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【開催記録】 第47回 アート対話カフェ 2023/09/23(土)

今回のアート対話カフェは、前半に1枚の絵を見ていただき、後半では1枚目に関連する2枚の絵を合わせてご覧いただきました。

1枚目の作品

オーガスタス・レオポルド・エッグ《過去と現在1》

前半では皆さんに、オーガスタス・レオポルド・エッグの絵をご覧頂き、「この絵の中では何が起きているか?」という質問から、皆さんから意見をいただきました。

作者名や作品名は、参加者の皆さんには知らせていません。
ただ自分の意見を言うだけではなく、「絵のどこからそう考えたのか」とファシリテーターが皆さんに質問しながら、会を進めていきます。

参加者から出た意見 

  • 子ども二人の髪の毛がキレイで、つややか。服装からも姉妹かな。かなり大事にされている。男性、女性がいるので夫婦かな。その関係も良好。ただ、女性が倒れているので発言しずらい。

  • 二人の子どもとその両親。鏡はあってドアが映っている。外出先から男性が帰ってきたようにみえる。白い紙を持っているので何か事件があったような。女の人が倒れていることで事件性が見えて、白い紙がきっかけなのかと。男性の茫然としている顔からもうかがえる。

  • 裕福な家庭の一家で起きた悲劇。女性が亡くなっているのかな?机の下に落ちているリンゴのようなものを食べて亡くなったのか?白い紙は遺書のような?子どもはこの事件に気付いていないように見えている。

  • 不思議な絵で、二つ疑問点がある。倒れている女性は妻なのかどうか分からないが、手をお祈りしているように組んでいることから、まだ息をしているのかも。でも、誰も助けおこそうとしないのも不思議。女の子はドアを見ているように見える。

  • 椅子の数がふたつが気になる。一つの椅子で子どもがカードゲームをしている。男性が座っているが、女性の椅子は?そこから時間経過がみえるが。夫人は、倒れるまでどこにいたんだろう。

  • 後ろに飾っている小さい絵が気になる。右側にある絵は男性が描かれてこの男性の所有の部屋だと思うが左側の絵は、女性なのかどうか、その人がどうかはここでは分からない。

  • 男性が手にしているのは、不倫の証拠の白い紙で、二人が不倫の件で争ったあとの風景

  • 時間軸が分からない。倒れているのが死んでいるのかどうか分からないのに、子どもの反応が冷静でいるのが不思議。事件性と冷静な反応がチグハグ。

  • ピストルのようなものも見えるので、男性、女性共に一瞬のうちに撃たれて亡くなっているのでは。

  • リンゴに注目すると、テーブルにもリンゴがあり、ナイフがあるけど皿はない。男性の手が力を込めているように見えるので、男性が女性を倒れるようなことに遭わせたのかな。シルクハットは男性の地位を表している。帰宅直後に短い時間での出来事では。

  • リンゴに毒をしかけるのは、この時代はないかな?毒リンゴはモチーフとしてアダムとイブの禁断のリンゴを象徴しているのでは。左の四角い絵は、アダムとイブが楽園から追放される絵にも見えて、そういったことを重ね合わせて、シアワセが破綻した状態をアダムとイブに重ねているのか。子どもは破綻に関連してないのでは。

  • 男性と女性の関係は分からないけど、男性が怒っているようにみえる。女性の手首は手錠をかけられているようにみえる。DVのように倒されたのでは?これが日常茶飯事の出来事なので、子どもたちは関心をよせていないのでは。

  • 男性が握っている紙と同じようなものが、女の子たちの側にもある。それは同じものだったものを、破ったものなのか。破れてから男性が椅子に座ると、女性が先に倒れていたら、女性をまたぐことになるので、時間で何がどうなったのか…、いろんなストーリーが想像される。

  • 視点を変えると、子どもたちがトランプを重ねてピラミッドを作っているように見える。それは風や椅子が動けば倒れてしまう。この夫婦と思われる人たちもちょっと前までは仲睦まじかったのに、何かのきっかけで崩れたきっかなのでは。

  • トランプがまさに崩れようとする瞬間に見える。カードが崩れるのがこの家庭が崩れる瞬間にみえる。この状況から追放されるという意味にもみえる。

  • 右に描かれていないもうひとり人がいる。女性はその人にお願いしたのに、出て行ってしまったのでは。そこで、お願いしながらパタンと倒れた。子どももそこを向いている。

