さいわいなるかな表現するひと

表現することは
自分の一部を
人にさし出すこと
いちばん柔らかくおいしい部分
青い炎がゆらめく部分

自分のほんとうを
ちぎりとるとき  
弱さは明るみにさらされ
こころは痛みを伴う

思いが誰にも
受けとられなかったとき
所在なさげに佇む
自分のかけらをみて
傷つく

それでも
表現をする勇気を
もった人にだけ
もたらされる
喜びがある

冷えた指先をあたためる
わたしだけの言葉
絵筆から目の前に立ち現れる
わたしだけの形
凛とした空気を駆ける
わたしだけの音
世界と一体となって踏む
わたしだけのステップ
混沌とした世界に 解き放つ
いくつもの 尊い分身

ふつふつと沸き立つ
こころはじわりと熱を帯び
乾きを潤す

傷ついても
怖くても
まごころをこめて
渡したい
ひとつの救いの形

誰よりも
自分にとって

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