干しているのではと。

  • 私も船かなと。上の人達が何となく下の人を見降ろしているよう。上の左の方の人達が何をしているのかが気になった。

  • 移民船の印象を受ける、手前の太い柱と通路のようなものが何を結んでいるのかな?通路ってそのまま入れず壁になっていて行き来できる状態には見えない。橋の手前は陸地に思える。1階はまだ陸にいて2階は移民船に乗れた人達で1階の人達は乗れるタイミングを待っているのでは?

  • 今のお話を聞いて、確かに陸地と船にみえてきました。大きい柱のある大きい船に見えていたから果たしてこれはどっちなのだろう。船と陸地だったら、もっと人でごったがえしても良いのかもしれないから、やっぱり同じ船の中にいるのかなとも思えるし。

  • 陸と船と聞いて私もそのように見えてきた。タラップのようなものは何のためについているのかすごく疑問ですが。

  • タラップは、後から作った感がすごくする。設計に組み込まれていなかった、木だったり支えだったりが簡易的でしっかりしていなさそう。非常事態の時だけ使うのかも?


最後に

同じ絵を見ても、一人一人意見が変わってくるのは、毎回面白いですよね!

アートに関する知識や情報は不要です。
皆さんもアート対話カフェで、「観察する力」と「考える力」を育ててみませんか?

参加者の皆さん、またのご参加お待ちしております!

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