皆さん、絵の中に描かれているものをよく観察しながら、自身の意見を発言していただきました。

「感じたことを話す」のではなく「何を見てそう考えたのか」と、根拠と主張を切り分けながら発言して頂くことで、お互いの意思疎通を図れるようになったのではないでしょうか。

続いて後半に進みます。

【後半】

後半では、1枚目の作品名を明かした上で、それに関連する2枚の絵を合わせて見ていただきました。
1枚目の絵をじっくり見た後で、皆さんがどのようなストーリーを作り上げたのか、意見を出していただきます。

参加者から出た意見 

  • 1枚目、浮気の話に見える。男性が手紙を握っている。女性の浮気相手の手紙。女性は許してほしいとお願いしているお祈りの手をしている。服装から19世紀。シャンデリアがあるので、電気がある。電気があれば、19世紀。その当時は浮気は一般的。リンゴが掟を破るシンボルになる。2枚目は女性が追放されている。3枚目の女性は同じで、さらに生活が悪化したようにみえる。

  • 月が両方の作品にある。雲の存在は月に光を当てられているもの。女性の地位の低さも象徴されているのでは。

  • 2,3作品目はどちらも同じ日では。月の満ち欠け具合と雲のかたちから同じ時間では。そこから別の女性が描かれているのでは。

  • 2枚目の壁の絵が、1枚目の絵と同じような絵が飾られている。黒い服の女性と、1枚目の倒れた女性が同一人物では。ひざまずいている女性は、誰なのかな?座っている女性より年上に見える。乳母?お母さん?3枚目に抱えている足だけ見える子どもがいるので、2枚目の座っている人は妊娠していて、生まれたあとが3枚目なのか。月を見て、行く末を案じているのかな。

  • 1作品目、半分がリンゴが机と下に落ちていた。女性はリンゴを最後まで食べて、男性はのどで詰まらせたこともあるので、それを表しているのか。2枚目は修道女に許しを母親が乞うている。3枚目は追放された女性で、同じ時間帯の作品をそれぞれ描いているのでは。

  • 3枚目を見ると、シアワセな家庭が破綻しているイメージ。1枚目は浮気をしてしまい、男性との亀裂が入っている作品。そこから2枚目は時間が経っている。左側が浮気をした妻で、右側が大きくなった子ども。3枚目は姉妹のもう一人で、2枚目は苦しい生活を嘆いている。

  • 2枚目と3枚目を見てみると、同時刻と思ったが。1枚目では、浮気をして妊娠して、2枚目は追放された女性が入る施設。3枚目は子どもを出産し、施設からも出ざるおえなくなった。2枚目の施設には1枚目の絵が飾られているように見えるので、家から持ってきたのか。

  • もしかしたら、倒れた女性も含めて3姉妹なのか…

  • 倒れている女性は、継母で子どもにも冷たかった。気絶をしていて家から追放。2枚目でひざまずいているのがその女性。黒い服はそのお母さん。玉の輿で行ったのに不倫をしていたため追放され、3枚目は浮気相手の子どもを死産している様子を表しているのでは。

  • 1枚絵は、テーブルの上にあるリンゴが二人を象徴。テーブルにあるリンゴが高い地位を表す男性で、下に落ちているリンゴが地位の低い女性。2、3枚目にあるそれぞれの絵が共通ですよと言われているのかな。

  • 1枚目からつながるとすれば、倒れている人が黒髪なので、2枚目で座っているのが同じ女性。ひざまずいているのと3枚目の女性は姉妹。同じ月を眺めているのでは。

  • 3枚目の絵は、悲惨な絵に見えるんですが月の横にキラッと光る星が見える…。そこから希望も見える。

  • 3枚目は子を抱えたお母さんが、月を見ているけど、大変なんだけど月や星からこれからやっていく!という前向きな決意のようにみえる。

  • トンネルから出たら、希望がある!ということわざがあるので、それを描いているのでは。

  • 話を聞いているうちに、1枚目の女性は音楽教師だったのでは。銃に見えるのがバイオリンケースにも見える。そこで不倫し、身分違いから結婚できなかったので、その後2、3枚目と続いたのでは。

  • 2、3作品目から、様々な女性たちが普段から月を見て、祈っているのかなというふうに思えてきました。

絵をじっくり観察すると、「絵の中では何が起きているのか」と言う問いが自然と見えてきます。

知識や情報ではなく、観察して考えることの重要さを感じていただければと思い、今回の作品を選びました。

次回もお楽しみに。
ご興味ある方、ぜひ一度ご参加ください!

お申し込みはこちらから。

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