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記事一覧

とかす

かちこちに
縮こまったこころに
あたたかい息とハグを

ちがう、と
線引きしていた境界線に
羽ばたく想像力を

わたし 
 かぞく
  ちいき 
   くに 
    せかい 
     ちきゅう
      せいたいけい
       うちゅう

思いやりの
届く範囲は
わたしと他者の
ボーダーラインを
どこに引くかで変わる

引くなら
おおきく、ひろく
みんな自分ごと
になればいいのに

大き

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踊り場

いつのことだっただろう
「人生には踊り場が必要だ」
というフレーズを目にして、ほっとした

これまで
目の前にはいつだって
登っていくべき階段があった

それは逃げることすら
考えないような
当たり前の道であり、
上に向かって歩むことが
可能性を広げることだと思っていた
当時の安心の道だった

登って来た階段は
ある日、とうとつに平らになった
次に登るべき階段が
どこにも見当たらない
登りたくても

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さいわいなるかな表現するひと

表現することは
自分の一部を
人にさし出すこと
いちばん柔らかくおいしい部分
青い炎がゆらめく部分

自分のほんとうを
ちぎりとるとき  
弱さは明るみにさらされ
こころは痛みを伴う

思いが誰にも
受けとられなかったとき
所在なさげに佇む
自分のかけらをみて
傷つく

それでも
表現をする勇気を
もった人にだけ
もたらされる
喜びがある

冷えた指先をあたためる
わたしだけの言葉
絵筆から目の前

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いのちの味

ある日なみだがとめどなく流れ出た
目から頬へ 頬から唇へ

あ、しょっぱい

自分の目からこんなものが
流れ出てくるふしぎ
私の中の細胞 
みんないっせいに泣いていた

海でぷかぷか浮かんだ日のことを思いだす
高くなった波が 身体をさらい
穴という穴にしみ込む海水

おお、しょっぱい

わたしたちの祖先は太古、
海から生まれ出たというふしぎ

今も海の中で暮らす 
無数のいのちのことを想った

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言葉は

言葉は
降ってくるものですか
それとも
湧いてくるもの
あるいは
溢れ出てくるものとも
流れてくるもの
光っているもの
浮かんでくるもの
見つけ出すもの
受け取るものとも

言葉は
必要なとき
必要な人に
必要な形で届く
その必要を
少しでもふやしてみたい

今のわたしにとって
言葉は
与えたいもの
そっと
あなたの心に寄り添う言葉をもちたい